浮かれすぎて空飛んじゃってるよ

(※記憶が曖昧なところは辻褄が合うように、適当に補完しています。)



「なんかキョドっているし、おかしな人なのかも」と桜色の女神はそう言いたげな目で私を見ていた気がした。

お昼になった。
レン兄の元へと足を運ぶ。
「なんか色々大変そうですよね。」と私が言うと、「大変だ。お弁当を忘れてしまった。」と彼の口から返ってきた。
「母が惣菜パン大量に買ってきてくれたんですけど、食べるもの無かったらどうぞ。」と私が差し出したのはペシャンコになった焼きそばパンたちだった。
私に悪意はまるでない。純度100パーセントの善意だった。しかし、初対面の人にペシャンコになった焼きそばパンを差し出す私は、やはりおかしな人なのかもしれない。
「あ、全部潰れてますね…。すみません。こんなのしかないんですけど…。」
「ヘヘッ、ありがとう。」
彼はペシャンコになった焼きそばパンを貪ってくれた。
それから彼とどういう会話をしたのかは覚えていない。
そうして私は帰宅した。


その翌日は身体測定だった。
この日はTwitterのDMをくれた純さんという方と対面する約束をしていた。
純さんは私の1つ上の男性だが、彼のビジュアルを知らされていなかったので、目立つものがあるところで待ち合わせることにした。
彼はとても腰が低かった。SRという単車を転がして学校へやってきたらしい。
彼は北九州から上京してきたそうで、即座に親近感が沸く。
語尾が「〜っちゃ、〜っちゃろ?」だったので、ラムちゃんみたいな喋り方をする人だな、というのが第一印象を持った。

そんな純さんから新入生が集うLINEグループに誘われた。
35人余りのグループだった。
なんとなくスタートダッシュは大事だと思っていたし、新入生の諸君は私と同様に早く友だちを作って独りぼっちを回避したいし、校則という名の拘束を強制されていた高校生から比較的自由な大学生へと昇華したことで浮かれてもいるのでハードルはもはや無いに等しいだろう。

ということで、私はそのLINEグループでデリカシーという名のアサルトライフルのセーフティを解除し、ボケにボケまくった。

「〜さんハンドボールやってたんですね。手のひらとか天狗のうちわみたいになってたりします?」など、ギャンブル的な発言をぶち込みまくった。新生活に浮かれていたので、なるようになれだった。一歩間違えたら、「こいつすげえ嫌なやつだ」という印象を抱かれかねなかったと思う。
私は現役生より歳が二つ上だったが、せめてもの保険として敬語を用いていた。
幸いにも許容範囲がゆるゆるで、もはやセーフゾーンがヤリマン化している学生諸君は受け入れてくれた。
私は2日目にして、LINEグループにおける中心人物の座を獲得した。
初講義が始まる前に、皆で顔合わせして自己紹介とかしましょう。
という流れになった。

つづく

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