CBT 1か月以上前に医学部4年(M4) でUSMLE step 1 に半年間・片手間の対策で合格(Pass)した私の超コスパ・タイパの短期間で確実に合格するための勉強法 - プロフィール、使った教材から学習スケジュールまでを公開する記事
はじめに
2024年9月 USMLE step 1 を受験し無事合格しましたので、その体験談や勉強法について記事にしようと思います。
特に私の場合、4年生になる頃までは最低限しか医学の勉強はしておらず、医学部4年(M4) の半年間の勉強期間で、長期インターン(2か月間はフルタイムでの労働)をしながら片手間の対策で、CBTより1ヵ月以上前のタイミングで合格したため、以下のような方の役に立つと思い記事を書いています。
・医学部1~3年の低学年であるがUSMLEに興味がある
・CBTより前に最速・最短でUSMLE step 1 に合格したい
・マッチングや留学までの準備期間が短く合格に急を要する
・すでに働いており勉強時間を確保するのが難しい
・CBTの成績 (irt) が低かったがUSMLEの受験を考えている
・マッチングの書類に書けることを増やしたいのでstep1だけでも合格したい
・模試を受けているがどの程度の成績で受けに行くのが最適か知りたい
プロフィール
参考になるプロフィールのみ書いておきます。
プロフィール全般
京大理学部物理系→医学部編入です。
英語力
留学経験はありませんが、大学入学前にCEFR C1の英語力はあり、少し勉強すればTOEFL ibtで90点台後半は取れるぐらいです。
USMLEの勉強を始める前の医学の知識
医学部の勉強にあまり興味がなく勉強に当てられる時間もないため、普段の勉強は再試験にかからないギリギリをせめて本当の最低限しか勉強はしていません。また、Q assist や Medu4のような動画教材は使ったことがありません。
USMLE受験後に受けたCBTの成績
日本で真面目に医者をやるつもりが全くなく、マッチングも出さない可能性があり、CBTのやる気が全く出なかったので直前1週間だけ勉強して irt 600台でした。CBT前後にUSMLEに合格している人の中ではかなり低い方だと思いますが、こちらについても記事にしています。
勉強スケジュール
勉強を始める前におそらく半年しかかからないであろうという見立てがあり、大学のカリキュラムと受験資格の都合上7月が最速のタイミングであったため7~9月で scheduling permit の申請をあらかじめ出しておき、受験の予定日を7月末にして、必要に応じて延期することにしました。
もとの医学的知識はほぼなかったこと、USMLEの受験をCBT前にしたこと、半年の勉強期間で、6か月のうち2か月はフルタイムでの労働をしながらの勉強、2か月強は他のタスクが多いため、結局のところ集中的に取り組めたのは2か月だけだったことがあり、思ったよりも余裕がない受験スケジュールでした。
勉強時間は1週間あたりで、フルタイムの労働をしていた期間は約20時間、集中的に勉強していた期間は約65時間、他の期間は約40時間で、どの期間も週一回は勉強をしないオフを設けて燃え尽きを防止するようにしていたため、合計1000時間程度確保できました。
2023年10月~勉強開始まで
大学で臨床医学の授業が始まり、臨床医学の試験はCBT, 国試, USMLEの勉強で役立つような普遍的な勉強だけしておけば合格は可能だったので、授業は一切出ず、隙間時間で定期試験と同じ分野のモントレCBTすべて、国試の一週目問題、First Aid Q&Aの問題を解いておき、当日の朝だけ大学の試験の過去問を解いて繰り返し出題のある内容を丸暗記することで突破するようにしました。以降は大学の試験は全てこの方法で通すようにしました。
2024年3月上旬~4月末
Uworldを半年プランで契約し演習を開始しました。 春休みと4月からは大学の出席も緩い授業だったので、旅行などで10日間勉強しない日はあるものの、およそ40日を平均10時間ほど勉強してUworldの1週目を終わらせました。平均正解率は50%でした。Uworld はメジャー→マイナー→その他の順番で進めました。
なお、このときはUworldの間違えた問題をすぐにはやり直さず、間違えた部分や後で再現できるか怪しい問題について解説やFirst Aidを読んだりマークしたりスクショをとっておいたりするだけにして後においておきました。
2024年4月末~5月末
