ミックスダブルスで五輪出場権のボーダーは何ポイントになるのか?
もう明日から始まるミックスダブルス世界カーリング選手権(世界MD)について、大会前に一度確認しておきたかったことがありました。それは「五輪ポイントを何ポイント取れば、五輪に出場できそうか?」ということ。
4人制の方は、13チーム出場の世界選手権2年分で開催国を含む8カ国が五輪出場権を獲得し、男女とも同じ計算なので、感覚的には理解できている感じがするのですが、世界MDは20チーム出場とチーム数が多い割に、開催国を含む8カ国が五輪出場権を獲得するという出場権の数は同じで、ちょっと感じがつかめていません。
私たちはMD日本代表の五輪出場を期待しても良いものなのでしょうか?
2回の世界選手権でMD代表が決まったのは、まだ1回だけ?
そもそも、MDはまだ五輪では2回しかやっておらず、北京五輪の前には世界MDが1回中止になっているので、「2回の世界選手権で獲得した五輪ポイントの合計でMDの出場国が決まった」のは、2018年平昌五輪の1度しかありません。
また、当時は出たい国がすべて出場できる方式で、現在のように最終予選があって20カ国しか出られない方式ではなかったこともあり、ポイントのつき方は違います。
🇰🇷平昌五輪の出場権をかけた2016年@🇸🇪カールスタッドと2017年@🇨🇦レスブリッジの世界MDでは、1位から順に
14, 12, 10, 9, 8, 7, 6, 5, 4, 3, 2, 1
と12位までがポイントを獲得できる方式でした。
(日本は'16年20位、'17年19位で、合計0ポイント)
結果として、平昌五輪の出場国は、
開催国の🇰🇷韓国(7p、'16年:13位タイ、'17年:6位)
に加えて、以下、獲得ポイント順に
🇨🇳中国 22p('16年:2位・'17年:3位)
🇨🇦カナダ 20p('16年:5位・'17年:2位)
🇷🇺ロシア 18p('16年:1位・'17年:9位、“ロシアからのオリンピック選手”として出場)
🇨🇭スイス 14p('16年:28位・'17年:1位)
🇺🇸アメリカ 13p('16年:3位・'17年:10位)
🇳🇴ノルウェー 12p('16年:9位・'17年:5位)
🇫🇮フィンランド 12p('16年:7位・'17年:7位)
の7カ国が五輪出場を果たしました。(出場はこの8チームのみ)
ちなみに次点は🇬🇧イギリス(=🏴スコットランド)の11p('16年:4位・'17年:11位)で、その次が🇨🇿チェコの9p('16年:21位・'17年:4位)でした。
🇮🇹ミラノ・コルティナ=ダンペッツォ五輪の出場権をかけた2024年と2025年のMD世界選手権では、1位から順に
27, 23, 20, 18, 16, 15, 14, 13, 12, 11, ….,1
と全20カ国がポイントを獲得できることになっています。
平昌五輪前のデータを今の五輪ポイントシステムに当てはめてみる
仮にこのポイントを2016年・17年の成績に当てはめてみると、平昌五輪に出場した国は
🇨🇳中国 43p、🇨🇦カナダ 39p、🇷🇺ロシア 39p、🇨🇭スイス 28p(28位は1pとした)、🇺🇸アメリカ 31p、🇳🇴ノルウェー 28p、🇫🇮フィンランド 28p
となり、次点の🇬🇧イギリスが28p、次次点の🇨🇿チェコが19p(21位は1pとした)となっていたことになります。(28pで同点の場合は、おそらく最近の方の'17年の順位で決まっていたと思われ、やはり🇬🇧イギリスが次点でしょう。)
仮に28pを通過ラインとすると、予選を突破しなくても7位(14p)2回で28p稼ぐことはできますが、現実的には、
・最低でも片方はプレーオフに出場(6位=15p以上)
・もう片方も7位〜10位(14〜11p)ぐらい
には入らないと、なかなか厳しいと言えそうです。もちろん前回のように準優勝(23p)できれば、2025年は次回出場権をギリギリ獲得する16位(5p)でも、28pには届く計算になります。でも、準優勝がそんなに簡単なはずはありません。
五輪MD最終予選の出場権はすでに持っている
ただ、平昌五輪の時と違うのは、最終予選からもう2カ国出場できることです。最終予選の出場条件としては、2024年か2025年のミックスダブルス世界選手権に出場すればよいことになっているので、🇯🇵日本はすでにその条件を満たしていることになります。
最終予選に参加するチーム数は16チームとされていますが、世界MDでは毎年20カ国のうち16カ国は来年の出場権を獲得するので、2年間で出場する国の数の合計は普通なら最大24カ国となり、そのうち、開催国を含む五輪出場決定の8カ国は最終予選には出ないので、残りは最大16カ国で「世界MDに出たのに最終予選に出られない」ということは起こりません。
2年で28pはどのぐらい難しいのか?
“28p”と聞くと、かなりの好成績が必要にも思えます。ただ、それは最近の世界MDでの成績を見れば、決して手の届かないポイントではないでしょう。例えば、松村/谷田ペアの過去2大会の成績に五輪ポイントをつければ 12+23=35p ですし、2年連続で世界MDに出場した藤澤/山口ペアだって、今のポイントの付け方なら 16p+16p=32p を獲得しているはずです。
もちろん、国や選手によっては、五輪ポイントのつかない年に、強い選手がすべての大会に出場するとは限りません。実際に、今年の🇸🇪MD代表のヴラノー/ヴラノーについては、昨年プレイヤーズ選手権終了後のリモートでのインタビューで、I.ヴラノー選手が「兄と相談して、今年はMDはやらないことにした」と発言しています。
とはいえ、28pを超えるぐらいの成績は、日本MD代表も、そして、今回の代表でもある山口剛史選手も、過去に叩き出している訳です。それを期待するのが無謀なんてことは、まったくないでしょう。
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