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宿題の答え合わせになるのか〜パンコンチネンタル選手権プレビュー

日本時間27日夜から、パンコンチネンタル選手権、通称“PCCC”が始まります。予選が11月1日早朝まで続き、男女とも決勝は3日の早朝に予定されています。今回はこの大会のプレビュー記事です。

ちなみに、トップ画像は相変わらずNoteにある画像から選んでいるのですが、「仲間を集める」「ゲームで対戦する」「協力して勝つ」あたりは、カーリング向きのよくできた画像だなと…。国語のノートか何かですかね。


PCCCという大会をどう捉えるのか?

次の世界選手権の出場権が与えられる大会

PCCCを簡単に説明すると、“次の世界選手権の出場権が与えられる大会”ということになります。今季は、欧州のチームが参加できる欧州選手権から8チームその他すべての地域のチームが参加できるPCCCから5チームが、世界選手権に出場することができます。

ただし、その数字の中には、開催国も含まれているため、カナダで開催予定の今季の男子世界選手権には“カナダ+その他上位4カ国”、韓国で開催予定の今季の女子世界選手権には“韓国+その他上位4カ国”が、PCCCから出場することになります。

PCCCの難易度

PCCCは、今年で3回目の新しい大会ですが、過去2大会のベスト4は男子も女子も🇯🇵日本、🇰🇷韓国、🇨🇦カナダ、🇺🇸アメリカの4カ国で、5位はいずれも🇳🇿ニュージーランドでした。

今大会には、Bディビジョン(2部)から🇨🇳中国が男女とも昇格してきます。第1回目の大会に参加しなかったことで、第2回目にBディビジョンから参戦することを強いられましたが、1年でAディビジョンに上がってきました。これまでの国際大会の成績で言えば、“🇨🇳中国はAディビジョンにいるのが自然”だと言えるでしょう。

Aディビジョンと言っても、出場する8カ国の間に実力差があるのは、過去2大会で同じ5カ国が世界選手権に出場したことでも、想像がつくかもしれません。国によっては、“代表チームを出す必要がないのでは?代わりに若いチームでも出場させては?”という議論も聞かれるほどです。ひとまず、出場チームの世界ランキングを見てみましょう。

女子は世界ランキング1位の🇨🇦ホーマン、3位の🇰🇷キム・ウンジが飛び抜けいて、出場チームの3番目〜5番目に🇺🇸ティーシー、🇯🇵SC軽井沢クラブ、🇨🇳ワン・ルイの20位〜30位台の3チームがあり、その下は100位台後半か、さらに下です。世界ランキングは、そのチームが強いかどうかに関わらず、試合に出場していないとランキングが上がらないものですが、これだけ違うと、さすがに実力差がありそうです。下の3チームに取りこぼすことがなければ、世界選手権への出場自体はあまり競争にならないかもしれません。

興味深いのは男子の方で、中国がAディビジョンに昇格したことで、世界ランキング100位以内のチームが6つある状況ができています。出場チームの中で6番目なのは韓国の🇰🇷イ・ジェボムです。さらにオーストラリアも、最近MDでの活躍が目覚ましいD.ヒューイット選手がフォースを投げます。侮れないチームが多く、緊張感のある世界選手権出場権争いになりそうです。

世界選手権で出された“宿題”は終わった?

日本選手権→世界選手権→PCCCという1つのサイクル

前述の通り、“次の世界選手権の出場権が与えられる大会”として捉えると、“PCCC→世界選手権”という今季のスケジュールに沿った説明になります。ただし、日本のように、今季の日本選手権(2025年2月)で勝ったチームが今季の世界選手権(男女別、2025年3月〜4月)に出場する国にとっては、“日本選手権優勝→世界選手権出場→PCCC出場”というのが、日本代表としての1つのサイクルだと言えます。PCCCは世界選手権の前ではなく、“世界選手権の後”なのではないかと思うのです。

日本代表としてのサイクルの集大成

昨季の世界選手権での日本代表の成績は、男子も女子も11位でした。オリンピック出場権に直結するポイントがもらえる大会としては、ポイントで出場権が決まるのが“開催国+7カ国”だと考えると、少し残念な結果だったと言わざるを得ません。ただ、そんな中でも、きっと何か気づいたことや発見された課題があったのではないかと思うし、そう思いたいのです。

このPCCCを“あの11位だった世界選手権の後の大会”だと考えるなら、あれから半年経って、何か上達したところ、うまくできるようになったことを見たい、というのが私の率直な意見です。別に優勝できなくても、半年で伸びた何かがあれば、私は満足ですし、そんな状況になっていれば、世界選手権の出場権はおのずと手に入っていると思います。

実際には、前回の世界選手権で対戦した相手は、国としては4つしかPCCCに出場しません。これらの国との当時の勝敗は、男子が2勝2敗、女子が1勝3敗です。中国次第ではありますが、当時と同じ勝敗になると、女子はプレーオフには出場できないかもしれません。

