涙やけの正体。
いつもご利用ありがとうございます、
ドッグサロンテイラーの飯谷です。
あれよあれよという間に9月になっておりました。
夏の間にめいっぱい遊んで、
夏バテ気味なワンコもチラホラ…
水遊びや、生い茂った芝生の上でたっぷりはしゃいで疲れたころに、足先を舐めるワンコも多いみたいです。
犬の唾液って、
ph8.5の"アルカリ性"なのは、皆さまご存知でしょうか?
歯磨き講習会にご参加くださった方はぜひ思い出してみてください(^^)
そのおかげで、虫歯にはなりにくいそうですが、
舐めた場所は雑菌が繁殖しやすくなってしまいます。
この唾液で繁殖した雑菌により発生した"バイオフィルム"が、あの、食器のヌルヌルの正体でもあるんだそう。
連日の湿気や蒸し暑さで、
ただでさえベタツキがちなこの季節、
アカエゾマツの精油を使った
"スキンプロテクトスプレー"は、
炎症のあるお耳や足先などの皮膚に使える万能スプレー(^^)/
天然成分アカエゾマツの精油には、
など嬉しい効果が期待されています。
たまに、ウィル店長はキリン坊やの耳をペロペロ舐めるもんだから、キリンのお耳掃除に使ってみたところ、茶色い汚れが減ってウィルも興味がなくなったご様子(^^;
気になる方はぜひお試しください♪
涙やけの原因って?
いっつも前置きが長くなっちゃうんですが、
今回の本筋はこちら。
足先を舐めて茶色くなるのに関連して、
涙やけ、よだれ焼けも気になるところ。
そもそも、なんで茶色くなるの?
先日、ペットフーディストの勉強会でもテーマとして取り上げられていたこちらの話題、
学んだことを共有させていただきます♪
"涙やけ"は、
トリミングでよくお客様からご相談いただく内容の一つ。涙って、実は"血液"から構成されているのです。
90%以上は水分ですが、
目の表面を守る抗体や、
目の表面には血管がないため酸素や栄養を補給するための栄養素、
排出されるべき老廃物も含まれています。
上まぶたの涙腺から涙が出て、
上まぶたの際にあるマイボーム腺から油を出して涙の蒸発を防ぎ、
両まぶたのゴブレット細胞からムチン粘液が分泌され、涙を目の表面に均一に定着させる…
と、目にはいろんな機能が詰まっておりますが、
その有能な機能も、
逆まつげ・アレルギー・結膜炎などの外的刺激や、涙の通り道である"鼻涙管"が先天的に詰まっている機能異常があると、涙をうまくコントロール出来なくなってしまいます。
マイボーム腺に炎症があると涙を留める油がうまく分泌されず、涙があふれてしまうことも。
こうして涙のコントロールが上手くいかず、とめどなく涙が出てきてしまう"流涙症"が、最も多い涙やけの原因とされています。
ちなみに涙は本来、鼻涙管を通って鼻へと流れていきますが、私たち人間も、感動して泣いたときに鼻水が出るのって、涙がちゃんと鼻へと抜けている証拠なんです(^^)/
涙が溢れると、目の下あたりの毛を濡らしてしまいます。このときに被毛に付着した涙の成分には、赤血球の構成成分であるヘモグロビンから分解された"ポルフィリン"という赤い色素が含まれています。
このポルフィリンなるものが、一緒に分泌された鉄分と結合して、酸化すると、"赤サビ"のような状態になりしつこい涙やけになってしまうんだとか。
もっと詳しく説明すると、
なんとも化学的なお話になってしまうのでだいぶ端折ってしまいましたが、
赤血球の寿命はだいたい120日と言われており、分解された鉄分やタンパク質は体内で再利用されるのですが、再利用されずに排泄される"ポルフィリン"は、尿や涙、唾液によって体外に排泄されます。
唾液にも含まれているので、お口周りが茶色くなったり、舐めた足先が赤茶けてくるわけです。
ご飯を与える際のフードボウルがプラスチックの場合は、目に見えないほどの傷にも雑菌が繁殖しやすく、口周りのよだれ焼けの原因にもなるんだそう。
また、涙には"ラクトフェリン"という感染防御機能を持ったタンパク質も含まれており、これは母乳や牛乳にも多い成分。
鉄分と結合しやすいもんだから、
ラクト=ミルク
フェリン=鉄
と、そのまま名前の由来になったそう。
調べれば調べるほど、涙には、
茶色く変色する原因はたくさん隠されているんだと分かります(^^;
涙やけはどうやって防ぐ?
