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#44 Part of Me
今日は、毎週土曜のデートの日だ。
付き合って5年になる私たち。
なんとなく週に一回は会おうということになっている。
彼はいつも私の家まで車で迎えに来てくれるのだが
車の中での彼は子どもみたいにうるさい。
「はい!今日の目的地は、運命によって定められた場所です!」
会って早々、いつも訳のわからないことを、さも当然の如く言い放つ彼の頭の中を一回覗いてみたいものだ。
「ちょっと言ってる意味がわからないんだけど。」
私はこの返しをこれまでに何度してきたのだろうか。
「まだまだ勉強が足りませんね、、いいでしょう。では、今日は私についてきなさい!」
「ついていくもなにも、あなたの運転なんだけど」という私の返しに被せるように彼は「レッツラゴー」と言いながら狭い車内で、拳を振り上げている。
「軽自動車で拳を振り上げても、電車のつり革握っている人みたいになってるよ」
「気持ちは、ラオウだから。我が生涯に一片の悔いなし。」
頼むから悔いてくれ。と言いかけたが、やめておいた。火に油。代わりにずっと気になっていたことを聞いてみた。疑問って、気になっていても、なぜかスッと聞けるタイミングと聞けないタイミングがあるような気がする。
「ねぇなんで、電車とかバスとかだと静かなのに、車だとそんなにうるさいの?」
「だって、迷惑じゃん。」
「私は?私の迷惑は、どうなんですか?その辺り考えたことないんでしょうか?」
「ないなー。ないない。だって、ほら、ユーはパートオブミーなのよ。」
You are part of me.なぜ急に英語?しかも意味がわからんし。
「しかもユーはビックパートインマイライフだから、そこんとこよろしく!」
「分かったから、前見て、前。青信号になってるよ」
「おう!やるな!さすがパートオブミーだぜ!」
彼との会話は、いつもちぐはぐで。
でも、そんな彼といるのが私は好きだ。パートオブミー。
私の彼。