思ったよりUworld の1週目が終わったため、某企業の夏期インターンの選考や準備としてやりたい勉強があったため、また大学の出席がやや厳しく学内試験も少しずつあっため、USMLEの勉強は全くせずDeep learningやそれと関連した勉強に集中し、仕事もしながら残った隙間時間で学内の試験の勉強をしていました。
2024年6月はじめ~6月中旬
USMLEの勉強を再開しました。まず、First Aidの通読やUworldのスクショを見直し暗記する作業を2週間ほど行い、自信が付いた時点でUworldの間違い直しやマーク問題のやり直しをしました。
2024年6月下旬~7月中旬
はじめのころに解いた問題について自信がなかったので、Uworldのリセット機能を使い2週目を行うことにしました。2週目は1問30秒以内に答えるようにし、間違えてもすぐにはやり直さず、2週目も同じくFirst Aidのマークやスクショを取るようにし、後で見直し作業とやり直しをできるようにしました。なお、2週目をする価値があまりないと思われる倫理系問題や医療統計の計算問題は2週目をやりませんでした。医療統計は余裕過ぎたという理由だったので不得意な人はやったほうがよいですが、倫理系は他の教材(Amboss やMehlman)で演習した方が学習効率が断然高いと思います。
この期間は珍しく大学の出席が厳しく、講義中に一生内職をしつづける期間でした。2週目の平均正解率は70%でした。無意味なクソ授業で学生の時間を奪ってストレスだけをあたえるのはやめてほしいものです。
2週目が終わるまでにおよそ2週間(やり直し・見直しも含めると3週間)かかりましたが、この期間の最後に2つあるUworldの模試 のうちUWorld SA Form 1 (UWSA 1)を受けました。結果は215点で、数日復習や弱点の補強をおこなって、Uworldの form 2の模試(UWSA2)で215点を超えたらNBMEの模試を2つとFree 120だけ受けてから予定通り7月末に受験、超えなければ8~9月に長期インターンがあるため9月末に変更しようと思いました。
2024年7月下旬~7月19日
U worldの模試で明らかになった自分の弱点を見直して、UWSA2を受けました。結果は188点だったためかなり落ち込んだのと、受験日を9月末延期し、他の教材(Amboss, Mehlman, Anki デッキ)を使って学習を行い入念な準備を行った上で受験することにしました。
なお、あとで調べたり他の模試を受けたりしてわかったことですが、この模試はかなり難しく出題内容にかなり偏りがあるためあまりあてにならず、この模試の結果を受けて過度に心配する必要はないみたいです。
また、よく言われているUworldとFirst Aidで”確実に”合格できるという説について、実際は個人の適性、USMLEの勉強を始めるまでの勉強量、勉強スタイル、当日の運などに左右され、知識面ではかなり余裕がない状態になるため、他の教材を学習・演習することでより幅広い問題に適応できるようになっておく必要があると思いました。
2024年7月下旬~8月末
UworldとFirst Aid以外の教材(Amboss, Mehlman, Anki デッキ)を使って学習を始めました。
8月からは東京の某企業でのフルタイムでの長期インターンが始まったのと、土曜日は他のインターンの仕事をしていたため、平日の出勤の前後の時間(1日あたり合計3時間、週4回で一日は勉強しない)と日曜日の丸一日(10時間以上)で勉強するようにしました。この期間ではAmbossの演習と座学(Mehlmanの通読とAnki deckの周回など)のバランスに注意して、おおむね1:1程度の時間配分で学習を行いました。
Ambossは演習すれば得点向上が見込める科目であったCardiovascular System, Renal & Urinary Systems, Respiratory System, Blood & Lymphoreticular Systems, ,Endocrine System, Immune System, Behavioral Health の 難易度2~4 の問題について最低1 block (40問) 以上自信がつくまで演習しました。
なお、Musculoskeletal System や Nervous System & Special Sense はMehlmanで十分だと思ったのでAmbossでは演習を行いませんでした。