まさに、一番気になるのはここです。
①目元の毛を短くして常に清潔に。
これは、簡単なようで意外と、
実践するにはトリマーやトレーナーさんとの連携が必要な場合も。
目元の毛をトリミングで短くしてもらったら、
ご自宅では、少し温めた濡れタオルやシートでゆっくり拭いてあげてください。目ヤニを放置して固まると、どんどん取りづらく、大きな塊を取る作業はご愛犬の負担にもなりかねません。
毛玉は毛玉になる前に。
目ヤニは塊になる前に。
目元の毛は伸びるのが早いように感じることも多く、お手入れがしやすいようにトリミングの合間に目元だけカット(当店では¥550)でご来店されるお客様も。
ご自宅では、お湯で十分ですが、しつこい目ヤニには目元専用のクリーナーもありますので、ご相談ください(^^)
②涙が多い原因を特定
例えばブリーダーさんやペットショップから迎えたころにはもうすでに涙が多く茶色かった、
という場合は先天的な"鼻涙管閉鎖症"も考えられますが、春だけ涙が多い子は季節的なアレルギーの場合も。
食物アレルギーという話もよく耳にしますが、
色々調べてみると、
という論文を発見!
涙やけの症状があるワンちゃん達に、
今までと同じフードを食べていた時の便と、
腸内環境改善を謳ったフードを一定期間給餌したときの便を調べてみたところ、
涙やけが改善したワンちゃんは、便のpHが低くなっていたそう。
これは腸内の"短鎖脂肪酸"が増えたことを示しており、腸内環境の改善が涙やけ改善の一因に繋がるのでは?
と、これはあくまで一例ですが、そんな研究もされているそう。
③毎日のご飯を工夫してみる。
腸内環境の改善が涙のコントロールに繋がるのなら、試してみない手はないですが、
涙やよだれなどに含まれる着色の原因となる
"ポルフィリン"を多く含む食材を与えすぎない、というのも一つの手かもしれません。
ポルフィリン(タンパク質)は鉄を取り囲んだ化合物として存在し、"ヘム鉄"と呼ばれています。
このヘム鉄を多く含む食材が、赤身のお肉。
人間のご飯や、ご愛犬に手作りご飯を与えている方は、食事の鉄分不足を心配される方も少なくありませんが、
ご愛犬に"総合栄養食"を与えている場合、
そのご飯には必要十分量の鉄分が含まれているはずです。
鶏・豚のレバーや牛肉・馬肉・鹿肉など赤身のお肉、マグロやカツオなど赤身のお魚は、ミネラルも豊富で栄養満点!
アクティブな子には積極的にあげたい食材ですが、こと"涙やけ"に関してお悩みのある場合には、ドッグフードのメインのたんぱく源をチキンや白身魚に変えてみたり、
あるいは鉄分の貯蔵庫として働きづめな"肝臓"をサポートしてあげることで、
体内の解毒の循環がスムーズになり代謝があがり、老廃物のコントロールがうまく回るかもしれません。
"涙やけ"という一つの症状ですが、
突き詰めていくと、体内のいろんな状態が絡み合い、身体からの"サイン"として現れるんだろうなと、難しいながらももっと深く知りたくなる内容でした。
とっても専門的な内容を、
噛み砕きながら文章にしたつもりでしたが、
つらつらとまとまりなく、
読みづらくって申し訳ありませんm(__)m
涙やけやよだれ焼けが気になる方は、
ぜひご参考になさってください♪
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