日本と上位を争いそうな5カ国

🇨🇦カナダ

地元カナダは、どんな国際大会でも優勝候補ですが、それはこのPCCCでも同じです。女子の🇨🇦ホーマンは、グランドスラム第1戦の優勝こそ逃しましたが、現時点で世界トップのチームとも言えそう。

一方、男子の🇨🇦グジューは、最近セカンドの選手が交代になり、B.ボッチャー選手が加入して初めての試合がこのPCCCです。ただ、男子は世界選手権の出場は決まっており、万が一うまくいかなくても、実質的にはノーリスク。“スイープができなさそうな元スキップ”を加えたのは、2年前の🇨🇦ホーマンと同じですが、男子でも同じことが通用するのかは、未知数なところはあります。誰がバイススキップを務めるのかが、気になるところです。

競技以外のところで唯一気がかりなのは、PCCCを放送するテレビ局が見つからないなど、いま一つ国内が盛り上がっていないことでしょうか。野球のワールドシリーズの方が気になるなんていう声も…。

🇺🇸アメリカ

女子の代表は🇺🇸ピーターソンですが、ピーターソン姉妹の姉タビサ・ピーターソン選手は産休中。代わって、C.ティーシー選手がスキップを務めますが、元々スキップとして女子世界選手権に出たこともある選手で、その点は心配なさそう。今回の4人の構成は、すでにグランドスラムで試していますし、それぞれ経験のある選手たちなので、この点も心配なさそう。出産を終えた妹タラ・ピーターソン選手が先週の大会でセカンドとして復帰しており、本来のスキップが不在である影響は最小限に抑えられると思われます。

男子の🇺🇸シュスターは初めてのPCCC出場。チームとして確立されており、初出場だからといって浮き足立つようなチームではありません。世界選手権での対戦では、🇯🇵コンサドーレが勝っている相手ですが、良いパフォーマンスを見せないと、なかなか勝てない相手でしょう。

🇰🇷韓国

女子は🇰🇷キム・ウンジ(キョンギ道庁)が2年連続の出場。直前の大会でも優勝しており、シーズン開始時よりも調子は良さそうで、🇨🇦ホーマンの対抗馬筆頭になるでしょう。世界選手権の出場権は確保されている状態ですが、最近のパフォーマンスを見れば、プレーオフ進出は問題ないでしょう。

反対に、心配な感じがするのは、初めて韓国代表になった男子の🇰🇷イ・ジェボム(ウイソン郡庁)。カナダ遠征では、大会のレベルを抑えて出場しているようですが、ここまでの成績は7勝10敗。世界選手権争いが女子よりも厳しくなりそうな中で、少し心配になる数字です。韓国代表として国際大会の経験が多い🇰🇷キム・ウンジの選手たちがどうサポートできるのかが、カギになって来そうです。

🇨🇳中国

女子は、北京五輪の時から大きくは変わってはいませんが、バックエンドの選手が入れ替わっており、ワン・ルイ選手(王芮)がフォーススキップを務めます。今年2月に行われた中国の冬季運動大会で優勝した北京市のチームでハン・ユー(韓雨)選手のチームメイトであるジャン・ジァイー選手(姜嘉怡)が、最近のカナダでの大会でもリードに入っていましたが、PCCCでもそのままリードを務めるようです。同大会で準優勝だった天津市のチームでセカンドを務めていたスー・ティンユー選手(蘇亭毓)がリザーブに入っています。韓国、日本、カナダの3連戦で大会が始まるので、ギリギリの世界選手権出場権争いになる可能性もあれば、そこで勝ち星を拾って、台風の目になる可能性も秘めているチームでしょう。

男子は、近年コーチを務めていたシュウ・シャオミン選手(徐曉明)が選手に復帰してスキップを務めます。2023年世界ジュニアで中国が優勝した時もシュウ選手がコーチでしたが、そのときの選手たちと河北省のチームに所属しており、前述の冬季運動大会で優勝しています。今回の代表にも当時の選手3人が含まれており、そこに最近の男子代表ではずっとセカンドを務めている経験豊富なワン・ジーユー選手(王智宇)を加えたチームです。カナダ遠征開始後も、かなりレベルの高い大会に出場しながら、17勝13敗の成績を残し、大会での優勝も成し遂げています。若さと経験を融合させて、4年ぶりの世界選手権出場を目指します。

🇳🇿ニュージーランド

女子は、昨年の代表チームが国内選手権の段階で別のチームに分かれており、最終的に、首都オークランドの選手を中心に、全員が新しいメンバーの代表チームとなりました。協会HPでのインタビューでも“目標は6位”と答えており、来年以降もAディビジョンで戦い続けることが今回の目標となっているようです。

一方で、男子は、3年前から🇳🇿フッドが代表を務めており、同じインタビューで“今年こそは4位に入る”と答えています。今年もカナダ遠征を行なっており、大会の決勝まで進んだこともあります。今回、さらに手強い競争相手が増えた状況ですが、その中で世界選手権の連続出場を続け、プレーオフを狙ってきます。

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