この期間でMehlmanすべての通読とAmboss 1000問程度の演習が終わりました。
2024年9月1日~9月29日(試験前日まで)
学習も進んできたので、平日は座学を行い、休日には1週間~2週間に1回の頻度でNBMEの模試を新しいものから順に受けて、模試の見直しや弱点の復習を行うことにしました。
長時間勉強や体力・集中力には自信があったので多くの人がされている2連模試はやらず、あくまで模試を1つ解いて見直しをしっかりと行うことにしました。なお、本番での体力消費への適応力や時間制限がタイトなセクションでの解答精度を測るために、模試は休憩を10分にし、セクションごとの時間は60分(通常NBMEの模試は75分)で解きました。当日の体験から振り返るとこの練習はかなり有効であったと思います。
模試の受験と結果
NBME模試の結果は
NBME CBSSA Form 31 (09/01/2024): 66 %
NBME CBSSA Form 30 (09/15/2024): 65 %
NBME CBSSA Form 29 (09/23/2024): 70 %
でした。前日にはnew Free 120 (2024) を1セクション50分、3セクション休憩なしで受けて当日の予行練習を行いました。結果は72%とまずまずの結果でした。なお、Free 120は後述するようにかなり難しい模試だったと思う一方で、かなり本番に近い雰囲気の試験問題だったと思います。
上記の模試の結果はいずれも95%以上の合格率の点数で、コンスタントに結果が取れていたことから当日は自信をもって受験することができました。
試験前日は試験会場(お茶の水ソラシティ)に近いホテル ジュラクに宿泊しました。Free 120の復習も含めたこれまでの総復習をしてから、Free 120の結果をもとにした当日の休憩のタイミングを考えて、当日の食料や飲料の買い出しと下見をして、22時には寝るようにしました。
試験当日
朝7時には起きて復習をおこない、尿意や便意が来たらいけないので朝食はパン1つのみを食べ、飲み物もコップ0.5杯程度の水だけを飲むのみにして試験会場に入りました。
問題については守秘義務のため詳しく書けませんが、常軌を逸している量の長文を読解する必要があったため、1 block目以外は平均3分ほどしか「見直しの時間は取れませんでした。
このことから、もとから英語力があったこと、普段の演習で厳しいタイムプレッシャーをかけていたことは合格率を大幅に引き上げたものと思います。
試験当日の休憩・食事マネジメント
10分削り・休憩縛りFree 120で2セクション目以降、特に3セクション目に正解率が大幅に下がったことや血糖値が急上昇すると眠くなることをふまえて、
1, 2 block は休憩なしで連続で受け、以降は1 blockごとに休憩をとり、見直しが終わった残り時間は休憩の時間にしました。
また、各休憩では、10分強の休憩時間を取り、エネルギー(アンパン1つ、または、チョコバー)を補充するのとトイレに行くことにしました。この食事法はかなり当日のパフォーマンスを向上させたように思うので、皆さんも昼ごはんをまとめて取るのではなく、こまめに糖分を取るのをお勧めします。
前のブロックの振り返りや復習などは意味がないのと間違いを見つけた場合に動揺して次回以降のブロックのプレイングが乱れるといけないと思ったのでしませんでした。
手応えとしてはNBME模試やFree 120よりも少し悪かったので心配になりましたが、削除問題もあることとある程度余裕がある状態で受けていたので心配はしませんでした。試験中や試験後の精神安定のためにも模試を受けることは重要だと思いました。
試験が終わった後は秋葉原の焼肉ライクに駆け込んでドカ食いしてホテルに帰って寝ました。
使った教材Tier表と教材の使い方
Sランク
Mehlman
有用性だけでみても文句なしのSランクで、しかも無料というチート教材です。First AidやUworldよりも情報が簡潔にまとまっている上、NBMEを解いていて遭遇するFirst AidやUworldにのっていない知識が求められる問題に対応する力が身に付きます。自分はstep 1範囲は全て通読し、多くの教材で演習も行いました。雰囲気はmedu4に近いと思います。
全て通読する(演習はお好みで)ことをおすすめしますが、もし全て通読する時間がない場合は
