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怪我と本気で向き合う

怪我で苦しむアスリートに是非とも読んでいただきたいです。

僕は今まで数え切れないほど怪我をしてきました。
手術は5回(肩3回、膝1回、足首1回)、両ハム肉離れ、鼻骨折、脳震盪も何度もしました。

僕が高校の時は1度も怪我をしたことがないぐらい怪我には無縁の選手でした。
しかし、大学に入ってから今まで毎年何かしらの怪我をして1年を通して怪我をしなかったことがありません。

高校の時は怪我とは無縁だったのに怪我が頻発することが不思議で仕方ありませんでした。
ただ、レベルが上がりコンタクト強度が上がったから仕方のないことだと考えていました。
しかし怪我と本気で向き合いようやく気づいたことが、怪我はほとんどがなるべくしてなっていたということです。

怪我の種類には必然と偶然の2つあります。
必然の怪我とは体のバランスが悪くなっていることによる怪我やプレースタイルによる怪我などがあります。
偶然の怪我とは相手に巻き込まれて膝を怪我するなど、自分に関係のない要因で怪我をすることです。

僕の今までの怪我の全てを考えたところ9割は必然の怪我で防げた怪我でした。

3回も肩を手術したので、肩を例にあげて説明します。

僕は両肩亜脱臼で手術し、関節唇損傷で右肩を再び手術しました。
大学時代両肩を手術したのですが、今までは運が悪く怪我をしたと思っていましたが、必然の怪我でした。

怪我をした理由が2つあります。

1つ目はウエイトトレーニングです。

大学時代は今とは比べものにならない程ウエイトトレーニングを頑張っていました。
1週間に20時間ぐらいする時もありました。
もちろん体を大きくする為にウエイトトレーニングは必要ですし、今の帝京大学ラグビー部が強いのはフィジカルが強いことが大きな要因です。

ただ、僕はウエイトトレーニングのやり方を間違えていました。

ラグビーの時間より圧倒的にウエイトトレーニングをする時間の方が長かったと思います。
それは悪い事ではないのですが、鍛える部位のバランスは確実に悪かったです。

ベンチプレスの記録を更新したいから背中のトレーニングより胸のトレーニングを2倍以上していました。
そうすると体はどうなるか。
大胸筋(胸)が広背筋(背中)より発達するので肩が前に出てしまいます。
肩が前に出るとどうなるか。
肩が脱臼しやすくなります。

簡単にいうと、自ら怪我のしやすい体へと努力して作り上げていったということです。
自分の努力は報われることなく、努力が怪我を誘発させたのです。
これってとても勿体無いことですし、バカですよね。
ただ、このミスをする人がラグビーに留まらず他のスポーツでも山ほどいます。

ちなみに肩の他にも腹筋をやりすぎて姿勢が悪くなることもアスリートが陥りやすい間違えたトレーニングです。
腹筋を1時間するなら背筋を1時間しないといけません。
ただ、ほとんどの人が腹筋を割りたいから腹筋ばかりやります。

では腹筋を割ってラグビーにプラスになるかと聞かれたら僕はこう答えます。
腹筋と背筋とのバランスがうまく取れていればプラスになります。
しかし、バランスが取れておらず腹筋だけが強い場合は怪我をするリスクが高まるだけでなくパフォーマンスは低下する可能性が高いので、絶対にマイナスになります。

僕は帝京のトレーニングが駄目だとは全く思っていません。
帝京のウエイトを教えてくれるコーチは本当に素晴らしく、帝京が連覇しだしたのはそのコーチが来てからです。
だから僕はそのコーチが大好きですし、これを読まれた方に勘違いしてほしくありません。

伝えたいのは体のバランスが大事ということです。
胸のウエイトを1時間半したらその分背中のウエイトを1時間半すればいいだけの話です。
しかし、僕はベンチプレスを上げる方がかっこいいと思い、胸のトレーニングを3時間に対して背中のトレーニングを1時間半しかしてきませんでした。

