セカンドハーフ通信 第121話 特別なブドウ

特別なブドウ

この時期が来るのをずっと楽しみにしていた。特別なぶどうが少しずつ店頭に並び始めるからだ。その名はナガノパープル。長野県だけで生産されている特別なぶどうだ。

ナガノパープルは種無しで、皮も食べられる大粒ブドウだ。1粒が直径2-3センチくらいある。だから数粒でも結構食べた感がある。糖度が高いけれど、巨峰に比べるとさわやかで、品のある甘さが特徴だ。

4年前に初めて食べて、そのおいしさに衝撃を受けた。本当に食べる宝石と呼ぶにふさわしい。

毎年8月下旬になると長野県中心に見かけるようになり、約1.5か月くらいの間楽しむことができる。期間限定、産地限定の特別なぶどうといえる。

値段は長野県でも1房1500円近くするが、高いと思ったことはない。おいしく大きなブドウにするために1房は35粒程度に抑えるそうだ。その1粒ずつが完成された作品のようで、高級チョコレートにも決してひけを取らない。だから1房まるごとあると「こんなに食べていいのだろうか。なんて贅沢なんだろう。」と思う。

ナガノパープルの栽培はとても難しい。優れた技術をもった農家が剪定、房切、摘粒、房かけ、収穫と約8か月をかけて育てる。この1粒を生み出すためにこんなにも長い時間が必要なのだ。そう考えるともっと高くてもいいとさえ思う。

軽井沢から30分ほど離れたぶどう農家がこの時期だけ、畑のわきに直売場を開く。そのオープンをいまかいまかと待ち浴びているこの頃だ。

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