HY Neuroanatomy, HY Immuno, HY Anatomy/MSK/Rheumatology, HY Arrows
だけでも読んでおくといいと思います。
Aランク
Amboss
ハイスコア狙い向けで難問が多いという誤情報があふれていますが、実際はUSMLEを勉強し始めた人からUworldが終わり2つ目の問題集として使う人まで使える神教材です。
特に素晴らしいと思った点としては、
・難易度ソート機能がある(1~5で希望する難易度の問題を解ける、Uworldにはない)
・library機能が充実しており、わからない医学用語や詳しく知りたい事項について問題集の解説上で解説ページに飛べる(Uworldにはない)
・難易度1~2は基本事項の確認に役立つ問題が多い
・UworldやFirst Aidでカバーできない範囲が含まれている
・難易度1~4の問題はかなり本番に近い
・倫理系の問題とその解説が充実している
・Uworldよりも料金が安い
・同じサブスクリプション内でstep1~3やshelf examまで幅広い試験用の問題が演習できる
以上をふまえると、Amboss は難易度1, 2をUworldの前に解いて、3, 4をUworldの後に解くのが理想的だったように思います。
Bランク
Uworld
個人的にあまり合わなかった問題集ですが、USMLEのゴールドスタンダードというのも事実です。多くの方もおっしゃるように、Uworldを解きながらFirst Aidを読んでいくというのが基本的な使い方になります。
良かった点としては
・問題を解いているうちに頻出事項について周辺知識も含めて構造化できる
・本番よりも読解力や考察力が求められる問題が多く高地トレーニングができる
・図はAmbossより秀逸なものが多い。
・半年以上のプランなら模試が2つ付いている
というものがあります。
一方、個人的に合わなかったと思う点としては、
・初学者には難しすぎる問題もあるにもかかわらず、難易度ソート機能がない
・解説が長いことがおおい
・Library機能がないため、詳しい解説や医学英単語を調べるのにいちいち調べる必要がある
・知識面ではやや不足がある
・リセット機能が1回しか使えない
というものがあります。
First Aid
大学生協や図書館で見かけるため知名度は高く、使っている人も多いためかなり期待されている教材ですが、使い方に気を付ける必要があり、実際には思ったよりも役に立たないです。
その理由として、
・事実が羅列しているだけで読み物としては使えない
・かなり掲載されている事項に抜けがある(NBMEの80%ほどしかカバーしていない)
一方で良かった点としては
・各systemの章末にある薬理のパートの図を含めたサマリーが秀逸
・Uworldと一緒に使うことで事実の羅列が意味のあるものに変わるようになっている
ことが挙げられます。
Bランクの教材について総合すると、知名度やシェアが裏付けられるようにかなり有用な教材である一方で、過度な期待はせず使い方に気を付ける必要がある教材だと思います。
Cランク
ネットに落ちてるAnki deckやpdfなど
ネットに落ちてるAnki deckやpdfなどは玉石混交ですが、自分に合ったものが見つかればかなりの学習効果が得られます。特に画像問題や解剖などはとりあえず落として使ってみる価値があると思います。
Anki deckは理想的には自分で作った方がいいと思いますが、step 1は最低限の時間で効率よく切り抜けることがゴールなので個人的にはAnki deckを作るのは時間がもったいないと思います。
Dランク
First Aid Q&A
初学者が簡単な問題の練習に使うための問題集です。私はFirst Aidと一緒に買ってしまいましたが、正直問題や解説の質があまり良くないので、おとなしくAmbossの難易度1~2の問題演習やRxをやる方がいいと思います。
おすすめの教材ルートと勉強法
基本は問題集を解きながらFirst Aidを読んでマークを付けていき、演習が終わったらマーク箇所の暗記を行うというサイクルを回すことになると思います。いわゆる「武蔵理論」です。
自分はUworldから始めましたがAmboss 難易度1,2 を演習しながらFirst Aidを通読していき、終わったら難易度3以上の問題やUworld の演習に入るという方が精神的負荷も小さく、コスパ・タイパはいいように思います。
