G検定試験対策
G検定試験対策: カリキュラムと点数配分を理解して効果的に学習しよう
G検定は、ビジネスで活用するディープラーニングに関する知識を評価する試験です。効果的な試験対策を立てるために、カリキュラムと点数配分を理解することが重要です。
カリキュラムと点数配分
点数配分は公表されていませんが、公式テキストの問題数の配分は以下の通りです(本文ページ数でも勘案)。
セクション配分1. 人工知能(AIとは)10%2. 人工知能をめぐる動向16%3. 人工知能分野の問題9%4. 機械学習の具体的手法8%5. ディープラーニングの概要14%6. ディープラーニングの手法26%7. ディープラーニングの社会実装に向けて – 法律・倫理・社会問題17%
セクション5と6のディープラーニングの配点が高いには当然として、セクション7(法令等)の配点が厚いのも特徴です。セクション7の配分は17%ですので、5-6問に1問の割合で出題されます。
計算問題(数理・統計)は公式テキストに記載がないので、上の表には含めていない外数ですが、数問出ます(配分割合は1.5%)。試験では中央値、平均値、分散、標準偏差の問題が1問、非常に簡単なニューラルネット(加法と乗算だけ)が1問、計算のいらない四分位範囲に関する問題が1問の計3問出題されました。
1. 人工知能(AIとは)
配点10%で、具体的には出題される内容は下記の通りです。このセクションはさほど難しくありません。公式テキストを読めば十分に対応できますので正答率100%を目指して得点源にしましょう。
人工知能とは何か: 人工知能の定義や、人間の知能を模倣する技術の概要
人工知能のおおまかな分類: 強いAI、弱いAI、特化型AI、汎用型AIなど
AI効果: AI技術が普及することによる社会や経済への影響
人工知能とロボットの違い: AIとロボットの定義や機能の違いを理解する
世界初の汎用コンピュータ: ENIACやEDVACなどの歴史的なコンピュータの紹介
ダートマス会議: 1956年のダートマス会議での人工知能研究の始まり
人工知能研究のブームと冬の時代: AI研究が進展し、資金や研究者が集まるブーム期と、その後の研究が停滞する冬の時代について
このセクションを学習する際には、上記の内容を理解するだけでなく、関連する用語や概念を覚えておくことが重要です。公式テキストを読み進める中で、不明な単語や概念に出会ったら、その都度調べて理解しましょう。また、過去問を解いて、実際の試験でどのような問題が出題されるか確認することも効果的です。
2. 人工知能をめぐる動向
16%の配点で、出題される内容は下記の通りです。このセクションは下記項目の大部分(9割)が出題。ここに記載の内容はほぼ全部出た印象なので漏れなく学ぶことが重要です。とくに探索木、モンテカルロ法、オントロジーは公式テキストをじっくり読み、かつ問題集に取り組むことをお勧めいたします。
探索木: 問題解決のための構造化されたデータ表現と探索アルゴリズム
ハノイの塔: 組み合わせ問題の例としてのハノイの塔問題
ロボットの行動計画: ロボットが自動的にタスクを達成するための計画
ボードゲーム: 人工知能の技術を評価するためのボードゲーム(チェス、囲碁など)
モンテカルロ法: 確率的シミュレーションを用いた問題解決法
人工無脳: 人間とコンピュータとの対話における初期の試み
知識ベースの構築とエキスパートシステム: 専門家の知識をシステムに組み込むための技術
知識獲得のボトルネック(エキスパートシステムの限界): エキスパートシステムの知識獲得における問題点
意味ネットワーク: 概念や単語の意味関係を表現するためのグラフ構造
オントロジー: 概念間の関係を明示的に定義するためのデータ表現
概念間の関係 (is-a と part-of の関係): オントロジーにおける基本的な関係の種類
オントロジーの構築: オントロジーを作成するための手法やツール
ワトソン: IBMが開発した質問応答システム
東ロボくん: 日本のロボットコンテストで活躍したロボット
まだごく一部ですが
必要に応じて上記内容は更新します
3. 人工知能分野の問題
配点9%です。次のような内容が出題されます。割合は9%ですが、全部で191問あるのでここから17問出題されます。一方でこのセクションのテーマ(学習範囲)は9つしかありませんので、全て出題されます。このセクションは100%の正答率を目指して得点源にしましょう。
トイ・プロブレム: 人工知能研究の初期において研究対象とされた簡単な問題
フレーム問題: 人工知能が現実世界の変化に適応するために必要な知識の更新問題
チューリングテスト: 人工知能が人間と見分けがつかないほどの知能を持っているかを判定するテスト
