(vol.11) 『コントローラータイプ』との効果的なコミュニケーション。
選手との関係性を深めるために。また、選手の潜在能力を最大限引き出すために。その効果的なコミュニケーションをタイプ別に書いていきます。
今日は『コントローラータイプ(直進型)』についてです。
どのような人がコントローラータイプに多いかということと、コントローラーが好むアプローチについて説明します。
(※タイプを決めつけたコミュニケーションは逆に関係の悪化につながる可能性があります。「タイプ分け」は、あくまでコミュニケーションの判断基準であって、相手を理解し尊重することを助けるものです。人によってどんなコミュニケーションが効果的なのか常日頃から考えることが重要です。)
コミュニケーションタイプについて書いてあるのはこちら👇
1.どんな選手が『コントローラータイプ』に多いか
実は4つタイプは行動パターンから推測できることがあります。
『コントローラータイプ』の行動としては、
●リアクション → 速い
●話す速さ → 速い
●話の長さ → 結論から単刀直入に話すので、短い●声の調子 → 断言口調
●表情 → 頼れそう
●姿勢 → 腕組み、足組み、硬い
●話の話題 → 試合や練習について
●スタンス → 要点を話そうとする
以上のことが挙げられます。
また、予想外の質問を投げかけたときに
□表情が少し硬くなる
□目がきつくなる
□腕を組む、足を組む
□短い答えで即答しようとする
などの反応があります。
また、はじめてのトピックについて話し合う時には「自分は判断できる人物である」ことを示そうとします。そのため、
□単刀直入・断定的な言い方
□早口
□主観を交えず、事実やデータを客観的な口調で語る
などの反応があります。
以上の行動が多くあてはまる選手はコントローラータイプの確立が高いかもしれません。
2.コントローラータイプの特徴
以下特徴をまとめます。ざっと言うとこうです。
『人をも場をも支配しようとするコントローラータイプ』
人からああしろこうしろいわれるのをもっとも嫌います。俺について来い流のリーダーに多くみられるタイプで、統率力やリーダーシップに優れています。決断力がありますが、自分の内面に目を向けることは苦手です。コントローラータイプの選手は行動的で自分が思った通りに物事を進めることを好みます。過程よりも結果や成果を重視します。リスクを恐れず、目標達成に邁進します。監督や仲間から指示・命令されることに抵抗を感じやすいです。アドバイスを与えるより本人に任せることが有効です。自己有能感を感じたいタイプなので仲間からアドバイスを求められると喜びます。
チームにこのような選手を思い当たりはしませんか?どのチームにも数名いるのではないでしょうか。
これからコントローラータイプの選手が好むアプローチを説明します。
※ちなみにコントローラーのキーワードは
判断 尊敬 評価 情報
単刀直入 完了 結果 実績
です。
3.コントローラータイプの選手が好むアプローチ
コントローラーが好むアプローチとして、場面ごとに説明していきます。コンパクトにまとめますので参考にしていてください。
〇情報提供○
いち早く質の高い判断を下したいと思っています。結論から先に述べて、単刀直入に言いましょう。スピード感が大切です。例えば試合前のミーティングでは、「この試合のお前のミッションは〇〇だ。相手は△△な闘い方でくる。だから〇〇でいこう。」など。
〇提案○
もともと自分で判断することが好きです。「この場面では、こんなプレーもあるし、こんなプレーもある。さらにはこんなプレーもできるけど、君なら次にどんなプレーを選択する?」とできるだけ多くの選択肢を用意すると効果的です。
〇質問○
質問されることは少し苦手です。なぜかというと、質問側に主導権があるからです。(監督からの質問には有能感を感じて頑張って答えようとする選手もいます。)したがってコントローラーの選手の考えをチームに還元させたい時には、「〇〇という理由で、君の考えを共有してくれないか?」など、質問でコントロールする意図がないことを伝えるといいです。
〇要望○
選手に何かをさせたい時にとるコミュニケーションといえば、指示(命令)、依頼、要望のいづれかですが、要望をお勧めします。試合前など、単刀直入に「お前にはこれをしてほしい」等のニュアンスが有効です。
〇任せる○
コントローラーの根底にある欲求は「判断」したいということ。試合の際に一任してもらえるということはその選手にとって理想の状態です。例えば「右サイドはお前に任せたぞ」とか「〇番のマークはお前に任せる」などの言葉がやる気を引き出させます。
〇目標の提示○
コントローラーは勝負師なので、勝ち負けに非常に拘ります。競争心を刺激するような言葉が効果的で、「頼んだぞ」「やっつけてくれ」という言葉で多少ストレスをかけても大丈夫です。
〇選手からの意見○
例え、情報が少なくてどうしてその意見を抱いたのか不透明でも、質問攻めせず、情報提供者として大切にすると良いです。「チームにとって貴重な意見だね。どうしてそう思ったのか、もっと話してくれないか?」など、コントローラーの防衛反応を押さないようにします。
〇ほめる○
おだてるようなほめ方は逆効果です。なぜならほめることは相手を「評価」する意味があり、「自分をどうにかしようとしているな」と勘繰られてしまうことがあるからです。よって、「事実」をシンプルに言うと良いです。例えばキャプテンに対して「リーダーシップがあっていい感じだな」より「最近お前のチームは生き生きしてきたな」の方がいいです。
4.最後に
シチュエーションは様々なので、以上を参考にしながら、コントローラータイプに応じた効果的なコミュニケーションを探ってみてください。
冒頭にも述べましたが、「あいつは〇〇タイプだから」などの決めつけは良くありません。このタイプ分けは一つの判断基準として選択肢に入れておき、指導者は選手一人ひとりに応じた効果的なコミュニケーションを見つけることをお勧めします。
それでは今日はこの辺で。
明日は『プロモータータイプ(促進型)』について説明していきます。