見出し画像

芸人を目指したきっかけ#終

専門学校を卒業し一浪して一般就職が決まった僕は、昔からお世話になっている知人にお祝いをしてもらった。その時知人が放った言葉で、
「まぁ一般企業うまく行かなくてもまたアニメーション頑張れば良いし、お笑いやってもいいじゃん」
がものすごく引っ掛かった。
すぐ仕事を辞めちゃうことはどうなんだ?と思ったけど、アニメーションに転身するはまだわかる。
問題はなぜ目指す気もない芸人という選択肢を
与えたかだ。
僕が理由を聞くと「だって君頭おかしいじゃん」
と言われ、僕が自分で頭のおかしい人間だとも
思ってないし、頭おかしいだけではやっていけないだろうと疑問を抱きながらその日は終わった。
めでたくして僕は入社し、仲のいい同期も出来た。
寮生活で研修終わりは良く遊んでいた。
同期の1人がタロットカードを趣味でやっていて
遊びがてら恋愛運や仕事運を占ってもらった。
タロットカードで何が出たかは覚えていないが
仕事運に関しては今の仕事とは違う仕事にいずれは転職するのも一つかもしれないと言われ、
前回知り合いに言われた、あの言葉を思い出したが
まだその時はそこまで何も考えていなかった。
その一ヶ月後研修が終わり、同期達はそれぞれ違う部署に配属になり、同期で寮暮らしは僕だけになった。一気に孤独感が襲われた中、一件のラインが
入っていた。相手は数年前にNSCに一ヶ月だけ入って辞めてから音信不通だった友達だった。
「久しぶり、元気してた?」
僕はその一言だけで懐かしさと嬉しさが込み上げ、
同時にお笑いをやる気はまだあるのかと聞きたくなった。
それは僕が知り合いの人やタロットカードで
占ってくれた友達に芸人を勧められたからである。 
仕事終わりに電話の約束をした。
友達はすぐに電話に応じてくれた。
久しぶりやなぁ〜みたいな他愛もない会話をした後、僕はお笑いをやる気はまだあるのか確認した。
すると友達は「俺ももっかいお笑いやろうか考えててん」   
お互いの意欲が合致した瞬間だった。
あまりにも奇遇すぎた、お笑いをやるということに   
駒が進みすぎている。
どうやら、友達も入社したての仕事で失敗ばかりで
うまくいってないせいで芸人人生の再出発をくすぶっていたらしい。
僕もその当時、同期は全員営業で地方に旅立ち
寮生活の工場職に1人取り残され、課長には
毎日パワハラを受けていたのでだいぶ精神が滅入っていたのでお互いの状況も被っていた。
芸人をやろうというきっかけがすべて揃ったので
二人で来年NSCに入学することを決意した。
僕はそれから毎日漫才のネタを仕事の合間に一本ずつ書き続けていた。定期的に友達とも連絡をしつつ
僕はNSCの面接にも受けた。
パワハラ課長からの仕事を中々辞めさせてもらえない圧力もなんとか押し切り年末に仕事を辞めることにした。
しかし、そのとき友達から思いもよらぬラインが  
返ってきた。
「おれ、やっぱりNSC入るのええかな。
なんか親も反対してくるし、金もないからさ。
まぁオーディション合格とかでなんとかなるんちゃう?」 
僕は何か体が冷めていく気がした。
あれだけ高校時代お笑いを熱く語り合っていたのに、理想の芸人像や芸人になっての目標もかかげていた、一度は芸人をやめてしまったけどまたこうやってお互い芸人をやろうという決意も生まれた。
それなのにこのいい加減な文面ったらありゃしない。
こいつはお笑いを舐めてるのか?
本当に心の底からお笑いをやりたいのか?
電話で真意を聞きたかったのでその日の夜中の12時に約束をした。
しかし約束の時間が来ても彼が電話に出ることはなかった。朝の4時までは待った、けど相手は通話中だった。
僕は完全に裏切られたと同時に怒りが頂点に達した。
「お前みたいないい加減な人間が芸人なれるわけないやろ!お笑い舐めんな!クソッタレボケカスコラー!!!」
このような文面を50行送ってブロックした。
完全に縁を切り、僕は1人で2021年4月NSCに入学
することになったのだ。


ようこそお笑い芸人へ、、、、、、、。 

お笑い芸人になったきっかけ(完)

奥田大雅のポンコツ芸人への道に続く           
 






いいなと思ったら応援しよう!