また、USMLEではよく「勉強会」をしているひとがいますが、個人的にコスパ・タイパが悪く、実際に短期(半年以内)で合格している人はそういったことはしていないので、自分は全く「勉強会」に参加せず、黙ってUworldやAmbossの「武蔵理論」とFirst Aid, Mehlman, Anki deckの丸暗記に徹していました。
勉強のコツ
まず、勉強で意識するべきこととしては、問題演習やAnki deckなどを用いた記憶の確認などのアウトプットと教科書やPDFの通読などの知識のインプットのバランスをとり、
インプット→アウトプット→インプット→アウトプット→…
というようにサイクルを回すことが挙げられます。このようにすることで、詰め込まれた知識が試験問題を解くのに最適化・構造化されるようになり、最も効率よく勉強できるようになります。このアウトプットの問題集で注意するべきことはすぐに間違い直しをしないことです。これにより、問題を覚えて正解できるようになったのではなく、インプットの修正に成功して正解できるようになったことをある程度担保できます。
また、多くの人は記憶に残りづらいものは想像以上に覚えられないため、そのような事項については繰り返しAnki deckを回したりや見ないで復唱したりするなど無理やりにでも頭にねじ込む努力を日をまたいで繰り返す必要があります。
一方で、このような暗記を多くのことについてやっていくの非効率なので、あくまでインプットとアウトプットのサイクルの中で覚えられないものの中から、病態などからも導けないが単発の知識で問われるような本当に覚える必要があるもののみを厳選して暗記を行っていく必要があります。「何を覚えないか」という判断が非常に重要だと思います。
上記のような勉強をしながら模試を受けて適宜修正をしていけば、勉強量から期待されるパフォーマンスに対して結果が大きく下振れるということ(例: 数か月CBTの勉強をしたのにirtが低かった)はないと思います。
USMLEの勉強を始めるのに必要な医学的知識や英語力について
個人的に医学的知識についてはモントレCBTを武蔵理論すればUSMLEの勉強を始めるのに必要な医学的知識は十分身につくと思います。USMLEの合格を目指す低学年の方は、大学の授業(あんなのまともに聞いたり勉強したりしていたら頭がおかしくなる)はフル無視してモントレCBTや国試の「武蔵理論」を徹底しましょう。加えて、分厚い教科書を読むのはコスパ・タイパ最悪なのでやめましょう。大学の授業・実習や成書がUSMLEや国家試験の役に立つというのは、医学部教員のポジショントークです。
また、英語力についてですが、多くの方はそこまで必要ないと言われていますが、個人的にはTOEFL ibtのリーディングで満点近辺取れるだけのリーディング力を身に着けてからの方が学習効率が圧倒的に高いと思います。マッチングを目標とする場合はどうせOETでCEFR c1程度のスコアは要求されるので、低学年の場合は医学の勉強よりもある程度の英語力を先にみに着けておく方がタイパがいいと思います。
一方で、医学英語については問題集を解き進めながら否が応でも覚えていくので、医学英語だけ覚えるように単語帳や教科書を買って勉強するといった行為や医学英語の検定試験をうけるといった行為は絶対にやめましょう。
模試と受験のタイミングについて
模試、模試の受験のタイミング、模試の結果と受験日の決定方針について考えていきます。
模試を受けるタイミングと順番
自分が受けた模試はUworldの模試2つ, NBME3つ, Free 120です。UworldはUworldの1周目が終わり、First Aidの通読や2週目をやっている時に受けるのがいいと思われます。
NBMEは本番の問題を提供している機関で、このNBMEが自ら公式の模試を提供しています。
NBMEの模試はUworldの模試で合格点が取れそうな感じならForm 31を受けてみて、65%以上なら30から順に番号が大きい順に、65%を切るならまず復習をして番号が小さいものやすでにオンラインでは受けられないオフラインのpdfを受けて65%に乗ったら30から順に番号が大きい順に受けるのがいいと思います。
NBMEの模試は2つ以上は受けて、Free 120 については受験日から1週間以内に受けるのがいいと思います。
模試の難易度
模試はそれぞれ難易度、問われる知識の集合、雰囲気がかなり違っています。同じNBMEで番号が大きい3つでもかなり違いました。
