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Bullshit Jobとベーシックインカム:BIはBJをなくせるか?

先日まで、Bullshit Job(クソどうでもいい仕事:なくなってもなんら社会に悪影響を与えない仕事。そして、その仕事をやってる本人もそれを自覚しながら働いているような仕事)の原因について考えてきました。

働く(=仕事がある)ことが神聖化されすぎているがゆえに、無意味な仕事でさえも創り出してしまうインセンティブが社会にはあるんじゃないだろうか?とか、解雇規制が強すぎてサボっている人も解雇できないので無意味な仕事をやり続ける人がでてくるんじゃないだろうか?とか、仕事が細分化しすぎて働き甲斐を感じられなくなってるんじゃないだろうか?とか、現場のことがわからない上司が具体性のない支持をだしまくるので、意味ないとわかっててもいやいや(上司の命令に従って)やる仕事がふえてるんじゃないか?とか、株式会社の仕組みや法律が、説明責任を求めすぎるが為に無用な書類づくりの仕事が増えすぎてるんじゃないか?とかいろいろと考えてきました。

そして、豊かな社会においてはそういうBullshit Jobが増える傾向にあるのではないか?ということが歴史から言えるのではないか、ということも見てきました。

Bullshit Jobを減らす方法

さて、ここからはこのBullshit Jobを減らす方法について考えてみたいと思います。Bullshit Job大量発生の原因を見てきたので、その対応を考えよう!というわけです。

ここで僕が注目しているのがベーシックインカムです。

ベーシックインカム

ベーシックインカムとは、国民全員に(収入に関わらず)一定金額を給付する、というもので、最近話題になっているのでご存じの方も多いかと思います。

ベーシックインカム(BI)はもともと、貧困対策や社会福祉の文脈で語られることが多かったのかな、と思います。様々な事情で働けない人がいたり、様々な事情で適切な教育を受けられなかったがゆえに仕事に就けない人がいるので、彼らも無条件で最低限度の生活を送れるように、一定額を無条件で給付する、というものです。

これには根強い反対の声があり、その代表的なものは

・無条件でお金がもらえるなら誰も働かなくなってしまうではないか!そしたら国が崩壊する!

というものです。が、世界中のいろいろな場所でBIの実証実験が行われていて、「無条件でお金がもらえる→人々が働かなくなる」ということは起きていません。「無条件でお金がもらえるなら働かない」というのは、ただの印象論であって、それをサポートするエビデンスはない、ということです。

詳しくはこちらの本に書いてあります。

むしろ、世界中で行われているBIの実験では、犯罪が減ったり、それによって裁判費用が節約されたり(つまり税金が他のことに使える)、という社会にとってポジティブな効果が高まることが分かっています。

(ベーシックインカムには、その給付金額や他の社会保障制度(生活保護や健康保険)との兼ね合いの問題等、細かいテクニカルな議論がたくさんあるので、ここでは深入りはしないでおきます)

Bullshit Job対策としてのベーシックインカム?

話を戻します。BIは貧困対策としての導入が検討されていましたが、僕は、BIがBJ(Bullshit Job)の削減にも貢献するのではないかなーと思っています。

なぜか。それをちょっと考えていきたいと思います。

「働かざる者食うべからず」の時代は終わった

BIを導入することは『「働かざる者食うべからず」という時代は終わったよ』という明確なメッセージを発することになると思います。

そりゃそうです。働かなくてもお金もらえるんだから、食うには困りません。これによって徐々に、仕事をしていないことに対する必要以上の嫌悪感は薄れていくのかなー、なんて思います。

「ああ、あの人いま充電中なんだね」「1年がっつり働いて半年休む、メリハリあっていいね」そんな感じになっていかないかなーなんて思っています。(もちろん、希望的観測ですが。)

解雇規制を緩和することによって労働市場の歪みを直すことができる

また、BIによって解雇規制は緩和することができそうです。解雇しても労働者が食いっぱぐれることはないので。子供がたくさんいる親も大丈夫です。子供一人一人に対してBIが支給されるので、子供も食いっぱぐれません。

そして、これは資本家が労働者から搾取できるようになる、ということを意味しそうですが、そうではありません。むしろ、何もしていないのに高い給料をもらっていて絶対に解雇されることもないという既得権益層から、やる気があるのに適正な賃金で雇ってもらえずに非正規雇用などに甘んじている弱者への所得移転です。会社は、年収1000万の何もしない人を解雇して、やる気ある年収500万の若者を二人雇うことができます。

BIがあることで雇用を流動化させても社会不安が生じることがなくなるのではないかなーと思います。そして、雇用が流動化すると、やる気やパフォーマンスに応じた給与を得られる人が増えるのではないかなーと思います。(もちろん、どの程度解雇規制を緩和するかは議論が必要ですし、解雇規制を緩和しても能力以上に給与をもらう人や、能力以下の給与しかもらえない人は一定程度存在してしまうとは思いますが。)

意義を感じられない仕事を辞める、という選択肢が生まれ、経営者に健全なプレッシャーをかけることができる

また、労働者側には、「社会的な意味や意義を感じられないような仕事なら辞めます」という選択肢が生まれると思います。もちろん、今もそういう選択肢は一応あるわけですが、食っていけないとなると意味や意義を感じられない仕事も続けるしかありません。

が、食っていけるなら話は別かもしれません。

全く意義を感じられない仕事なら辞めて少しの期間休憩して新しい仕事さがそうかなー、みたいな人も出てくるかもしれません。

そうすると、経営者側も、きちんと意味や意義のある仕事を社員に与えないと辞められてしまうので、労使の健全な緊張関係が保たれそうです。

こうして、BIはBJの原因を潰すことができそうなのです。

ということで、明日からはベーシックインカムの可能性について考えてみたいと思います。



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