イシナガキクエを探していますの真相
まえがき
イシナガキクエを探しています(4)が配信され、前回の考察の裏付けとなるとともに、新しい要素がありようやく話全体がつながった気がしますので、改めて前回の考察を含めて補足・修正・結論をすべてまとめます。
前回の考察はこちら。
このあとだいたいの事柄を断定口調で書きますが、もちろんすべて妄想・仮定です。
イシナガキクエは何なのか
怪異です。そして、人の手、米原実次によって生み出された怪異です。
1969年に何が起こったか
イシナガキクエを探していますの最もコアの謎はこれです。
キクエが失踪したとされる1969年に何が起こったか。
前回の考察で私は、キクエは米原氏あるいは米原家により監禁され、殺害されたと考察しましたが、これは少し間違っていそうです。
(4)にて、キクエの写真(番号が振られていない写真)が大写しとなり、詳細が見て取れるようになりました。この写真を見ると、目隠しこそされているものの、チェアに腰掛けており、少し監禁とは趣旨が違うように思われます。
また、写真が撮られたのは(4)の最終盤に登場する、御札を貼られたプレハブ小屋のような場所だと推測します。そうすると、やはり監禁と言うにはお粗末な感じがします。
ではあの写真のキクエはどのような状態で、そしてなぜ写真を撮られたのでしょうか?
私の結論としては、キクエは心霊研究家あるいは心霊マニアである米原実次に、禁忌の術をかけられ生きたままにして霊体化されたのだと思います。
米原家の旧家(キラフが凸した廃屋)には、心霊関係の書物が多くありました。霊界物語、新霊交思想の研究、透視霊能秘伝書なる書物。
霊能秘伝書は内容不明ですが、前2つは実在する書物であり、死後の世界について述べる内容でしょう。
米原氏は、死後の世界の存在を確かめたかった、証明したかったのかもしれません。あるいは、恋人である(仮)キクエを永遠のものにするために、霊体化したのかも。
(4)の最後に登場する写真は、仲睦まじい若き日の米原氏とキクエであると仮定しています。カメラを持っていますし、そのカメラで霊体の撮影も行ったのかなと。
キクエはどうなったか
キクエから霊体が出ているような写真が存在している通りで、米原氏の目論見・秘術は成功したのでしょう。
しかし、米原氏が思ってもみなかった副作用が生じます。これは前回の考察どおりですが、あちこちに怪異キクエが現れるようになってしまったのです。
この怪異が、悪さをする類のものかはわかりません。しかしながら、代理人を用意してまでそれを収めようとする米原氏や稲垣乙氏の様子を見ると、何かしら良くない事象を伴っていたものと推測します。
米原実次はキクエを探して何をしたか
ここは前回の考察どおりですが、米原氏は怪異キクエの存在を検知し、霊能力者である稲垣乙氏に相談します。もしかすると、最初の霊体実験から乙氏が関与していた可能性もあります。
オト氏はこの世界に現れるようになってしまった怪異キクエを、キクエの体の代わりに霊体と共にあの世に送るための代理人を用意して、おさめようとします。代理人には「代理する対象の」キクエの写真を持たせて葬ります。
(3)まででは池の代理人しか映像にはなかったので、あの遺体がキクエではないかという可能性もありましたが、(4)でやはり代理人であると確定しました。
次々と現れるキクエに対して、その数だけ代理人を用意する。(4)ではその過程が克明にフィルムに記録されていました。
米原氏は代理人確保のため、身内にも手をかけていったのでしょう。(4)で米原氏は身寄りがないため行政により埋葬されたとありましたから、米原家で残っていたのはもはや本当に米原氏だけだったようです。
キクエは米原氏の恋人、「家族のようなもの」でありつつ、自分のせいで次々と増殖しながらこの世に留まっている怪異です。たとえ家族に手をかけてでも、なんとか鎮めたかったのでしょう。
米原実次はどうなったのか
米原氏は、自殺ではなく殺されたのだと思います。
米原氏は、オト氏以外にもキクエ(キクエの秘密)について相談・処置していた痕跡が(4)の手紙によって示されました。
手紙の内容は以下のとおりです。
処置を依頼できる相手ということは、オト氏の同業者であると思われます。オト氏は既になくなっており、交友関係もほとんどなかったことが(3)で示されていますが、ここへきて、第三者が処置(殺人を含む)に関与している可能性が浮上しています。
とすれば、(1)にあった死後の米原氏の現宅に入り込んでいた謎の集団は、この第三者集団に関わるものではないでしょうか。
これは演出ではありますが、(4)で上記の手紙が読み上げられたあと、池の代理人を探していた2人の男と、米原現宅にて何かを探す集団の映像が続けざまに流され、その関連性が示唆されています。
ではこの第三者集団(霊能者)が目指すものは何でしょう。それはやはり、霊能者であるからして、キクエを祓うことでしょう。処置に関わったことで、もしかすれば実害が及んでいた可能性もあります。
おそらくこの集団は、以下の行動を取っています。
米原氏を殺害する(代理人として)
米原氏の現自宅、および旧宅にてキクエに関連するものを収集する
現自宅からは、おそらくキクエ(実体)の骨壺。この中にはキクエ実体の遺灰と、在りし日の二人の写真が入っていた
旧宅からは、キラフが残していった写真
米原旧宅の封じられた小屋にキクエの遺灰を返す
彼らの祓いがどのようなものだったのか、断片的にしか掴めません。そして、彼らの祓いが成功したのかも分かりません。
封じられた小屋、骨壺が割れて遺灰が飛び散る中に、米原実次とイシナガキクエの折りたたまれた写真があり、この物語は終わりました。
米原実次は、どんな想いでキクエの遺灰に写真を入れたのでしょう。
怪異キクエはどうなったのか
キクエを祓おうとする、あるいは鎮めようとするものはいたようですが、怪異キクエがどうなったかは誰にも分かりません。米原実次が最後の代理人となり、無事に代理人の役割が果たされ、キクエは鎮まったのでしょうか。
でも、確かめる方法がひとつあります。
明日から、いつものあなたの場所で、イシナガキクエを探すのです。
もし見つけたら、教えて下さい。