セカンドハーフ通信 第86話 セカンドハーフのビジネス
セカンドハーフのビジネス
同い年のGさんは長く会社勤めをしていたが、10年ほど前に独立した自由業の先輩だ。今の彼の仕事は、推理小説家、通訳、人材紹介業、経営コンサルタントといったところだ。
元々は証券マンだったがヘッドハンターに転進し、その後独立したという経歴だ。多彩な人で小説を何冊か世に送り出している。話題も豊富で、一緒にいて楽しいひとだ。
Gさんは心臓機能に疾患があるそうで何度か大きな手術をしている。また、妹さん夫婦を交通事故で亡くされている。そのためだろうか、人生は儚くもろいものだという考え方を若い頃から持っていた。今を楽しむということを常に考えている人だ。そんな彼が自分も楽しめる仕事を思いついた。
それは日本紹介サービスだ。元々英語が堪能な上、博識で、サラリーマン時代は海外からのVIPをもてなす部門にもいた。だから海外からのセレブを相手にアテンドサービスをしようというものだ。
確かに今まで彼が培ってきた経験が活かせる仕事でセカンドハーフ向きだと思う。彼なら旅行者の知的好奇心を刺激する楽しい時間を作ることができそうだ。彼は計画を実現するため難関の通訳資格も取った。
ところが最近Gさんに会った時、こんなことをいって嘆いていた。「通訳の資格があってもなかなか商売には結びつかないんですよ。結局大手の旅行代理店をかませないと仕事がこないし、大手は簡単に稼げる買い物ツアーの団体客を狙っているんです。」
物事は思うように進まないものだ。今後ますます外国人旅行客が増えていくだろう。ニッチではあるが、その中には日本を深く知りたいと思う人もいる。富裕層の受け皿として、日本滞在の間のアテンドはビジネスチャンスがあるように思う。しかしながら顧客までたどり着くチャネルがなかなか見つからない。
必要な要素はそろっているのでもう一歩なのだが、ブレークスルーが必要なようだ。