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オフィス・ラブ② 

前回の「OFFICE LOVE①」から、1年以上期間が空きました。正直に申し上げますと、忘れてました(笑)。さて、LINEを交換して、はじめて職場の先輩とデートをする話でしたね。では、続きをお読みください。

下っ端の振る舞いはデートでも役に立つ


 これまでクラナンやバーでナンパした女の子と大人の夜を過ごしてきましたが、なんやかんやで職場の女先輩と二人で飲みに行くのは初めてでした。

「たいき君、今週お疲れ様でした。明日はいよいよ飲みだね。すごく楽しみにしているね。」

「お疲れ様です。私も楽しみです。明日の18時コミュニティーセンターの中で待ち合わせでも良いですか?

「うん。お店まですぐだし、室内だと暖かいからその方が良いね。じゃまた明日。」

 前日の夜、明日の待ち合わせの確認をします。寝る前に、オフの年上の女性はどのような振る舞いをしてくれるのか、私自身はどのような振る舞いをすればよいか、いろいろと雑念で頭がいっぱいで眠れませんでした。
 デート当日、職場の寮付近から出ているバスに揺られ30分、飲み屋街に着きました。地域のコミュニティーセンターの中で待っていると彼女からLINEが来ました。
「ごめん。着てく服が決まらなくて遅れます。店に入ってて」
 
 いくつになってもデートで着る服には時間がかかるのだなと感心しながら私は彼女より先に居酒屋に入ります。店に入り、あらかじめ予約をしてあった奥のカウンター席に座りまり、一足早く生ビールを頼みました。お通しの揚げ茄子をつまみにぐびぐび飲んでいるとカランコロンと店の戸が開きます。入口を見ると彼女が見えました。

「マキさん。お疲れ様です。どうぞこちらです」

 私は席から立ち、彼女を迎えました。1月下旬ということで、外は相当冷え込んでおりました。彼女のコートを掛けてあげると

「ありがとう。たいき君で紳士だね。女の子慣れしてる?」

「いえいえ、職場の上司に目上の人のコートは若い人が誰よりも早く持ってあげるのが社会人としての常識だと教え込まれたのでそれをしたまでですよ。」

「仕事以外でもやるのは、女の子とのデートでしてるからじゃない?」

「もー責めないでくださいよー。紳士にならなくても良いんですか?」

「んー紳士なたいき君が良いかな。そのまま続けてくれると嬉しいな」
 常に笑顔の彼女に癒されます。コートを脱ぐと、ベージュのワンピースとカーディガンのセットアップという清楚感あふれる大人の女性がにじみ出るコーデでした。ネック部分をあえて上げて、肩を広げた着こなしが少し色っぽく、居酒屋というよりは、シティホテルのレストランを選んだ方が良いと思うくらいきれいでした。

「ワンピースすごく似合ってます。仕事では絶対見れないであろうマキさんを見れて私は幸せです。」

「でしょー。たいき君が好きそうな服に合わせてきたんだー。肩見えるの好きでしょ?」

「あっいえ、いや、嫌いではないです。」

「ふふふっ。あたふたしているたいき君も良いね仕事でもそんな感じなの?たいき君と同じビール飲みたいな。」

「まぁ。はい。まだ慣れないことが多くてパソコンとにらめっこしていますすみません。生一つお願いします。」

「ふーん。仕事でわからないことがあったら私にも相談してね。相談10分につき、1件おごりね。」

 乾杯まで、マキさんのコーデや仕事の話をしました。普段職場とは異なるメイクをしており、いっそうキラキラと輝いていました。ようやくお互いのグラスが揃い、乾杯をしました。

女性というものは誰がしも悲しい過去を持っている

「お疲れー乾杯―。この前いったこと覚えてる?今日は、てっぺん超えるまで飲むから覚悟しておいてね。」

「はい。明日は死んでる予定を作ったので、覚悟はしてます。」

 マキさんはこの前のパーティで言ったことをしっかり覚えていました。その真意はどういうことなのかマキさんが酔っぱらってから聞こうと思います。〆サバと焼き鳥の盛り合わせが来ました。

