予定を詰め込みすぎてしまうワケ
・あなたは1日の中で計画通りに行く予定はいくつありますか?
・また、計画通りにいかないタスクはいくつありますか?
・前回できたのに今回なぜか時間内に終わることができなかった経験はいくつありますか?
研究者は、論文を書いている学生たちに「いつごろ論文が書き終わるのか?」と聞き、最短日数と最長日数を予測させました。
その時、学生たちが予測した最短日数の平均は27日、最長日数は49日。
ところが実際論文が書き終わるまでにかかった日数はなんと平均56日でした。
最短日数で書き上げた学生はほぼいませんでした。
また、最長の日数で書き上げた学生は半分もいませんでした。
このように今日だけは特別に計画通りにいく、あるいは自分は絶対に計画通りにできると過大評価し、時間や日数を見積もる傾向のことを認知心理学者ダニエル・カーネマンは「計画錯誤」と名付けました。
その理由はいくつかありますが、その中でも大きな要因について紹介いたします。
1つ目は、記憶バイアスについてです。
記憶バイアスとは、過去の計画していた予定やタスクの所要時間を誤って記憶しており、それを元に計画を立ててしまうというものです。
極端な例で言えば、前回部屋の掃除をした時にかかった時間が、1時間40分だったにも関わらず、40分で完了したと記憶していたため、今回の掃除は40分で完了すると思い込んでしまっている状態です。これが記憶バイアスによる計画錯誤の典型的な例です。
この記憶バイアスを阻止するためには、予定やタスクが終了したらその所要時間をメモしておくことです。
朝起きてから、家を出るまでの時間、家を出て職場に着くまでの時間、職場でメールチェックする時間、スーパーで買い物をして家に帰り着くまでの時間、お風呂に入っている時間、歯を磨いている時間、眠りにつくまでの時間などなど。
細かくてめんどくさいと思われるかと思いますが、この細かい一つ一つの記録によって、自分が何にどのくらい時間を使っているのかを客観的にみることができます。
そうすることで、無駄に時間を使っている項目やタスクは排除しやすくなりますし、所要時間を記録しているわけですから、記憶バイアスに陥ってしまうこともなくなります。
2つ目は、過去の記憶を無視することです。
これは、人は過去の予定やタスクの記憶を無視して予測を立ててしまうというものです。
・昨日寝坊をして電車に乗り遅れてしまったのに、今日も同じことをしてしまった
・学校に遅刻して先生に怒られたが今日も遅刻をしてしまった。
このように考えてしまう原因は、『今回はなんとかなるだろう!自分なら大丈夫だ!』となんの根拠もなく楽観的に考えてしまうからです。
この状態がまさに計画錯誤の罠にハマってしまう要因なのです。
過去の記憶を無視しないための対策法は、過去の類似タスクの所要時間を思い出すことです。とはいっても日が経つにつれて人間の記憶は薄れていきますし、所要時間も少なく見積もってしまう傾向があります。
正しい記憶を見える化するためにはやはり、『記憶バイアス』でもお話しした通り、記憶が新しい時にその予定やタスクの所要時間を記録しておくことです。
結論。
僕たちには計画錯誤という現象が起こるかもしれないことについて理解し、その恐ろしい罠にハマらないためには過去の記憶を正しく記録し、それを元に次の予定を立てていくことでより多くの時間を思い通りに使うことができます。
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