セカンドハーフ通信 第30話 神経質な料理人がいい
神経質な料理人がいい
料理人は神経質な人がいいと思っている。
美味しい料理店をみつけるためには、店構えと店内の様子を観察することにしている。よく掃除が行き届いている店は、美味しい店の第一関門をクリアーしている。その次に見るのは料理をしている人の在り様だ。
美味しい店は神経質な料理人が多いと思っている。きちんと洗濯された服で髪型がきちっと整えられている料理人だと、美味しい料理がでてくる場合が多い。よく通った神保町のすし屋、福島県白河市のラーメン屋、飯田橋の焼き鳥屋、田原町のとんかつ屋、巣鴨の蕎麦屋、みんなこのパターンにあてはまる。
神経質であることは、料理人としては美徳だ。繊細さや清潔さは料理にはとても大事だからだ。でてきたラーメンをみて、シナチクの切り方やのりやチャーシューの並べ方を見ると、美味しいラーメンは丼の中が整然としている。一方で、それらの具材が無造作に置かれ、時にはみ出しているような場合、ラーメンの味もそれなりの場合が多い。
初めていった店で、カウンター越しに調理場を見る。古くてもきれいに磨きこまれた調理場であれば、美味しい店の可能性は大きい。逆にものが散乱し、汚れが目立つ場合は要注意だ。調理場が汚すぎる場合は食欲も減退してしまう。
その道の専門家になるためには、仕事に対するこだわりがいかに強いかが大事で、料理に関していえば清潔度や几帳面さがその重要な要素であると思う。その意味で、神経質な人は小さなことにもこだわることが多い。
自分に関していえば、食べることにはこだわるが、掃除と準備には神経質でないので残念ながら優れた料理人にはなれない。