ウエイトトレーニングはラグビーで活かすためではなく、体を大きくしてカッコよくすることや数値を上げることが目的に変わっていたような気もします。

2つ目は自分のプレースタイルです。

僕は何事でも全力ですることが正しいと思い込んでいました。
もちろん全力でやることは大事ですが、何事にもやりすぎはいけません。

英語で「less is more」という言葉があります。
これは「少ないほうが豊かである」という意味です。

ここの例に出す言葉として合っているかはわかりませんが、「足りないぐらいが丁度いいこともある」ということを言いたいです。

僕のプレースタイルは簡単に言えば特攻隊のようなプレースタイルでした。
全てのタックルの場面で100%の力で相手をぶちかましに行っていました。
ATのキャリーも同じくです。

もちろんそれをした方がいい場面はあります。
ただ、最近ラグビーIQが高くなって分かるのですが、100%で行く場面と行かなくていい場面があります。

例えば敵人22m付近で相手がキックで脱出しようとしている場面があるとします。
その時に角度が悪いので1度FWを当てて次のキックの為に角度をつける場面があります。
その時のDFでも僕は100%のタックルをしていました。
しかし、そのシーンでもちろんビッグタックルをして悪いことはないのですが、良いタックルをしてもそれほど効果がありません。

全て100%でいくとそれだけ怪我のリスクは大きくなります。
リーグワンには体の強い外国人選手が多くいる中で、馬鹿正直に正面衝突すると体が壊れるに決まっています。
自分の強みを理解してうまく力を抜き(脱力)相手の力を逃すスキルが必要です。

D-Rocks1年目、すごく体の調子が良くプレシーズンを過ごしていました。
プレシーズン最後のレッドハリケーンズ戦で偶然の怪我で内側靭帯を損傷しました。
そこで怪我をしなければ開幕戦はスタメンでした。
しかし、怪我をしてしまったので急いで復帰に向けてリハビリをして、1ヶ月半で復帰しました。
復帰した日の練習でステップを切り半月板を損傷して手術になりました。
この怪我は内側靭帯をかばっていた為、内転筋が全く機能しておらず、必然的に怪我をしました。
手術をしてリハビリを行い、3ヶ月で復帰しました。
リザーブで出場した復帰戦の釜石シーウェイブス戦、特攻隊のようなキャリーをして右肩関節唇損傷してまた手術しました。
そしてシーズンを終え、しかも入れ替え戦で昇格できずに終わりました。

本当に悔しかったですし、自分の哀れさや何もチームに貢献できなかった虚しさを感じていました。
来年こそはと思い、体を見つめ直す1年が始まります。

神戸の有名な治療院に通い自分の体と見つめ直しました。
すると「筋肉のバランスが悪すぎる」「これでは怪我をする」と言われました。
「この体つきはラグビー選手に多く、本当に勿体無い」とも言われました。

この治療院や昨年から取り入れているパーソナルトレーニングのおかげで体のバランスは改善され怪我をしにくい体に進化しました。
今年は絶対に大丈夫と心に言い聞かせて2年目のプレシーズンを迎えました。

本当に調子良かったですし、自分のプレーに自信も持てました。
しかし、またプレシーズンマッチ最終戦のサントリーサンゴリアス戦で脳震盪を起こし、その影響で1年間プレーできずにシーズンを終えました。
怪我がなかったら開幕戦スタメンでした。
2年連続同じ轍を踏みました。

ただ、昨年と違う点は必然の怪我の一つである体のバランスは問題なかったということです。
これは成長だと思います。

しかし、2つ目のプレースタイルが駄目でした。

昨年はD-Rocks1年目よりも虚無感や悔しさを感じて練習もできないもどかしい日々を過ごしシーズンを終えました。
正直メンタル崩壊していました。
ただ、チームが入れ替え戦で勝ってくれたのが本当に良かったです。

この自分の必然の怪我により2年間を棒に振りました。
しかし、「人生は必要なことしか起こらない」と声をかけてくれた友がいます。
この失敗を活かすも殺すも自分自身の考え方で決まります。
この失敗から何を学び何を気づきどう行動に変えるかが大事です。

この学びから怪我と本気で向き合い、体のバランスの大切さと自分のプレースタイルを見つめ直すことができました。

「2度あることは3度ある」という言葉があります。
僕はそんな何度も同じ轍を踏むバカではありません。
これでまた怪我をしたら笑ってください。

ただ、僕は3度目は絶対に起こさせません。
その為に本気で悩んで、考えた今があります。

これからは本郷泰司ver.2を見て頂ければと思います。

大変長くなりましたが、最後まで読んでいただきありがとうございました!!





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