輪のスウビメ
「君って優しいよね」
またか。僕は彼女にそう言われたいわけじゃないのに。
彼女は何度も僕に言う。優しいと。
その度に自分は優しいのか。と腑に落ちない気持ちと一緒に
「優しいらしい自分」と対面することになる。
「優しいらしい自分」は何とも弱そうで、頼りなく、面白いことなんて今までの人生で一番も言ったことありませんみたいな顔をしている。
俺は嫌いだ。コイツとは友達になれそうにない。
ただ。
そんな「優しいらしい自分」は彼女のお気に入りらしい。
お前のせいで最近彼女はワガママばかりだ。
ただ。
そんなワガママな彼女を俺は好きらしい。
“ハッピーエンド。レス”