私の大学というより学部は工学系の学部で私のキャンパス(僻地であり、いわゆる本キャンパスではない)図書館もあるのだがもちろん工学系の本がずらりだ。私は学問にほとんど造詣が無く図書館は本を借りる場所というよりも課題を片付ける場所としかみていない。そして今日も課題をやっつけるべく図書館に来ていつもの自習スペースに向かう。その途中「恋」を見つけた。正確には本の背表紙の題の一部に恋と書かれていたのを見つけたのだ。工学系の本ばかりを毎日見ていたのでむむむと気になった。題名は恋ごころの科学。その帰りどうしても気になって借りてしまった。私はその日読むと決めていた本をほっぽり出して電車の中で読んだ。内容は心理学でも統計を使ってちゃんと分析を行うという感じの社会心理学系の本だった。こんな本がうちの図書館にあったとは。そしてあとあと気が付いたのだが恋ごころの科学という題名の本を読んでいるとこいつは童貞で勉強しかできない今まで女性経験のない男なのだろうと周りから見られていたのではないかと思った。しかし弁明しておこうこれには一つ間違いがあって童貞で女性経験がないことは全く持って間違いないが、勉強もできない。大学受験で使い果たした脳みそはもう焦土、焼きただれていて使い物にならないのだ。そこそこの大学に行ってるから(我ながらそう思っている)といって高く見ないで欲しい。わき道にそれた。もう本流すら見失ったが。まあそんな感じで一生読んでいたのだ。本を読み終えたときもう自分の降りる駅を超えていたことに気が付いた(私は学問系の本は速読することができるのですぐに読み終えてしまう。速読の方法を知りたい人は下記メールへ。)。次に駅で降りて、逆向きの自分の降りる駅に向かう電車に乗った。ついて降りようとすると財布がない。いつもポッケにいれているのでかばんに入っている可能性はまあない。私はこの時点で財布は絶対に落としたのだ、すとんと確信した。事実かばんの中をまさぐるも全くなかった。冷静に駅員さんにどうすればいいかを尋ねた。結果定期を指し止めて新しい定期を作るようになった。無くしたことよりも手続きのめんどくささが勝つ。とはいえ戻ってきて欲しいとは思っていた。中には現金定期クレカ学生証コメダ珈琲の回数券などなどが入っており無くてはそこそこ困るのだ。全世界の人間が裕福で大学生のはした金を抜き取るようなことはしないでくれとちょっと思った。家に帰ると母が心配そうに聞いてきた。私が冷静過ぎてそれに困惑しているようでもあった。のんびりクレカの停止もできバイトに向かった。定期の再発行、クレカの停止をしていたのでちょっとぎりぎりになった(のんびりしている自分が悪い)。その途中家から電話があった。今度は何か忘れものでもしたか、ああ戻るのが面倒だと母親が歓喜の声で財布見つかったで!というまでに考えていた。あっけなく財布が見つかってしまい面白くなかった。それほど財布を無くしたことを悔やんでおらずむしろその後の手続きを面倒としていた私は落胆した。もう少しのんびりと、バイトが終わったあとにでも手続きをしようとしていれば一切の手続きをせずによかったのにと思った。でも財布が出てきてよかったとも思った。
後日財布を受け取りに行くと駅には韓国の人がたくさんいてびっくりした。みんな春休みに入ったのだろうか。中身は一切抜かれておらずクレカも定期も無傷、現金もそのままだった。どこかの裕福で心優しい人がとどけてくれただろうか。でも定期は作り直しで手数料はかかるしクレカはもう一度作り直しだ。ああ面倒くさい。