ウイスキーを最高にたのしむ100のセンス 「我輩はウイスキーである」9
まえがき
「我輩はウイスキーである。」
連載記事の第9弾です。
100のセンス≠100回連載。
連載回数は未定です。
本文
秋口になるとパックリとザクロの実が美しい。
同じ秋の果実でも柿などは熟すと
ポトリと約束通りに落ちてくれるが
ザクロは多少風が吹こうが
雨にたたかれようが
耐えに耐えた忍びの美学が色香に漂う。
そこに女盛りの情を知った恋心でも重ねて
一句も読めれば
酒場通いにも一段上の粋人と
瞠目されるやもしれぬが
ザクロといえばその絞り汁で風味をつけた
グレナデンシロップにしかあたまが働かぬ。
これもバッカス様と二人三脚の我が宿命。
よそ見無用の天の声あり。
では、代表的な飲み方をひとつ。
まずウイスキー4分の1。
それにグレナデンシロップ2分の1スプーン。
砂糖をスプーンに一杯入れて
氷と共にシェークすれば
ニューヨークなる心地良き甘さの
カクテルができあがる。
なお最後には親指大にそぎ落とした
オレンジの皮をグラスの淵で絞りかけて
皮のフレーバー(香り)と
ビター(にがみ)を移すと
味わいがさらに深くなる。
このオレンジピールをユズに代え
その名も「古都」などというネーミングも
たのしいのでは。
ああ、ザクロよ、ザクロ、
我が唇に秘密のくちずけをもう一杯。
ウウム、秋ですな、御同輩。
最後までお読みいただき
ありがとうございました。
あとがき
さて
この連載はいつ頃書いたものか
想像つきますか?
昭和?平成?令和?
空気感から書かれた時代を
ぜひ想像してみてください!
いつ頃書いたかの正解は連載の最終回!
お楽しみに!