『米津玄師2025 TOUR / JUNK』新潟公演レポ(ネタバレ&自分語りあり)
米津玄師のツアー『米津玄師2025 TOUR / JUNK』新潟公演 2日目に行ってきました。
彼を知ってから約10年。機会に恵まれ、ようやく生で見ることが叶いました。
ここでは、主観や自分語りも混じえたライブレポートをお届けします。セットリストのネタバレを含みますのでご注意ください。
『米津玄師2025 TOUR / JUNK』新潟公演レポ
筆者は開場時間とほぼ同時に入場。事前に知ってはいたが、米津玄師のライブは入場時に初めて自分の座席がわかる仕組みとなっていた。
一種の運試しのようなものだ。そんな中で筆者が“引いた”のはステージからはかなり後方のブロック。
「遠いわあ…」と自分のくじ運のなさを呪ったが、全体が見渡せる良い席だと言い聞かせることにして開演を待った。
開演が近づくに連れ、客席が徐々に埋まっていく。客層を見るに、まさに老若男女。子供から大人まで幅広い年齢層の方々が開演を心待ちにしていた。
雷鳴と共に幕を開けた本編
定刻を迎え、雷鳴が赤一色の照明とともに鳴り響き、オープニングナンバー「RED OUT」からライブの幕が上がる。
最新アルバム『LOST CORNER』の1曲目として収録されているものをライブでも頭に持ってきた。
アルバムの中でも一際ダークなナンバーで、会場は早くも熱気に包まれる。
ちなみに筆者はこの時点で泣いてた。あまり褒められたことでは無いが、憂鬱な青春時代を生き抜く支えとして、ある種神格化していたアーティストが、今目の前で歌っている。その事実に堪らなくなってしまったのだと思う。
勢いそのままに、次曲「感電」を披露。
雷(もしくは電気)を彷彿とさせる楽曲が続き、会場はさらにボルテージを上げていく。そしてこの曲からバックダンサー・TEAM TSUJIMOTOが集結。躍動感溢れるダンスを披露し、ステージを彩った。
3曲目「マルゲリータ」はアイナ・ジ・エンドを迎えてのものだが、今回はソロで歌唱。いつか2人で歌ってるところを見たい。
4曲目にいくところでギターを担いだので、「最近のギターサウンドの曲?なんだろう…」と短い時間で脳内を検索した。答えが出る間もなく演奏されたのが、「メランコリーキッチン」。
この曲2014年リリースですよ。11年前。筆者にとっても思い入れの強い楽曲なので涙腺に大きなダメージが来た。これには観客も大歓声。みんな大好きメランコリーキッチンでした。
しかし彼の楽曲は色褪せることを知らないというか、色褪せてもなお味を残しているというか。無限に味のするガムかな?
MCの具体的な内容についてはX(旧Twitter)で皆さんが語られていたので省きますが、新潟公演2日目で特筆すべきことは新潟を仙台と言い間違えたり、「がらくた」をライブで披露するにあたっての所感を巧く語りきれず、「まあ、要するに来てくれてありがとうってことなんだけどね」ってコミカルにまとめていたところでしょうか。
「かわいい!」と観客が叫ぶ一幕も見られた。容姿や性格を売りにしていないアーティストへの声援としては、些か失礼ではないだろうかと思っていたが、本人が「かわいいのは知ってんだよな」とベストアンサーを返していたのでまあいいか…
劇的な幕開けからMCを挟み、「LADY」、「Azalea」、「ゆめうつつ」と、ゆったりとした曲を続け、会場は落ちつきを取り戻していく。隣のカップルは「ゆめうつつ」あたりで「眠くなっちゃった」って言ってた。
かくいう私も「さよーならまたいつか!」や「地球儀」を披露したライブ中盤では、座って静かに感動していた。
彼の書くバラードは、なぜこうも情景が鮮明に浮かぶのだろう。個人的な思いも持ちつつ、観客一人一人にそれぞれのストーリーがあって、十人十色の解釈をもっているんだろうなと、後方ブロックから会場を見渡していた。
ハッと目が覚めるような光景 強烈な4分間
「YELLOW GHOST」、「M八七」と続き、すっかり落ち着きムードな会場。しかし「海の幽霊」で全員の目が開く。表題通り、ハッと目が覚めるような光景が広がった。
映画『怪獣の子供』の映像をふんだんに使用したMVが、朱鷺メッセの大きなスクリーンに映し出される。
