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ルビー・ルール=人間に備わった音感
僕は即興ピアノを弾くのだが、その時に気づいたことがある。
それは即興ピアノを弾いている時、「音を外したことは誰にでもわかる」ということだ。それは子どもや音楽に詳しくない人でも、「誰にでもわかる」のだ。
これは、凄いことである。何故なら「『音階の絶対的な真理』は誰からも教えられなくても、みんな知っている」ということなのだ。
お恥ずかしい話、僕はピアノの先生に習ったことは2回しかない。一度も習った人がない人でも、音階を外したことや、鍵盤を弾くタイミングが遅れたことは、誰に教わることがなくても「知っている」のだ。
僕はこれを「ルビー・ルール」と名付けた。
このことは、最近のAIを考えるときに、重要な示唆を含んでいる。
それは、複雑なプログラムや膨大なデータから作り上げられる音楽の生成AIは、この「『ルビー・ルール』を再現するだけのものでしか無い」。つまり、人間にはだれしも絶対的な音楽ルール=「ルビー・ルール」が備わっていて、コンピュータはこれを再現できるということである。
ご承知のように、音楽の生成AIについては様々なことが言われている。その可否や使用について、数多くの議論がなされている。人間の能力を生成AIが超えてしまうのではないか等、多くの心配事もある。
ここで言えることは、コンピュータは初めから「ルビー・ルール」を持っていない、ということだ。それが人間と生成AIの絶対的な差である。つまり、人間の基本的な能力の一つとして「ルビー・ルール」が備わっている。そのことは人間がコンピュータに勝っているという証拠である。
生成AIを代表とするコンピュータ・テクノロジーの隆盛は、人間を凌駕しようとしている。しかしながら、「ルビー・ルール」に代表される人間の基礎能力は、決して侮るべきものではない。「コンピュータに負けてしまう」とか「コンピュータの方が音楽ができる」とは言えないのだ。だから、我々人間は、もっと自分に自信を持って良いのではないだろうか。
「自分の感覚を大事にする」という芸術家の基本姿勢が、コンピュータを打ち破る術なのである。