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幼児の手は大人が軍手を2枚はめたのと同じ

雨がぽつぽつと降ってきたなと感じる日の夕方。3歳児と4歳児と折り紙をした。プレイパーク常連の2人で、遊びに来るとほとんどの時間を走る系の遊びで楽しんでいる。たまに泥団子やお絵描きなどじっくり系の遊びをする。昨日(これを書いている前日の出来事)は、しばらく走り回った後に折り紙タイムが始まった。
折り紙タイムのきっかけはつむの「カブトムシを作りたい」の気持ち。折り紙の本を読んでもカブトムシの作り方はなく、スマホで調べるのはちょっと違うな~(プレイパークにいるから感じる気持ちだと思う。家にいる時とか1人だったらすぐにスマホ使っちゃうのに!)と思い、折り紙の本に載っていた“蝉”を折った。それを見て「おれにも作り方教えて!」と4歳児くん。1枚目を一緒に折っていると仲良しの3歳児くんもやってきて「おれもやる!」と隣に椅子を並べた。4歳児くんは1つめが完成し2枚目に、そのタイミングで3歳児くんも一緒に折り始める。1回やっているだけあって4歳児くんは割とスムーズに、3歳児くんは初めてだけど一生懸命だった。
私がびっくりしたのは2人とも「できないからやめる!」と1度も言わなかったこと。できない、難しいからやめたくなる、あきらめたくなる気持ちは大人でもあると思う。大人が簡単にできても子どもにとっては難しいことはたくさんある。だが2人は「できないからやめる」ではなくて「できないから手伝って」と言っていた。「手伝って」と素直に言えるのはすごい。プレイパークにいると「手伝ってもらいたいな」という場面がよくある。例えば大きなブルーシートをたたむとき。1人じゃ大きすぎて持てず、でもその場にいるパパママたちに声を掛けるのもちょっと恥ずかしい(全然恥ずかしいことじゃないのになんでだろ?いつも不思議に思う感情!)。彼らを見習って素直に「手伝って!」と言えるようになりたいな。
話を戻して、、、折り紙にあまりにも真剣な2人を見つけてママたちがやってきた。「折り紙してる!すごい!蝉だ!」とママたちもびっくり。本のように角をぴっちり合わせて折るのは難しく、もしかしたら「これは蝉だよ!」と伝える言葉がなければ分からなかったかもしれない。それでも作ったものを認めてくれる、どんな形でもすごいって言ってもらえるのは嬉しいと思う。2人の完成後の嬉しそうな胸を張った表情は私も嬉しかった。
角を合わせられなくても折り紙は折れる。大人から見たら「なんとなく、言われてみたらそれっぽく見える」かもしれない。でもきっと子どもにとっては意味のある作品。受け入れてもらえる言葉が子どもにとっては何よりものご褒美だと思う。子どものちょっと味のある作品、それは「幼児の手は大人が軍手を2枚はめているのと同じ」ような感覚だからこそ生まれる。大きくなるにつれて手先は器用になり、いつかは角をぴったり合わせて折り紙も出来るようになる。むしろ大人になってから角を少しずらして作品を作るのは難しい。今しかない幼児の手の感覚から生まれる作品を楽しんでほしい。
もちろんこの感覚で大変なこともたくさんあると思う。朝の時間のない時のパジャマのボタンが外れない、とかは大人にとってイライラしかしないだろう。でも子どもにとっては大人が軍手を2枚はめたような感覚で頑張っている。毎日は難しくても1週間に1度だけでもいいから「幼児の手は大人が軍手を2枚はめているのと同じ」という言葉を思い出して応援して欲しい。子どもにとっては毎日が成功と失敗の繰り返し。いつかは出来るようになるためにがんばっているいまこの瞬間を見守ってほしい。

プレイリーダー つむ


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