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続・僕の住む町のとある住民検討会
なんだろう、この感覚。虚しいとまでは言わない。けれども、時には態度や言葉で自分の感情を示したいと思ってしまいます。
住民間の熱量の共有が、今後の大きな課題となりそうです。
経緯
5年前に僕の移住した福井市沿岸部の国見地区で、今年4月に住民主体で設立した「学校再編と未来創造検討会」は、はっきりとした対立構造がある訳ではありませんが、概ね、学校の統合を推進したい若い世帯の層と、地域の過疎を懸念して統合に慎重な姿勢を示す中堅世帯の層で、意見が分かれています。
この辺りの詳しい経緯を知りたい方は、前回の記事をお読みください。
ただ、KJ法を取り入れたワールドカフェ方式のグループワークを行うなど、なるべく小さな声の意見も拾えるよう対策した上、審議を重ねて来て見えてきたことは、学校が統合する・しないに関わらず、「人口減少対策の徹底と、地区独自の文化をいかにして守っていくか?」という、普遍的課題の認識です。
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検討会は、本会議として「住民検討会」を年4回設定し、その検討会の方針を決める企画会議として「運営委員会」を本会議の前後にそれぞれ設定しています。さらに、運営委員だけでなく、一般地区住民にも参加を促し、小規模で意見交換を行う「公聴会」も合わせて実施しており、2024年11月末現在、「住民検討会第3回」までが完了したところです。
そんな中、僕は運営委員長という立場で、本会議の企画会議や公聴会を取りまとめる仕事を預からせていただいています。(もちろん無償です。。)
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検討会第2回までで、概ね上記の認識が共有できた中、検討会第3回では、他地域の成功事例を紹介してもらう講演会、学校統合に関わる他地域からのゲストとの意見公開、そして我が国見地区としての方向性をまとめた提言として「A案 / B案」の原案発表を行いました。
A案とは、「積極的統合案」と命名し、ただひたすら地区の衰退を待ち、やがて仕方なく統合するのではなく、今こそ積極的に4校ある海岸エリアの学校を統合し、魅力的な学校を1つ作って、移住者を呼び込もう、という案です。この案は、市内の校区制度を特例的に緩和して、市街地からも児童を呼び込もうとしている点も特長の1つです。
他方、B案とは、「移住者誘致案」と命名し、学校の統廃合に論点を絞るのではなく、先程述べた「人口減少対策の徹底と、地区独自の文化をいかにして守っていくか?」という課題に対策するため、例えば「お試し移住体験プログラム」を東京、大阪、京都、愛知など大都市に住む子育て世帯に呼びかけられるように、仕組みを作っていくため、空き家整備や不足する町づくり人材支援のための制度作りを検討していく案となっています。
参考URL: 「振り返り~A案/B案の提案までの経緯」
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正直、ここまでの内容を半年間で詰めていく作業は、なかなか無理があったのですが、我が子の行く小学校はどうなってしまうのか、という焦りを持つ現役子育て世帯の期待に応えるため、自分なりに精一杯頑張ってきました。もちろんそれには、周囲で支えて下さる事務局、運営委員、地区住民の皆様あってのことです。
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辛抱と感謝。ここまでが話の前座だった訳ですが、検討会第3回そのものは、特に他地区のゲストの交流機会を設けた点において、互いに良い刺激となり、有意義であったとは思います。
しかしながら、肝心な国見地区の現役世代の参加がひどく少なく、その成果の喜びを分かち合える仲間が少なすぎる点は、残念でなりません。
今後、学校の統合問題を超えて、地区の過疎対策や活性化、地域づくりを実行していく上では、冒頭に申し上げた「住民間の熱量の共有」が悩みの種となってきそうです。
意思統一の難しさ
しかし改めて振り返ってみれば、当初から本検討会では、4回の会議をもってしても、学校の統合について「賛成」とも「反対」とも、結論を出すのは難しい見通しでした。
それが、ワールドカフェ方式のグループワークを通して、地区住民の多くの共通認識として、「学校統合問題」が表層の課題であり、根っこはこの国見地区への愛情で皆繋がっていると分かったことは、素晴らしい成果なのかも知れません。
失礼を承知で比較しますが、隣の越廼地区では、子育て親世代の意思統一が図れなかったため、実質、小学校の児童達は散り散りになりました。つまり、幾人かは地元に残り、幾人かは隣地区の学校に通うことにしたり、それ以外は市街地へ引っ越したり、と。
児童とその家族達にとっては、悲惨な事だとつくづく思います。こうなる前に手を打つのが、在るべき行政の仕事なのですが。
越廼地区でこのような事態が起こったとき、僕は地区住民の「意思統一」を図ることなんて可能なのだろうか、それはどういう状況を示すのだろうか、と想像力がそれ以上働きませんでした。
国見地区においては、統合慎重派の人達も居る中、僕は地区の方向性として堂々とA案、すなわち臨海エリアでの小規模統合案(ただし「校区規制の緩和」と「魅力的な学校づくり」という条件付き)を掲げることにしたのは、越廼の二の舞をどうしても避けたかったからです。
統合案を掲げても、真向からそれに反論する人が(今のところ)現れないのは、1つには国見地区住民の「船乗り気質(秩序を重んじる気性)」があり、もう1つには僕が移住者として中和的な立場であることを上手く利用できたからだと思います。
熱量の課題
移住してきて、僕の住む国見地区内でも、例えば隣り合う小丹生町と大丹生町であっても、全然人の気質が違ったりすることに驚きました。
でも福井という土地柄は、全体での秩序を重んじる気質があるようで、上層の人間が決めたことならばと、素直に従うようなところがあるように思います。
それは良い面もありますが、当然、悪い面もあります。例えば、これも失礼を承知で言いますが、自ら社会の課題に向かっていこうとするような気迫に欠けます。中には、尖った考えを持つ人達もいるはいるのですが、少数派の「変人」扱いをされます。福井はコミュニティとして、簡単に言えば、凄く保守的です。
だからこそ、こういった課題を自分事として捉え、自ら積極的に働こうとする人材が乏しいように感じます。
特に、はっきり言いますが、統合案を押す国見地区の若い世代に言いたいことですが、かなり彼らの意見に寄せたA案なのに対し、もう1つのB案、すなわち「移住者誘致案」に対し、彼らの関心が薄いことに、僕は大きな不満を感じています。
どこに目標(ゴール)を持ってくるか
「学校再編」という、ある意味分かり易い課題を利用して、地区のビジョンを考えようとした今回の取り組みは、検討会が発足し、第2回でワールドカフェ方式のグループワークを実施できた辺りまでは、成功と言えたかと思います。
しかし、話題の中心が「学校再編」から少しでも外れると、若い世代が付いて来てくれない点は、「町づくりはそんなに甘くない」という現実を突き付けられました。
僕の一番の目論見は、失敗です。結論を急いでしまったのが、失敗の要因の1つでしょう。
福井という土地柄に合わせて、今後は他地区で同じく危機感を抱いている壮年層と話を進め、迅速に統合へ持っていくのが、地区のメリットを据えた僕の仕事でしょうか。
いや、統合するか、しないかなんて、僕にとっては本当はどちらでも良かったのです。本当に成し遂げたかったことは、僕自身も国見地区住民というアイデンティティを形成しつつある中、同じ国見地区の若い世代と繋がり、共に何か新しい活動を展開することだったのです。
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虚しいとまでは言いません。成果は得ました。けれど、まだ独り相撲を取っている感じが否めません。
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参考URL: 国見地区「学校再編と未来創造検討会」ドキュメントポータル