強い AI と弱いAI: 人間のような意識を持つAI(強いAI)と特定のタスクに特化したAI(弱いAI)の区別
シンボルグラウンディング問題: 言語や記号の意味をAIが理解するための問題
身体性: 知能や意識が身体と環境との相互作用によって生じるとする考え方
知識獲得のボトルネック: エキスパートシステムなどで知識を獲得する際の限界や問題点
特徴量設計: 機械学習やディープラーニングで使用するためのデータの特徴を抽出・設計する作業
シンギュラリティ: 人工知能が人間を超える知能を持ち、技術進歩が急速に加速すると予想される未来の時点
これらの問題や概念を理解することで、人工知能分野の問題に対する理解が深まり、試験対策にも役立ちます。公式テキストを繰り返し読み、理解を深めることが重要です。
4. 機械学習の具体的手法
配点はたったの8%で範囲が広いですが、最も実務的なセクションではないでしょうか。公式テキストにも記載の通り、多くの現場の課題はディープラーニングを使わずとも、線形回帰、ロジスティクス回帰、SVM、k-means法などの機械学習で解決します。実装もずっと簡単です。試験対策上も、セクション4は配点の多いセクション5と6の基礎になります(基礎と応用の関係にある)。勉強法は公式テキストを読み込んだ後の黒本での演習をお勧めいたします。このセクションも100%の正答率を目指して得点源にするのが理想です。
線形回帰: 連続値を予測するための回帰モデル
ロジスティック回帰: 二値分類を行うための回帰モデル
ランダムフォレスト: 複数の決定木を組み合わせたアンサンブル学習手法
ブースティング: 弱学習器を逐次的に組み合わせて強学習器を構築するアンサンブル学習手法
サポートベクターマシン (SVM): 最大マージンを持つ超平面を求めることで、データを分類する手法
ニューラルネットワーク: 人間の脳の神経細胞を模倣した学習手法
自己回帰モデル (AR): 時系列データの予測に用いられる回帰モデル
k-means法: 教師なし学習によるクラスタリング手法
ウォード法: 階層的クラスタリング手法の一つ
主成分分析 (PCA): データの次元を削減するための線形変換手法
協調フィルタリング: ユーザー同士の類似性やアイテム同士の類似性に基づいてレコメンデーションを行う手法
トピックモデル: 文書に隠れたトピックを抽出するための手法
バンディットアルゴリズム: 限られた試行回数の中で最適な選択肢を探索する手法
マルコフ決定過程モデル: 状態遷移確率や報酬を考慮して最適な行動を決定する手法
価値関数: 状態や行動に対する報酬の期待値を表す関数
方策勾配: 環境との相互作用を通じて方策を改善する強化学習手法
正解率・適合率・再現率・F値: 分類モデルの性能を評価する指標
ROC曲線とAUC: 分類モデルの性能を評価するための可視化手法とその指標
モデルの解釈: モデルの予測に対する理解や説明を得るための手法
モデルの選択と情報量: モデルの良さを評価し、最適なモデルを選択するための指標
このセクションでは、機械学習の基本的な手法について理解し、実際の問題に応用する力を身につけることが重要です。公式テキストを繰り返し読むことで、各手法の特徴や適用例について理解を深めることができます。また、問題集を使って演習を行うことで、実際の試験で遭遇する可能性のある問題に対処できる力を養うことができます。正答率100%を目指して、このセクションを得点源にしましょう。
5.ディープラーニングの概要
配点14%です。このセクションでは、ディープラーニングの基本的な概念やアルゴリズムを理解することが求められます。暗記が多いセクション6に比べて、基礎的で理論的な内容が多いため、得点が取りやすいとされています。特に、活性化関数(tanh、ReLU、シグモイド、ソフトマックス)、勾配降下法、ドロップアウトなどのテクニックを抑えておくことが重要です。公式テキストをしっかり読み込んだ後、問題演習を行って理解を深めましょう。
単純パーセプトロンは、最も基本的なニューラルネットワークです。多層パーセプトロンは、単純パーセプトロンを複数層に重ねたもので、ディープラーニングの基本構造となっています。勾配消失問題は、深いニューラルネットワークで学習が進まなくなる問題です。信用割当問題は、報酬が遅れて与えられる状況で、どの行動に対して報酬を与えるべきかを決定する問題です。
オートエンコーダは、入力データを圧縮して復元する自己学習のニューラルネットワークです。積層オートエンコーダは、複数のオートエンコーダを積み重ねたものです。ファインチューニングは、事前学習したネットワークを新しいタスクに適応させるための微調整手法です。深層信念ネットワークは、制限付きボルツマンマシン(RBM)を積層させたニューラルネットワークです。
