9月の「田原カフェ」で中林美恵子さんが語った事
先月、私が若い世代と議論するイベント、
「田原カフェ」に、
早稲田大学教授の中林美恵子さんに
ゲストとしていらしていただいた。
中林さんは、
ワシントン州立大学院卒業後、
アメリカ国家公務員として勤務、
アメリカ政治研究の第一人者である。
むろん、ずばり聞きたいのは、
この質問だった。
「トランプとハリス、
どっちが勝つと思う?」
中林さんは、
「どちらになってもおかしくない」と言った。
ほんとうにわからない、
という顔だった。
おそらく僕を含めた、
多くの日本人は、
「なぜそんなに多くのアメリカ人が、
トランプに投票するのか?」
と思っているだろう。
はっきり言えば、
品がない、失礼な態度をとる、
不倫問題、
起訴もされている……。
中林さんは言う。
「トランプはエリートっぽくない。
下品な単語を使って
政策を打ち出す」ことで、
不満を抱える、
一定層の国民にとって、
「代弁者となるのだ」と。
また、「天才的な嗅覚」があるとも語った。
例えば日本製鉄による、
大激戦区ペンシルベニア州にある、
USスチールの買収問題。
「大変歴史ある会社なので、
日本に買われるというのは、
(選挙民の)感情的に『NO』。
トランプは天才なので、
それが嗅覚的にわかるのです」
そして、何より、
トランプ政権の4年間、
アメリカ経済が好調だったことが、
大きいという。
多くの人間はやはり、
まず自分の生活が一番だ。
遠い国ウクライナを支援するなら、
国民のためにもっと使ってほしい……
と思うアメリカ国民は多いのだ。
11月5日、アメリカ国民は、
トランプ、ハリス、どちらを選ぶのか。
それにしても思うのは、
アメリカ大統領選の熱量のすごさだ。
直接何度も討論会を開き、
国民はその姿を通じ、
政策、人間性を見ようとする。
時間をかけて、
しっかりと闘っている感がある。
一方、日本では、
システムの違いがあるにせよ、
自民党総裁選から衆議院選挙と、
日本の将来を決める選挙が、
慌ただしく進む印象は否めない。
政策論争、議論の場が、
あまりにも少ない。
それは、やはり二大政党がなく、
政権交代が起きにくいためだろう。
中林さんは、
日本に二大政党が
必要だという思いから、
旧民主党から立候補し、
衆議院議員を務めた経験がある。
研究するだけでなく、
自ら行動する学者なのだ。
日本では、「民主主義が成熟しておらず、
野党を育てる」感覚がないと言う。
僕ももちろん、
政治に緊張感を与える
二大政党が必要だと考えている。
日本の民主主義が成熟するには、
これからの世代に期待したい。
中林さんは、
この日集まってくれた、
若い参加者に、こう語りかけた。
「今の若い人たちのモラルの高さ、
真面目さはすばらしいと思う。
そのよさを生かしつつ、
あと一歩というところは
『アニマルスピリット』だと思う。
ぜひ他の人のやってないことを
どんどんやるくらいの気持ちで。
優等生になろうなんて
思わなくていい。
生きてりゃ、
なんとかなりますよ。
がんがんやっていただくことで、
日本が救われると思っています。
よろしくお願いします」
中林さんにはこれまで、
「朝まで生テレビ!」などに、
何度も出演いただいていた。
今回の「田原カフェ」は、
こぢんまりとした会で、
よりじっくり、
さまざまな話ができたように思う。
中林さんの伸びやかさが出ている、
とても魅力的な言葉をいただいた。
そうだ、若い人が失敗を恐れいては、
夢が持てない。日本も変われない。
若い人たちよ、
「アニマルスピリット」でいこう。