
レポート:芸能山城組創流五十周年記念公演
11月も末が近づいているにも関わらず歩いていると汗ばむ季節。
急激な寒暖差が週単位で繰り返され、ここ数日の忙しさも相まって久しぶりに自律神経をやられた。激しい眩暈。
かねてからライブを観たいを思っていた芸能山城組が、なかのZEROホールで公演と聞き、迷わず予約した。
眩暈はするが背もたれがあるので何とかなるだろうと、座席に座るなり、深く沈み込むことにした。
舞台はケチャ祭りの様相、ガムランやジェゴグが配置され、両脇にはドラムやシンセの機材もおかれていた。

プログラムは章立てになっており、1章:幻唱から幻響へ、2章:幻響AKIRAと題されていた。
50周年記念ということか、いままでの活動の流れをざっくりと振り返る構成になっていた。
■第1章:幻唱から幻響へ
ブルガリア女性合唱
陽は沈む
ピレンツェの歌
ジョージア男声合唱
ナドゥリ
ディアンベゴ
御綬結い「歌垣幻唱」から
瞑憩「輪廻交響楽」
転生「輪廻交響楽」
■第2章:「幻響AKIRA」
回想
荘厳陀羅尼
鉄雄
金田
クラウンとの闘い
ケイと金田の脱出
未来(レクイエム)
アンコールは「金田」でした。
初めて芸能山城組の曲を聞いた時から「奇妙だ」とは思っていたが、こうやってちゃんと腰据えてライブで聴くとその奇妙さが良く分かった。
いくつか奇妙な点を下記に記します。
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始まる前や休憩中に鳥のさえずりや木々のざわめきが流れているのだが、不気味なくらい鳥のさえずりが見える。あのあたりから聞こえてくる、つぎはあっちだ、と見える感じがある。開始前は左耳の補聴器をつけていなかったので、インドネシアのサウンドスケープでも流してるのかな、くらいに思っていたが、休憩中に補聴器をONにしたら、気持ち悪いくらい場所が見えてきた。
●
舞台の隙間が気になる。
なんか密集して楽器がおかれているな~、と思っていたが歌い手も出番が来ると中央に密集してくる。ドラムやシンセも舞台脇に置かれていたが、出番が来るとわざわざ移動させて中央付近に密集。
山城氏の音響へのこだわりかと思うが、こうゆう舞台は初めてだった。
確かにアンコールでは舞台全体に歌い手が散らばって「金田」を歌っていたが、音が分散しているように聞こえた。
第2章での歌の時のほうが声がズシンと刺さってくる感じが強かった。こうゆう効果を狙ってのことだろうか。

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曲の途中でも出番が無くなるとはける歌い手。
歌う直前まで出てこない歌い手は出番が終わると速やかに舞台袖に帰っていく。これもなにかこだわりがあるのだろうと思うが、非常に不思議だった。
西洋のクラシックだと、せめて曲が始まって終わるまではそこにいるのだけど、こんなにも出入りするのは初めて見た。
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ドラムの使用。
ここまでガムランやらジェゴグに和太鼓まで使っているので、ここでドラムを混ぜる必要があるのだろうか?と不思議に感じていたが、これがまた合う。ガムランが鳴り響くなかでドラムのハイハットが異常に際立ち、あっちとこっちを分け隔てる境界のようになって、山城組の言うところの「ライト・トランス」に導かれるようになっている。ほんとうにいい意味で不気味な役割を担っている。
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指揮者の不在。
「以心伝心」とか「阿吽の呼吸」というのはずっと前から山城組が言っていることだけど、舞台で見るとやっぱり不思議だ。これだけの人数がいるのになんでこんなに揃うのか。
いろいろ気になることはあるけれど、
体調もイマイチだったけど、
なにはともあれ良かった。
2章の「クラウンとの闘い」あたりから、眩暈も相まってライト・トランスどころかちょっとあっちに行きかけた。
トリガーとしては「荘厳陀羅尼」の四分音符が連続する曲が決め手になった。あれは危険だ。完全に吸い込まれた。
すると、屋内なのに、もう日も暮れたはずなのに、頭上に青空が見えて困惑した。
あれ?あれ?と思ってよく見るとホールの天井。見えたのは、白っぽい青空。シンガポールでみた空に似ていたな。やっぱりガムランの音は赤道付近の音なんだね。
すると全然ポエティカルでもなんでもない曲なのに、涙が流れてきた。
え?法悦に近づいてしまった?
山城組の思惑通り「ライト・トランス」したひと時でした。
最後、山城祥二の挨拶もありました。まさかPA担当されていたとは…
個人的には個展が終わって2週間を雑務や窯たきなど駆け抜け、占星術的にもなんだか満月の後の大きな星の移動。
そして、ここにきての芸能山城組。
ライブ観て、「あ~、自分の葬式だな」と思ってしまった。
遺伝子を書き換えられた気分です。
(始まる前までひどかった眩暈も消えていた。)
物販で2024.08.21発売のCDが売られていたので購入しました。
ライブ観覧の師匠から物販は最初に見ておけと教わっていたので、始まる前に物販をチェックして、購入しました。師匠の言う通り、公演終了後は長蛇の列になっていました。
上記CDは非売品ステッカー付です。
芸能山城組創流五十周年記念公演
幻響
其之壱 黎明
2024年11月17日(日)16時開演
なかのZERO大ホール
補足
・15時30分開場
・山城氏の挨拶→アンコール終了18時10分頃
・1章終了後15分の休憩をはさむ
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