CPU と GPU の違いや GPGPU の活用法についても理解しておくことが重要です。ディープラーニングでは、大量のデータが必要になることが一般的です。勾配降下法の問題と改善策、ドロップアウト、早期終了、データの正規化・重みの初期化、バッチ正規化など、ディープラーニングの学習を効果的に行うための手法やテクニックについても理解が求められます。
勾配降下法は、損失関数を最小化するために用いられる最適化アルゴリズムですが、学習率の選択や局所最適解への収束などの問題があります。これらの問題を改善するために、モーメンタムやアダムなどの最適化手法が開発されています。
ドロップアウトは、過学習を防ぐためにランダムにニューロンを無効化する手法です。早期終了は、検証データの誤差が増加する前に学習を停止し、過学習を防ぐ手法です。データの正規化は、入力データのスケールを揃えることで学習の効率を向上させる手法で、重みの初期化は、適切な初期値を設定することで勾配消失問題や学習の速度に対処します。バッチ正規化は、各層の出力を正規化することで、学習を安定させる手法です。
6.ディープラーニングの手法
配点が最大で26%を占めるこのセクションでは、ディープラーニングの様々な手法について学びます。暗記が多く必要なので、時間をかけて徹底的に理解しましょう。短期合格を目指す場合でも、このセクションで7割程度の正解率を目指すことが重要です。また、カンペをうまく活用することで、効果的に点数を稼ぐことができます。
このセクションでは、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)やリカレントニューラルネットワーク(RNN)、Transformer など、様々なディープラーニングのモデルが紹介されます。また、生成モデルの考え方や変分オートエンコーダ(VAE)、敵対的生成ネットワーク(GAN)などの手法も扱われます。
物体識別タスクや物体検出タスク、セグメンテーションタスク、姿勢推定タスク、マルチタスク学習など、ディープラーニングの応用分野におけるタスクも理解しましょう。また、自然言語処理における Pre-trained Models や深層強化学習の基本的な手法と発展も重要です。
ディープラーニングのモデルの解釈性問題に対処するための手法(例:Grad-CAM)や、エッジ AI、モデル圧縮の手法にも触れます。これらのトピックを理解することで、様々なディープラーニングの手法に対応できるようになります。
7.ディープラーニングの社会実装に向けて、及び、法律・倫理・社会問題
ディープラーニングの社会実装と法律・倫理・社会問題 配点17%のこのセクションでは、ディープラーニング技術を実際に社会に導入する際に関連する法律、倫理、および社会問題を学びます。公式テキストだけでは十分な得点が難しいため、追加の資料や問題集を活用することが重要です。法律や制度が得意でない方でも、7割の正解率を目指すことが望ましいです。
このセクションでは、AIのビジネス活用と法・倫理、AIプロジェクトの進め方、データ収集方法と利用条件の確認、法令に基づくデータ利用条件、学習可能なデータの収集、データセットの偏りへの注意、外部との連携、データの加工、プライバシーの配慮、開発・学習環境の準備、アルゴリズムの設計・調整、次フェーズ以降の実施の可否検討などを学びます。
試験対策としては、公式テキストをしっかり読み込んで理解し、その後に補足資料や問題集を使って問題演習を行うことがおすすめです。法律や制度に詳しくない方も、基本的な知識と概念を押さえておくことで、このセクションでも負けない戦いを目指すことができます。
8.数理・統計
数理統計はシラバスには含まれており、統計検定3級程度の基礎的な知識が出題されますが、公式テキストには解説がありません。過去の試験では191問中3問が出題されましたが、高校1年生レベルの数学知識で解ける問題がほとんどでした。ニューラルネットを組んだ経験がある方や高校数学が得意な方、データサイエンティスト(DS)検定を取得した方、または統計検定3級以上を取得された方は対策不要です。
それ以外の方は、黒本の第四章「基礎数学」の問題(または赤本第2版の第三章の基礎数学の部分)をやることをお勧めします。数学が苦手で満点を狙う場合は、統計検定3級に準拠したテキストや問題集を購入することがおすすめです。データサイエンティスト検定の白本でもこの範囲は十分にカバーされています。詳しくは、データサイエンティスト検定の白本に関する記事を参照してください。