【英語論文】現代のキャリア概念
TTC(タナケンゼミ)今回の論文は、プロティアン・キャリアをはじめとする新しいキャリア概念についてまとめられた論文です。
1.論文の背景
これまでの伝統的なキャリアは「はしごをのぼる」ようなキャリアでした。こうしたキャリアは説明がしやすいですが、現代のキャリアはもっと流動的です。変化の激しい現代のキャリアを説明するために生まれてきた、新しいキャリアの概念を、この論文ではまとめて紹介しています。
2.プロティアン・キャリア
タナケンゼミなら言わずと知れたプロティアン・キャリアは「個人の価値観と主観的な成功の尺度によって導かれる、個人的で自己管理されたキャリア」と説明されています。
3.ポストコーポレート・キャリア
プロティアン・キャリアが個人の経験や心理的成功に注目するのに対して、ポストコーポレート・キャリアは組織構造の変化に注目した概念と説明されています。
機会があれば、この概念についての詳しい論文を読んでみるのもいいなと思いました。
4.カレイドスコープ・キャリア
この概念については、以前にnoteで紹介したことがあるので、そのときの記事をご覧ください。
5.アカデミック・キャリアモデル
アカデミック・キャリアモデルも、聞きなれないキャリア概念だと感じます。これは、大学教員のような、フラットなキャリア概念だと言います。
どのような意味でしょうか。例えば、大学の学部には、学部長がいます。教授の中から、選出された人物は学部長になることができますが、会社の社長のような立場とは少し違います。なぜなら、任期制などを理由に学部長が一般の教授に戻ることは一般的なことだからです。そこに、昇進や降格のようなヒエラルキーがないという意味でフラットなのです。
また、大学教授のようなキャリアモデルは、自分の専門分野でさえあれば容易に組織の壁を越えられることも特徴です。こうした概念は、専門性の高いコンサルタントなどに当てはまるのではないかと感じました。
6.バウンダリーレス・キャリア
組織の境界がないキャリアという意味のバウンダリーレス・キャリアはプロティアンと並んで有名な新しいキャリア概念です。
プロティアン・キャリアとの違いについて、この論文によれば、バウンダリーレス・キャリアはより「キャリア環境とその環境で持つべきキャリア能力を特定する」ことに注目していると言います。
つまり、プロティアン・キャリアが個人の心理的成功を中心にアダプタビリティを考えるのに対し、バウンダリーレス・キャリアは個人の市場性や柔軟性、雇用可能性に注目するということです。
そう考えると、タナケンの日々の発言は、実はバウンダリーレスに近い考えのような気もしてきます。
7.プロティアンを実現するためには
プロティアン・キャリアに求められる能力がアイデンティティとアダプタビリティであることは有名ですが(まだ知らない人はこの本を読もう)、プロティアン的なものの考え方(志向)というものが存在するのです。
それが、self-directed(自己主導型)とvalues-driven(価値主導型)のキャリア志向です。
self-directedとは、自分の人生は自分で決めるという意識のことで、TTCに所属する人はほぼ全員このような考え方をしています。一方で、values-drivenの方はどうでしょうか。こちらは、なかなか難しいかもしれません。
組織から与えられた目標ではなく、自らの価値観にもとづいてキャリアを歩む。あなたの人生の、目標は何ですか、ミッションは何ですか、パーパスは何ですか、テーマは何ですか、こうした質問に答えられるようになるキャリア開発が、今後の課題かもしれません。
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