体感の難易度では難しい順に、
UWSA2 >new Free 120 (2024) >> UWSA 1 > NBME 29, 30, 31
だったように思います。
公式サイト上で解けるNBMEのstep 1用の模試(Comprehensive Basic Science Self-Assessment (CBSSA))は全部で6個 (26 ~ 31)ありますが、番号が大きいものが新しいformで難しい傾向にあるようです。
また、Free 120については2024年に更新されており、新しいFree 120はかなり難しいとの評判なのでNBMEの模試でコンスタントに点数が取れているなら、仮に直前期に低い点数を取ってしまっても過度に心配する必要はないと思います。
効率的かつ安全に合格するために必要な得点ライン
現在USMLEはPass/Failになっているため最低限の勉強で切り抜けたいとおもうのが普通である一方で、一度Failするとマッチングでかなり不利になるという話もあるため絶対にFailしたくないところです。
したがって、受験者が気になるのは効率的かつ安全に合格するために必要な得点ラインだと思います。
note や redditの投稿、メディカルスクールのガイドライン、ambossのスコアプレディクターの結果、個人の経験を総合すると、本番と同等の環境や制限時間で解いたNBMEで65%以上を2回(1回は70%以上の得点)とFree 120で70%を超えるぐらいが過剰に勉強しすぎず不合格のリスクがない sweet spot だと思います。1回の模試の成績では安心できず、異なる問題集合・雰囲気の試験で合格圏の点数が取れるようになっているということが重要です。
NBMEの得点率と学習到達度についてですが、60%台に乗るまでに基礎力を要求されるためかなり壁があり、65%から70%台はある程度まとまった時間が取れる場合は2週間ほどで到達するようです。また、模試の復習をしていると70%台後半以上は、追加でかなりの勉強量が必要でPassを狙うだけならオーバーキルであるように感じました。
受験日の決定と合格ラインに乗ってからのメンタルの維持
以上を総合すると、受験日としては、NBMEで65%以上を取ってから1ヵ月以上(ただしこの期間はある程度勉強時間を確保したい)後に設定すれば安全であると思われます。また、自分は出来ませんでしたが、直前1週間の詰め込みはかなり重要であると思われるため、まとまった休みが取れる期間の最後に受験日を持ってくるのが理想的だと思います。
加えて、合格ラインに乗るとpass/fail の試験にこれ以上頑張る意味があるのかと思い失速しそうになるかもしれませんが、直前期の詰め込みが合格率を大きく左右することや step 1 の勉強は step 2 でも大いに役立つことを肝に銘じて最後まで走り抜けましょう。
実際、私の場合、フルタイムの長期インターンが終わったあとから試験日までの2日でもかなり伸びたように思いますし、step 1 の勉強をしっかりやったおかげで step 1 の受験が終わった後1ヵ月で step 2 の演習を1000問終わらせることが出来ました。
さいごに
USMLE Step 1 の合格は、単なる知識の詰め込みという面で見ても膨大であり、体系的で構造化された知識や深い理解がもとめられるため、効率的な学習計画と戦略が鍵となります。限られた時間の中で、どの教材をどう使い、どのタイミングで何を重点的に学ぶかを見極めることが、合格への近道です。また、模試を通じて自分の弱点を正確に把握し、的確に補強していくことが合格率を大きく高めます。
私は多忙な中での学習期間や勉強量の制限がありましたが、短期間で効率的に学ぶ方法を追求し、自分に合ったペースで進めた結果、合格を掴むことができました。特に、「何を覚えないか」、「何をやらないか」を判断し、勉強のコスパ・タイパを高めることを常に意識していました。
USMLE Step 1 は、あくまでマッチングや将来のステップへ進むための通過点に過ぎません。しかし、この試験を乗り越えた経験は、知識の向上だけでなく、限られたリソースの中で最大限の成果を引き出す力を養う機会でもあったと思います。
この記事を通じて、同じように限られた時間や環境の中でUSMLEを目指している方々が、少しでもヒントを得られ、目標達成の一助になれば幸いです。最後まで諦めず、ぜひ自分を信じて挑戦を続けてください。