鮮やかな海や星空のシーンでは、スクリーンが大きな水槽や空の役割を果たしていた。特に海の強烈な“青”の美しさたるや。
当然映像だけでなく、デジタルクワイアを使ったダイナミックな歌が響く。本公演で一番鮮明に覚えているのがこの4分間だ。
後半パート〜本編ラスト
後半パートは、アップテンポな楽曲が立て続けに会場を盛り上げる。
「LOSER」では、いつの間にかステージに出現していた鉄骨に登ってパフォーマンス。観客が合いの手を入れる一幕もあったり、<聞こえてんなら声出していこうぜ>の歌詞に煽られるように、フロアのボルテージは最高潮へ向かう。
同曲を歌いきって、間髪入れずに「KICK BACK」の凄まじいイントロベースが轟く。真っ赤な照明をバックに、TEAM TSUJIMOTOが先ほどの鉄骨を覆うような配置でパワフルなダンスを披露した。
ラストサビの畳み掛けでは米津が手持ちカメラを持って大暴れ。乱れた髪、額に滲む汗。まさにカオスなパフォーマンスだった。
攻撃はまだ終わらない。息つく間もなく「ピースサイン」を披露。観客がピース(✌️)を掲げており、これぞライブと呼ぶべき一体感を魅せていた。米津バンドサウンド最高。
筆者大泣きポイント
ここまで読んでくれた現地参加の皆さんなら、次に披露された曲がなんだったかお分かりですね?そう!
「ドーナツホール」でございます!
声は出さなかったものの、筆者は喜びのあまりその場で拳にグッと力を入れ、天を仰いだ。で、イントロの時点で大泣きしてた。圧倒的すぎて笑いながら泣いてた。
時は2013年、ハチが大好きなボカロオタク中学生だった筆者が報われた瞬間だった。これを書いてる今も泣きそうになるくらいには大きなものだった。
見てるか中学の俺。お前が彼を好きでいてくれたからこその光景が目の前にある。
ちなみに、「ドーナツホール 2024」について詳しく書かれており、そして大きく頷いたコラムを紹介しておく。興味があればぜひ読んでいただきたい。↓
そして本編ラストは「がらくた」。
薄暗い洞窟(もしくは坑道)の中を進むような映像が映し出され、暗がりを手探りで進むように曲も進行していく。
“壊れていても かまいません”
人は誰しも欠落した部分を抱えている。その事を受け入れて生きていくことを優しく歌い上げる。
荒んだ心が浄化される――とまではいかずとも、心のメンテナンスには贅沢な空間だったことに間違いはない。
「ありがとうございました!米津玄師でした!」
暖かい拍手に包まれながらステージを後にする米津。こうして21曲の本編が終幕となった。
超大団円のアンコール
本編終了から鳴り止まない拍手を受け、新曲「BOW AND ARROW」からアンコールがスタートする。
TVアニメ『メダリスト』OPテーマとして書き下ろしたもので、歌い終わった後には「全員読んでください」とやや早口で語り、原作のファンぶりを発揮していた。
続けて新曲「Plazma」を披露。こちらも劇場先行版『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』主題歌に起用されている。
リリースカットピアノとボーカルチョップをふんだんに使用しており、近年のボカロ曲によく見られるサウンドメイクを感じた。
サビの爆発力も抜群。無限のエネルギーを感じる楽曲だ。
バンドメンバーの紹介を挟み、ラストナンバー「LOST CORNER」を披露する。
ここでグッズ化されているリイシューねこちゃんと共に、車に乗って登場。なんか売られているものよりでかい猫ちゃんも乗ってたな。あれほしいよな。
「どうかここが息のつける場所になるように」と語っていた本公演のラストにふさわしい楽曲だと思う。
自身を取り巻く現実がどうであろうと、“まあそれはそれで”楽しく生きていけたらいいじゃない。そんなニュアンスを含んだ軽快なナンバーで本公演は幕を閉じた。
米津がステージを去った後、「おはよう」とともにエンドロールが映し出され、最後に“米津玄師”のクレジットが現れると、観客からは惜しみない拍手が送られた。
グッズを片手に、ライブ後の独特な雰囲気を楽しみながら帰路に着く。「LOST CORNER」の記憶が色濃く残っていたからか、その足取りはいつもより軽かった気がする。
ここまでご覧いただきありがとうございました!
(誤記等ありましたらご連絡ください。)