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川島 太一
2022年6月18日 07:52
今だから言うけどさ、君を最初に見た時、正直「ダサッ」って思ったんだよね。 父さんと一緒にドイツと韓国に行った君はその後、実家の2階の物置の奥にいたね。僕が二十歳の時、大学の春休みにドイツへ1ヶ月間行くことを知った父さんが、突然君を引っ張り出してきた。「見た目よりも頑丈だから、ドイツの石畳でも大丈夫だぞ」 高さ60cm、幅35cm、奥行き20cmのそれ程大きくない君は、紺色の布地に母さん
2022年6月4日 09:27
「これ、実家の近くの場所じゃない」 5月のある日、新聞に掲載されている写真を見て、思わず呟いた。そこには黄色い絨毯のように広がる向日葵畑とその隣を通るドクターイエローが写っていた。私にはこの黄色い車体を見聞きするたびに思い出す出来事がある。 2013年の2月、私は東京にいた。3月1日には転勤でパリへ赴任する。事前研修やビザ手続きなどのため、たった2ヶ月間だけ東京に滞在していたのだ。もともと地