【実験・補遺】過去に書いた向こう側 堀太一 2024年10月28日 10:43 昨晩、実験的に手を動かしてみた。ちなみにその時の文章は下記のリンクです。 過去にも書いたものがあり、いまだにその不気味さが自分の中に残っている文章を思い出したので、「過去イチの不気味な文章」として参照文献としてここに残します。終わりと始まりが交わる時、あらゆる扉が開き、ある者は部屋に閉ざされ、ある者はまた別の部屋へと導かれる。部屋には湿気の満ちた空気が充満し、金切り声を出す昆虫が犇めいている。我々が知りうる限りの画策をしても、猶、一匹の昆虫を見つけることはできない。それは不意の意の中に閉ざされているわけで、色欲のごときワルプルギスの夜の訪れである。部屋に篝火を灯せば、そこは死者に囲まれていたとわかるだろう。次に向かう部屋の扉は開くこともなく、手元には箱が一つ。ノイズとも声の断片とも言えぬ音がそこから流れている。ときおり「да... ми...рожи...」とスラブ語のような言葉が聴こえてくる。死者の一人は緘黙し、ただこちらを見つめ、その箱を指差し、震えている。部屋はまた別の部屋へと続き、選択的透過性のもとで我々は身体が物質の理を超えていくことを感じるだろう。傀儡の部屋では、己が肉体の気化熱によって、物質から概念へと昇華していくことを感じるだろう。また、観念の部屋では、彷彿した概念が賭博的貨幣論によって、心身の分離を感じることだろう。部屋から部屋へ扉を進むたびに、あなたは身体の臨界点に達し、仮借する物質の当事者へと回帰していくことだろう。影は徐々に失われ、その身体が観念へと変化する。その時、死者とは観念であることに気づくだろう。篝火の炎が風で揺らめき、あたりをぼうっと照らし、壁のあちらこちらに張り巡らされた糸があることに気づく。その糸は手元の箱に繋がっている。死者は口々にこういう。「死者の上に成り立つ観念は、思想となって、扉のすぐ手前まで津波となって押し寄せよう。しかし、時がたてば、その波も引き、すべてを飲み込み概念の原野となって眼前に立ちはだかるだろう」扉の奥から波の音が聞こえ、端々でけたたましく鳥が鳴く。金星が月と交わり、時折、観念の断片が降り注ぎ、浜を形成する砂礫の一部となっていた。2018年10月18日に作成ちなみに画像はこれを書く数日前2018年10月15日に熊野で撮影した写真です。阿弥陀寺という寺院で霧に包まれ、不穏な経験をしました。 ダウンロード copy いいなと思ったら応援しよう! よろしければサポートお願いします。 チップで応援する #小説 #向こう側 #観念的