言い訳

付き合い始めて3ヶ月ほどの出来事であった。
心臓がスンッとなる感覚になりながら、理由を訊ねた。
端的に言うと、『私は留学したい。なので勉強と留学資金を貯めるために塾講のバイト頑張りたい。好きだけど恋愛は負担になる。』とのことだった。

私は食い下がった。
「好きならそのままでよくない?私は会いたいとかデート誘ったりしないからそのままの関係は継続でいいじゃん。」と言った。
すると、『束縛したくない。新しい恋愛をするべき。』と返ってきた。
あーだこーだ押し問答がしばらく続いた。

結果、あの子自身でしばらくよく考えてみてから、また答えを聞くこととなった。
けりが着いたので、その日は帰宅した。

帰路の電車の中で、『やっぱり寂しくなるから別れたくない。』といったようなLINEが届いた。
結論を出す早さに違和感を覚えつつも、私は安堵した。

そして数日後、私はFacebookを開いた。
帰省した時のエピソードを更新するためだった。
ページを開くと、"友達かも?"の欄に、あの時別れた元カレのプロフィールが表示された。
アイコンがあの子とのツーショットだった。
その時は、「まだ引きずってるのかな、4年付き合ったから切り替えるのは難しいのかも。」といったことを思った。
なんとなく、元カレのページに飛んでみると一週間前ほど前に更新されている記事があった。

〘久しぶりに会った!やっぱり一緒に居ると落ち着く!〙といった本文とともに、水着姿のあの子の写真数枚が添付されていた。

血の気が引いた。
能面のような表情でしばらく読み進めるていると、短いスパンで何度かカレと会っていた形跡があった。
あの子に「どういうこと?」とLINEを送った。

『実はあなたが帰省している間にバイト先の先輩に言い寄られて、流されてホテルへ行きました。カレと会ったのは男心が分かると思って、この事を相談したくて会いました。』

と返ってきた。
意味わかんないコイツ、という感想もありつつ、当時の私はどうかしていたようで、寝取った負い目もろもろがあったため、それを許した形にした。

真実は分からないが、そのバイト先の先輩から交際を申し込まれたから留学うんぬんといった、尤もらしい理由で別れを切り出したのだろうと思う。

そうして、特に何も思い出のない秋が過ぎ、ペアリングを送った冬も過ぎ、春がやってきた。


つづく

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