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CUTTY SARK.

何もかもを,
大した人生ではないけれど,
有益な命でもないけれど,
何もかもを
棄ててしまいたくなる気持ちが無くならない

「答え」という場所には
代り映えのしない表情と,声とが
原型を保ったまま
ありとあらゆる未来に,過去に,

頁をめくるとき傷つけた指先
薄く深く残る
青みが帯びるほどきつく貼り付けられた絆創膏
命や生命は常に赤く染められていたのだけれど
それは咀嚼の作法を誤っていたのかもしれない。

愛されたかった,愛してみたかった
不相応な願望の類だったのだろうか
愛されたかった,愛してみたかった
本日の天候等を綴る相手が欲しかった
他愛ない事とは
凍てつくほど。

何もかもを,
大した人生ではないけれど,
有益な命でもないけれど,
何もかもを
棄ててしまいたくなる気持ちが無くならない

お湯を沸かして湯気と夢想
大嘘と虚勢とで帆を張った無価値な旅路
その末路には
少し甘みを帯びた香りがする
それでいい。

『CUTTY SARK.』

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