セカンドハーフ通信 第93話 映画「ワイルドライフ」

映画「ワイルドライフ」

「僕は二人から人生のすべてを学んだ」というトレーラーの言葉にひかれて「ワイルドライフ」という映画を観た。

14歳の主人公を通して両親との生活が描かれていく。失業、浮気、別離。望まなくても避けられない状況に迷い込んでしまうこともある。人は自分の中の価値観とか、情熱によって日々の選択をしていく。

それは自分が自分らしく生きていくという意味では理解できる行動だ。自分に誠実である結果、事態は悪い方向に向かってしまうこともある。「生きる悲しみ」ともいうべきものだ。

物語は決して楽しい方向に進んでいかない。それでもなにかに共感して見入ってしまう。なぜだろうか。それは多分、この家族の一人一人の人生に対する誠実さが心を打つからだと思う。

そこには困難から逃げないで懸命に答えを求める姿がある。結果はうまくいかないこともある。でも前を向いていく。その姿勢が見る者に元気を与えてくれる。

舞台は1960年代のモンタナ州の田舎町。古き良きアメリカといった感がある。モンタナの自然や田舎町の情景が心に染み入る。洗練されていないが誠実であり、感性が高く、内にバイタリティを秘めた家族の物語だ。

映画は最後に家族で写真撮影をするところで終わる。少年がバイトする写真館に今は別れて暮らす夫婦と少年が集まる。

この後、彼らはどうなるのだろう。ラストシーンを見ながらワイルドライフとはまっとうな人生のことだと思う。


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