共通試験7割から半年で国立医学部に奇跡の逆転合格した話と合格までの戦略/勉強法 - 留学生入試と自分自身の可能性を信じることの大切さの話
はじめに
この記事は, これから日本の医学部へ留学を目指される方のために, 私が指導していた生徒の許可を頂き, 生徒が日本の国立医学部の留学生入試に合格するまでの話を書きます。
この記事は特に以下のような方に役に立つように書いてあります。
・医学部を志望している外国籍の高校生
・メディカルスクールの受験を考えている海外の方
生徒のプロフィール
・海外の高校出身
・6月のEJUで6割の得点
・日本の医学部を出て医師になるべく日本語を独学
この方は、初めは医学部への進学を諦められていましたが、この方の思いや勉強の様子をみて私が諦めるのはもったいないと思い、なんとか合格していただくために指導いたしました。
医学部の留学生/帰国生入試について
日本では、アメリカのようなメディカルスクール制の国と異なり、多くの学生は学部から医学部へ直接入学します。一部は、メディカルスクール制にならった学士編入という制度で入学します。そちらについては, こちらの記事を参考にしてください。
日本の医学部のうち, 国立/私立を問わず多くの大学で私費留学生入試が実施されています。受験資格は海外の高校を卒業していることです。詳しくは、色々な大学の募集要項を確認してください。
受験が必要な試験と科目
多くの大学では, EJUとTOEFLのスコアの提出が求められ, それらに加えて大学独自の試験 (多くの大学で一般入試と同じ問題)や小論文が課されます。大学独自の試験は、一般入試と同じ日程であったり、他の日程であったり大学によって異なるため、募集要項を読んで把握しておく必要があります。
EJU
日本留学試験は、外国人留学生として、日本の大学(学部)等に入学を希望する者について、日本の大学等で必要とする日本語力及び基礎学力の評価を行うことを目的に実施する試験です。
年2回(6月及び11月)日本国内と国外で実施しています。日本留学試験の出題科目は、日本語、理科(物理・化学・生物)、総合科目及び数学ですが、志望校が指定する受験科目を選択して受験することになります。また、出題言語は、日本語と英語があり、出願時に選択できます(ただし日本語科目の出題言語は日本語のみ)。
レベルとしては, センター試験(共通テストの前身)やAP examのマーク問題が近いです。医学部志望の場合, 日本語, 数学(コース2)と理科2科目(物理か生物を必須とする大学もある)を受験することになります。
TOEFL
TOEFLについては, 公式サイトの他以下の記事を参考にしてください。
個別学力試験
多くの大学では、上記の外部試験に加えて大学独自の試験を受ける必要があります。また、私立大学では、上記の試験ではなく, 個別試験のみでの留学生入試を行っている大学もあります。
また、余裕があれば一般入試の併願も可能です。
留学生入試のメリット
留学生入試のメリットとしては、
・競争率が低い(多くの大学で2倍以下)
・複数校併願できる(通常日本の国公立医学部は前期後期1づつしか出願できない)
・海外のメディカルスクールに比べて、私立でも格段に学費が安い
ことが挙げられます。
合格するまでの戦略と勉強法
受験校選定
国公立については, 受験校はEJUの得点をみて、出願資格がある大学で個別試験のウェイトが高そうな大学に出願することにしました。
私立については, 私費留学生入試のほか、学費が比較的安く, 留学生でも点数を稼ぎやすい英語, 数学, 物理で差をつけることができる配点・出題傾向の大学の一般枠にも出願することにしました。
勉強法
EJUの点数やマーク試験があまり得意でないことを考えて, EJUの対策のほか国公立/私立の個別試験対策に特に力を入れることにしました。
EJUの対策には過去問, EJU対策の参考書のほか、共通テスト対策の市販教材、私が作成したレジュメを使用して頂きました。
TOEFL対策
80点から90点を目標にして勉強していただきました。以下の記事を参考にしてください。受験層を考えると, 90点あれば一部の大学以外は問題ないかと思います。
EJU対策
日本語はもともとよくできる方だったので、数学, 物理, 化学に時間をかけていただきました。
英語
英文法の基礎演習を重点的に行うことで、私立医学部でしばしば出題される文法問題での失点を防ぐようにしました。また、単語についても、同様に日本語訳がすぐさま出てくるように1から復習をしてもらいました。
加えて, 医学部における英語の試験で最も重大課題であるのは、和訳ですが、これについては、重点的に指導を行い、型どおりに訳せるようになって頂きました。
上記の基礎演習を十分に行って頂いたのち, 過去問演習を行いました。
数学
数学については, 海外の入試と日本の入試で出題形式が大きく異なっているため, 日本の入試における典型問題の演習と記述練習を行って頂きました。教材は市販の参考書のほか、私が様々な大学の出題データをもとに作成したレジュメを用いました。
上記の演習ののち過去問演習に入って頂きました。
物理
物理についても、数学と同様、個別試験対策のための勉強が必要となるため、市販の教材のほか、私の作成した資料も使って頂きました。
また、数IIIが既習でしたので、微分・積分を用いた解法についても解説しました。
上記の演習ののち、過去問演習や医学部独自の試験に対応するため難しめの問題をいくつか選んで解いていただきました。
化学
もともと、化学があまり得意でなく、有機の構造決定などの演習は海外では行わないため、あくまで基礎を固めてもらうことを第一としました。
直前期は、受験校の過去問のほか、よく出題される分野の問題を重点的に演習していただきました。
逆転合格につながった要素
この生徒さんのEJUの点数は国公立医学部に合格するにはかなり低い点数であったと思います。しかしながら、合格につながったのは、
・最後まであきらめずに個別試験対策をされたこと
・実際にかなりの高得点を取られていると思われること
・日本在住歴がなく独学にも関わらず、卓越した日本語力であったこと
・記述試験の実力は入試直前期にはかなりのレベルに達していたこと
・医師として働くビジョンが高校生とは思えないほど明確であったこと
があると私は思っています。
さいごに
この記事は, これから日本の医学部へ留学を目指される方のために, 私が指導していた生徒の許可を頂き, 生徒が日本の国立医学部の留学生入試に合格するまでの話を書きました。
この方は、初めは医学部への進学を諦められていましたが、この方の思いや勉強の様子をみて私が諦めるのはもったいないと思い、可能性を信じてなんとか合格していただくために指導いたしました。
この記事を読んだ医学部への進学を考えている方は、すぐに諦めずに一度私に相談していただけると力になれるかと思います。
一度きりの人生自分自身の可能性を信じて挑戦してみてはいかがでしょうか?