AIと著作権の関係について
AIと著作権の関係について
AIを用いたコンテンツ生成が普及する中、著作権との関係は重要なテーマとなっています。文化庁の資料に基づき、この複雑な問題の一部を簡易的に解説します。
概要
AIによるコンテンツ生成における著作権の考え方は、大きく分けて以下の2つの段階に分類されます。
AI開発・学習段階
生成・利用段階
また、AIによって生成された作品が著作物として扱われるかどうかも
重要なポイントです。
AI開発・学習段階
この段階では、AIが学習するためのデータが著作権の対象となるかどうかが問題となります。AIが人間の作品から学習する場合、その作品の著作権を侵害していないかが重要です。
生成・利用段階
AIによって生成された作品が著作物として扱われるかどうかは、以下の点に依存します。
類似性: 他人の著作物との類似度(他人の著作物と同一・類似)
依拠性: 他人の著作物にどれだけ依存しているか(他人の著作物に依拠)
類似性と依拠性
類似性: AIが生成した作品が既存の著作物と似ているかどうか。
依拠性: AIがその著作物を基にして作品を生成しているかどうか。
これらが認められない場合、著作権侵害には当たりません。
しかし、類似性や依拠性が認められる場合、著作権者の許諾が必要です。
AI生成物に、既存の著作物との「類似性」又は「依拠性」が 認められない場合、既存の著作物の著作権侵害とはならず、 著作権法上は著作権者の許諾なく利用することが可能です。
既存の著作物との「類似性」及び「依拠性」が 認められる場合、そのようなAI生成物を利用する行為は、
① 権利者から利用許諾を得ている
② 許諾が不要な権利制限規定が適用される ……
のいずれかに該当しない限り、著作権侵害となります。
私的使用の例外
私的に鑑賞する目的でAIを用いて画像などを生成する行為は、著作権法第30条第1項に基づく「私的使用のための複製」に該当し、許諾なく行うことが可能です。(法第30条第1項)
生成(複製)に関する権利制限規定としては、授業目的の複製(法第35条)等があります
公開・販売の場合
AIによって生成した画像を公開したり、販売する行為は、通常、権利制限規定に該当しないため、著作権者の許諾が必要です。
生成した画像等をアップロードして公表したり、生成した 画像等の複製物(イラスト集など)を販売する行為については、 権利制限規定に該当しない場合が多いと考えられます。
そのため、既存の著作物との「類似性」及び「依拠性」が 認められるAI生成物について、こうしたアップロードや販売を 行うには、既存の著作物の著作権者の利用許諾が必要であり、 許諾なく行った場合は著作権侵害となります。
参考資料
文化庁サイト
文化庁 令和5年度 セミナー動画
文化庁説明スライド
令和5年度 著作権セミナー A I と著作権 令和5年6月 文化庁著作権課