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【#毎週ショートショートnote】ごはん杖

「あの山には、一振りすれば飯が出てくる『ごはん杖』が奉られている」
 昔々、何人もの村人が山へ入ったが、戻ってくる者は誰もいなかった。
 ある日、一人の男が「儂が行く」と言った。その年は飢饉に見舞われ、頼みの綱は『ごはん杖』しかなかったのだ。
 村を救うため、男は頂上を目指す。
 どれだけ険しい山道かと思ったが、緩やかな道だけだった。
 恐ろしいものが出てくるかと身構えたが、可愛い動物たちが出てくるだけだった。
 なぜみんな戻ってこなかったのかと男は首を傾げるが、頂上に着いた時に分かった。動けないくらいに太った村人が所狭しと転がっていたのだ。
「どうしたんだ。神様に姿を変えられたのか?」
「いや、『ごはん杖』は小さな結界があってここから持ち出せない。でもこの結界内にいればずっと食べ物に困らないんだ」
 そういって杖を振ると、目の前にご馳走が出てきた。男は思わず唾を飲み込む。
「お前もずっとここにいよう…」
 男はただそこに立ち尽くすしかなかった。(410字)

今週も参戦しました!
さてさて男はどういう答えを出したのでしょうか??
本当はもっとブラックな感じにしたかったのですが、字数制限で書ききれませんでした…。
『ごはん杖』あったら、毎日楽だなぁと怠惰なことを思ってしまいますが、絶対太りそう。

#毎週ショートショートnote
#ごはん杖

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