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私とキャリア構成カウンセリングの現状、そして未来について

サビカスの理論をもとにしたキャリア構成カウンセリングは、これまでに様々な現場で行われてきた一般的なキャリアカウンセリングとは異なる魅力を持っています。

カウンセラーとクライエントが協働して自伝的物語の構築を行うというこのアプローチを理想的な形で実践するには、大学のキャリアセンターや転職エージェントのような既存の相談場面ではなく「新しい実践のための場」を作る必要があるのではないかと考えています。

この記事では、私がこの数か月で実践してきたキャリア構成カウンセリングの現状と、これから新しいカウンセリングの実践を広めていくために何ができるのか、考えていることを共有します。

ここ数か月の実践について

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私は、昨年(2021年)12月からサビカスのキャリア構築理論に基づくカウンセリングの実践を始め、今日までに17人のクライエントにカウンセリングを体験してもらいました。

まずはきっかけについてお話しましょう。私は大学2年生のときからキャリアカウンセリングの勉強を始めましたが、そのほとんどは表面的な情報ばかりで、実際の介入方法や哲学についての深い理解には至りませんでした。

しかし、大学3年生になってサビカスの著書を読み衝撃を受けました。そこに記載されていた方法論は、実務経験のない私でも細部まで理解でき、実践的で、哲学的基盤がしっかりとしていたからです。

理論の完成度に感銘を受けた私は、さっそく学んだカウンセリングを実践したくなりました。幸いにも、私のゼミはキャリア心理学の論文を毎週読んでおり、キャリア理論に関心がある仲間が身近にいたため、クライエントになってもらうことができました。

最初はきちんと語りを引き出すことができるか少し心配でしたが、サビカスの手順通りに行うと、それなりに形になったライフ・ポートレートを作成することができました。そのため2回目からは余計な心配をせずにカウンセリングを行えるようになり、細かな改善をくり返しながら今日に至ります。

しかし、このまま1対1の個人的なカウンセリング活動を細々と続けていくのが本望ではありません。現在の関心事としては①今のカウンセリング活動をビジネスとして継続的に行っていくためにはどうすればいいか ②サビカスのような新しいキャリア支援の考え方を世の中に広めていくにはどうすればいいか、ということです。

次に、サビカスのキャリア構成カウンセリングを実践する場所として挙げられる3つの場所について見ていきたいと思います。まずは、学校教育の現場です。

実践場所①:学校教育の外部委託

変化が激しく、最新の知見が求められる現代において、学校現場の知見だけでキャリア形成支援を行うのが難しくなっています。そのため学校教育の現場にライフデザインの考え方を持ち込むことに対する教育ニーズがあると考えられます。

旧来のキャリア教育からさらに幅を広げて、(職業・暮らし・ファイナンス・家族・健康などを含めた)幸福な生活を送るための包括的なライフデザインの授業を行うことは意義があります。

例えば、顧問となる専門家のもとで大学発ベンチャーのような形で企業を立ち上げ、教材を作り、それにもとづく授業を大学や高校で提供することができるでしょう。

実践場所②:社会人向けサービス

人生上の転機に直面している社会人に対して、自分を見つめ直し、より良い人生を構築するきっかけと提供するためにキャリア構成カウンセリングを提供できることでしょう。

実際に最近では、社会人向けのキャリアコーチングやキャリアカウンセリングのサービスが増えてきていると思います。

実践場所③:困難を抱える人への支援

キャリア構築理論の魅力の一つは、人間か抱えるマイナスをプラスに転換することができる理論的枠組みを持っているところです。

人はダメージを負ったら、一生続くのではなく、それを糧にして成長できるかもしれない。こうした考えをポスト・トラウマティック・グロースと言うと聞きました。

社会的に不利な状況にいる人のナラティブを、サビカスのカウンセリングを通して希望的なものに再構成するという社会貢献を事業にできるかもしれません。イメージとしては、アフリカで困難を抱える人々のナラティブを再構築しているMareeが挙げられます。こうした活動は、クラウドファンディングなどで資金源を工夫する必要があるでしょう。

次に、サビカスのようなナラティブ(社会構成主義)キャリアカウンセリングをより広く実践していくために、今後何ができるか考えていることを共有します。

展開①:講座の開催

ナラティブを用いた最新のカウンセリングを学びたいキャリアカウンセラーに対して、講座を提供すること。また、ナラティブを用いたキャリア構築の考え方を一般の人に広めていくための講座を実施することは重要と考えます。

展開②:情報発信

SNSや記事、ときにはYouTubeなどを通してキャリアについての新しい考え方を発信していくことが意義深いと考えています。

展開③:カウンセリング実践の場づくり

実際に「ここに来れば質の高いサビカスのカウンセリングが体験できる」というカウンセリングセンターのような場所があるといいなと考えています。

何人かのカウンセラーで分担して、インテーク面接後に適切な提案(割り振り)ができるような仕組みを作ることが考えられます。

展開④:カウンセリング能力向上のための勉強会

キャリア構築理論やナラティブキャリアカウンセリングについての教材は決して多いとは言えません。また、実際の現場でどのように活用しているかということも含めてお互いから学び、高め合うことのできる勉強会を組織したいと考えています。

展開⑤:DVDなど教材の作成

教材が少ないのであれば、それを作る必要も出てくるでしょう。特に、サビカス博士がカウンセリングを実演しているDVDはぜひとも日本語訳で流通してほしいものです。

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西尾太一 Taichi Nishio
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