小説の得意ジャンルの見つけ方

 小説を読ませたら、お前に物書きの才能なんてないって言われた人、いるでしょうか。こんなひどいことを言うやつは無視するに限ると思います。てか、そもそも才能ってなんなんですかね。
 村上春樹は天才だ、と言ったらまずみんなうなずくと思います。海辺のカフカとか読んだことありますけど、すごかったですね(小並感)。
 プロが書いてるみたいなものが書けなかったら凡才なんですかね。でも他人の成功とか作品をだしにして、相手をこきおろすような真似をするのってずるいと思うんです。

「こんな作品は売れないよ。売れるのはもっと、東野圭吾とかそういうのとかさあ」

 そんなこと言われても困ります。大作家と比べられちゃったら、大半の人は言い返せません。
 多分、他の人と比べるべきじゃないんですよね。あの子が18歳で芥川賞受賞しましたとか、この子は東大卒の作家です、とか自分とは関係ありませんからね。他の人が成功していて自分がそうじゃないからって、なんであなたに才能がないことにはなりません。
 そんなのより、自分に何が書けるのか、それを見つけるほうが大事なんじゃないかなって気がします。
 そこで今回は、どうしたら自分に何が書けるかを見つける、いわゆる自分の持ってる才能を見つける方法について考えてみました。参考になれば、幸いです。

面白さは無限にある

 同じ作品でも、人によって感じ方は違います。『海辺のカフカ』を読んで、面白いって思う人もいれば、つまらないっていう人もいるでしょう。わけのわからないことをそれっぽく書いてぼろ儲けしてるだけじゃないかっていう難癖付ける人はさすがにいないと思いますけど。
 万人受けするものなんて作れないですよね。村上春樹を基準に据えるべきかどうかって問題はあるんでしょうけど、どの作家でも同じような結果になると思います。Aさんは面白いって言ったのにBさんはつまらないと言った、なんてしょっちゅうです。
 面白い小説を人に読ませたい、と思ったら、やはり自分が面白いと思ったものを書いて、自分と似たような嗜好の人間に喜んでもらうって方法しかないと思います。
 そして、自分が面白いと思ったものが人に称賛される、という構造になっているのならば、自分が面白いと思うジャンルこそが、才能を発揮できるジャンルなんじゃないかと思います。

才能は変化する

 前提として、その人の持ってる能力って変化します。スポーツ選手とかわかりやすいですよね。シンプルに年取って体が動かなくなるから、若いころにできてたこともできなくなってくるっていう話です。
 小説は逆ですよね。若いころは知らなかったことも、歳をとって体験したりとか勉強したりとかで知ってることが増えた、あるいはものの見かたが変わったっていうことがあると思います。
 曲の好みなんかは割と、三か月ぐらいで結構変わったりしますよね。三か月前は一日に十回とか聴いてた曲を、今は一回も聴かないとかありますから。
 その人の好みが変われば、書く小説というのも少しずつ変化していく、そういうものだと思います。

初心は変わらない

 ただ、そうころころ変わるものを基準にしようとしたら、大変ですよね。
 今、書いてる小説のジャンルがミステリーなのに、三か月後に恋愛小説にはまったから恋愛小説を書かなきゃ、とかなったら困るじゃないですか。
 やっぱり一本、変わらない柱みたいなものが必要だと思います。そして、それはみんな生まれ持ってるんじゃないかと思います。子供の頃のこととかそうじゃないでしょうか。
 子供のころから好きな食べ物で、今も好きな食べ物があったら、多分それは今後ずっと変わらないですよね。
 物語も一緒ですよね。中学生の頃にミステリばっかり読んでいて、今も好きだなって思えるんだったら、今後よほどのことがない限り変わらないはずです。
 子供のころから親しんでいて、今も好きでいられるジャンルみたいなのがあったら、それは得意ジャンルの柱になりうると思います。

才能を形にする

 これで仮に、中学生の頃にずっと東野圭吾を読んでいたとしましょう。

好きな本:ガリレオシリーズ

好きなジャンル:ミステリ

 そしたら、ガリレオみたいな話を書けばいいわけですが、ミステリで科学を扱ったものをやったら、ガリレオそのものになってしまいます。それに、ガリレオを読んでいたからって科学に詳しくなれるわけでもありません。作中で出てきた超電磁砲の仕組みなんてほとんどの人は忘れてるんじゃないでしょうか。
 ただガリレオシリーズが面白いのはわかってるわけです。そしたら、ガリレオの面白い部分だけを真似すればいいと思うんです。
例:物理学教授と刑事が謎解きをする
 →名探偵とその相棒がバディを組んで謎解きをする

 抜き出したら、ここで、変化した才能の出番です。仮にあなたが今、アニメにはまっているとしましょう。たとえば『推しの子』とか。そうしたら、ガリレオのパターンと、『推しの子』を合体させてみるわけです。

例:アイドルガチ恋勢の名探偵とアイドルがバディを組んでストーカーの正体を突き止める

 これによって、小説のアイディアだけでなく主人公も作れたわけです。 ただ、好きだった本が一冊だけとか、一人の作者だけ、という人は読書好きにはあまりいないんじゃないかと思います。二冊とか、三冊はあるんじゃないかと思います。
 過去から好きだった本を三冊とか選び出して、パターンを複数持っておくってこともできると思います。そしたら、次回作のアイディアにも困ることがないんじゃないかって思います。
 複数パターンを作ったら、それを交互に使いまわし(必要に応じて増やしてもいい)ながら、変化した好みで色付けするっていうのをすれば、割といろんなアイディアが生まれるんじゃないかな、と思います。

 以上、得意なジャンルの見つけかたと、それをアイディアに結び付けていく方法でした。
 参考になったかどうかはわかりません。ともあれ、よき執筆ライフを送れることを祈ります。それでは、さようなら。


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