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大河ドラマ「光る君へ」を追いかけて

テレビをほとんど見ない私が唯一毎週見ていたのが、NHK大河ドラマの「光る君へ」。平安文学オタクとしては初めての平安中期、摂関政治全盛期を描いた大河ドラマは外せない訳で、毎週楽しみに見ていました。
昨日12月15日を以て終了した「光る君へ」の、感想を書いてみたいと思います。


1 全体の感想

毎回大変面白く、楽しませていただきました。初回の道兼がまひろの母、ちやはを刺し殺す場面は衝撃でフィクションにしてはあまりに酷いと思いましたが、そこを上手くストーリーとして回収していくところが見事でした。
SNS上色々な評価があるようですが、私は楽しませていただきました。

2 印象に残った場面

以前noteにも書きましたが、1つはききょう(清少納言)が定子のために『枕草子』を書き、読み上げるシーン。「たった一人の哀しき中宮のために・・」というフレーズは泣けました。
もう1つはまひろ(紫式部)が『源氏物語』の着想を得る、美しい紙がヒラヒラと舞い降りるシーン。
他にも「寛和の変」(花山天皇が出家する事件)の緊迫感、「刀伊の入寇」での刀伊襲来の恐怖感を、映像で見ることができたのは良かったです。
(他にも沢山あって書ききれません・・)

*noteへの過去記事はこちら。


3 まひろと道長への感想

まひろに関しては、時代考証担当の倉本一宏先生が「紫式部はあんなきらきらした感じじゃなくもっと地味な人では?」と仰有っていて、まさにそのとおりかと。まぁ、ドラマですからね・・。柄本佑さんの道長は、あの役者さん自体をあまり知らなかったので、上手だと思いました。ドラマが始まる前に執筆のために倉本先生の本を何冊か読んでいたので、私も道長を従来のイメージから少し違う見方(ゴリゴリの権力者というより、摂関家の5男で本来なら権力を握ることもなかったかもしれず、妻の実家の力も大きかったこと。天性の運の良さと、勝負時には大胆に勝ちに打って出る強さがあるも、意外と繊細な人ではなかったか、と。)をしていたので、その辺りを柄本さんが上手く表現していたように思いました。

(「紫式部日記絵巻断簡」東京国立博物館蔵、ColBase、https://colbase.nich.go.jp/)

4 演技賞をあげるなら

キャスト全員にあげたいくらいですが(笑)、藤原実資役の秋山竜次さん、ききょう役のファーストサマーウイカさんは確実でしょうか。どちらも初めミスキャスト?と思いきやはまり役だったと思います。

そして個人的な好みで藤原公任役の町田啓太さんは別格で。居るだけでいい!(笑)
(「青天を衝け」の土方歳三役以来ファンでした♥)

5 印象に残った言葉

「誰かが今、俺が見ている月を一緒に見ていると願いながら俺は月を見上げてきた」(第31話)
道長からまひろへの言葉。
・・これを愛の言葉といわずして何を愛の言葉というのでしょうか!

6 最後に

ごりごりの「平安文学オタク」の私ですが、所属しているFacebookグループ【歴史Mind】より2024年2月に発刊した共著本『歴史愛好家のための日本の歴史~平安時代』にて第9章「紫式部と藤原道長 ーそして、物語は残ったー」、コラム「佳人薄命 -清少納言と藤原定子ー」「刀伊の入寇 -馬を馳せかけて射よ。臆病は死にたりー」の3本を執筆しています。
「そして物語は残った」という副題は最後まで決まらなかったのですが、道長が建てたという豪勢な法成寺は戦乱で焼け跡形すら残っておらず、対して紫式部が書いた『源氏物語』は人の手から手へと写されて現代に伝えられていることから「文学の力」みたいのものを表したくて副題にしました。
昨日の最終回で、歳を経たききょうとまひろが縁側でお茶をのみながら「枕草子も源氏の物語も、一条の帝のお心を揺り動かし政さえも動かしました。まひろ様も私も大したことを成し遂げたと思いません?」と語り合うシーンがあり、私の思いと通じるものがあってとても嬉しかったです。

『歴史愛好家のための日本の歴史~平安時代』現在も販売中ですので、もしご興味ある方はお手に取られてみて下さい。

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では今回も、最後までお読みいただきましてありがとうございました。




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ひとみ
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