「やっぱりここのサバはおいしいね。」

「はい。おいしいです。サバには日本酒ですよね。もう頼んじゃいますか?」

「おったいき君わかってるねぇ。じゃぁ頼もうかなぁ」

 それから日本酒を一人3合くらいは飲みました。マキさんの顔が赤らんできたところで、込み入った話をします。

「マキさんは、いつも明るく笑顔ですよね。その笑顔が私とても好きなんです。ただ、その笑顔の奥には辛い経験が潜んでいるのではないかなと時々思うんですよ。」

「好きだなんてやめてよー照れちゃうよー。んーまぁあるけどそんなたいしたことじゃないよ。たいき君私のことよく見てくれてるんだね。どうしてそう感じたの?」

「野生の勘です(笑)。でも、マキさんが職場の人と笑顔で話したあと、ちょっと切ない顔するんですよ。職場の人にはなかなか話せないと思うので、私でよかったら話してください。」

「んーたいき君には、話しても良いかな。実は私、昨年の秋に前の支店で付き合ってた職場の後輩と別れたんだよね。2年間付き合ってたけど、彼の親と私の親が合わなくて、私と結婚するんだったら絶縁するまで言われたんだってさ」

 彼女は、前の支店から付き合っていた3つ下の後輩と別れたとのこと。転勤してからも休みの日を利用してお互いの家を行き来していたとのことでした。婚約までしていたのですが、お互いの親に挨拶した際に、彼側の親が猛反対したとのこと、理由は宗教上の理由とのことでした。彼女は寺の娘らしく、彼側の親の偏見で寺の家ということだけで結婚がおじゃんとなったとのことでした。お互い好きではあったものの結婚となると首を縦に振らない彼に別れざるを得なかったということでした。彼女自身結婚適齢期を少し過ぎたぐらいの歳なので、別れた当初は相当落ち込んでいたようでした。

「湿っぽくなっちゃたね~なんかごめん。気分を変えてお店変えようか」

 そういうと、彼女は店員を呼び、会計を済ませてしまいました。

「いくらでした?」

「たいき君はいいよ。いっぱい話聞いてくれたし。早く次の店いこう」
二人は店を出て次の店へと歩きました。22時を回っており、道路は少し凍っていました。

些細なことでも行動次第でチャンスに変わる

「あっ!」

 慣れないヒールを履いていたせいか、彼女は凍った道路に足を滑らせて私の方に倒れてきました。幸いケガはありませんでしたが、私に抱き着く形でバランスを取っている状態です。

「大丈夫ですか?」

「うん。いきなり抱き着いちゃってごめんね。」

「これでもう滑っても大丈夫ですよ。」

私は彼女の手を繋ぎ、店へと歩きました。

次回は


 夜も二人の仲も深くなる流れとなりました。コートをとったり相手をほめちぎったり、手を繋いだりとお姫様対応を徹底しました。年上の女性、中でも職場で中堅的な立場となる人は、上司からも頼りにされつつ、後輩からも慕われる存在です。ですが、もう若手ではく、失敗は許されないとプレッシャーを感じる人もいます。加えてプライベートでは、結婚適齢期もしくはもう過ぎつつある時期を迎え、焦っている人もいるでしょう。そこで急に昔のような若い頃にしてもらった振舞いをされ、心の奥にしまった悲しい出来事や不安を掘り出されると心だけでなく、体も、、、ということになるでしょう。
 次回は、2軒目で私は、あるゲームを繰り出します。私が絶対に勝つゲームです。負けたことを口実にアクションを起こしました。乞うご期待です。この記事を見て良いなぁと思って「スキ」や「フォロー」をしていただけたら投稿のモチベーションがアップするので、是非お願いします。長らく見ていただきありがとうございました。

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