見出し画像

自己紹介⑤松本山雅FC編〜日本一のサポーターに加わりたかった〜地方クラブの理想形を行くクラブの栄光と挫折


私の好きなサッカークラブについて書いていく自己紹介シリーズ、長くなりましたが最終章、松本山雅FC編です。

きっかけはYouTubeの応援動画
ここに混ざって応援したい!

前の自己紹介シリーズにも書かせていただいた通り、私は第一に、静岡県浜松市生まれ、神奈川県相模原市育ちのジュビロ磐田サポーターである。

前回の長崎編に続き、松本も縁もゆかりもない場所である。きっかけが磐田、清水が生まれ故郷の静岡、長崎がヴィヴィくん(マスコット)なら、松本山雅はこれに尽きる。

日本一のサポーターだ。

なにをもって「日本一」とするかは人それぞれだと思う。人数なら浦和だと思うし、応援スタイルなら清水の独創性もいい。あったかさなら一つのクラブに絞れるわけなどない。
けれど、地方クラブの規模を超越したサポーターの数、チームの調子関係なくアウェーゴール裏を埋め尽くし鼓舞する姿、松本山雅というクラブを応援するものなら誰でも溶け込みやすいゴール裏の雰囲気、「雷鳥は頂を目指す」の弾幕の特大のインパクト、待機列に並んで知り合いにあったときの家族感…などなど。「サポーター」という言葉はこのクラブのためにあると言える。そのぐらい切っても切り離せない存在だと思う。

話をサポーターになったきっかけに戻す。
私が釘付けになったのは、YouTubeの応援まとめ動画だった。


率直な感想。
むっちゃかっこいい。
声の迫力すげえ。
歌詞もかっこいい。

もちろん、それなりに知っている知識もあったが、そんなことよりも応援がしたいってこんなに直感で思えたクラブはないと思う。

2018年
スタートは最悪だった

いざ、山雅の応援でのスタジアムデビュー!は第3節の味スタでの東京V戦。同じ緑のチームカラーを持つクラブ同士ということで、毎回熱が入る対戦カードである。
もちろん埋まっている方はアウェーでも松本山雅のゴール裏である。

開始わずか2分で先制ゴールをゲットするも、わずか5分後に追いつかれ、さらに前半のうちに逆転される。後半は攻める時間が長かったものの1-2で初観戦は黒星となった。

東京V戦は緑のプライドをかけた戦い
アウェーは徹底的に埋めるのが山雅スタイル。味スタは予定外にサポーターが集まって2階席を急遽開けさせた伝説もある

結局3節を終えて2分け1敗と勝ちを挙げられず、戻ってきたホーム開幕戦。しかし、この年はホームのアルウィンが芝の張替えにより4月まで使えず、ホーム開幕戦は甲府のホームスタジアムでの開催となった。それでもいつものようにアルウィンさながらの空気感を作り出すのは流石といったところだった。しかしここでも1-1の引き分け。あと一歩が続く。

甲府の試合でも来たことがなかった小瀬へ初参戦。晴れると山がきれいに見える
山雅に久々に復帰した岩上祐三の一撃で1-1のドロー。あと一歩勝ち点3には届かず

3度目の正直、として向かったのは私の地元・町田。若干雪も交じったような雨の寒さのナイター。ここでも2点を先行される苦しい展開。なんとか1点返すも焼け石に水で黒星。意気込んで応援し始めて2敗1分け、チームの成績としても次の山口線も引き分けて6戦勝ちなしという苦しいスタートとなった。

初の野津田。ピッチが見づらくこのコンディション。初見の印象ははっきり言って最悪だった
苦しい敗戦。雨がいつもよりも冷たく感じた

2018年4月
完全に山雅の楽しさにハマる→初アルウィン→初勝利は全員の堅守で掴んだ甲信ダービー

気がつけば初参戦の東京V戦から岡山、町田と3戦連続の参戦。すっかり楽しさの沼にハマっていた私。2節を挟んで(その間、大宮戦でようやくアルウィンに戻り、初勝利をつかむ)、そして讃岐戦でずっと憧れていたホーム・アルウィンに初参戦。

周りは田んぼ。自然がいっぱいの中にスタジアムがある
横からみた山雅サポーター。J2の規格を優に超えている
隣は信州まつもと空港。試合中に飛行機が近くを旋回することも
選手入場前のタオルを掲げたときの一体感はいつも鳥肌が立つ圧倒的なホーム感

幸先よくCKから合わせて先制ゴールを奪うも、終了間際に讃岐に追いつかれドロー。観戦初勝利はまたもお預けに。
それでも、アウェーとはまた一段と一体感のあるアルウィンの空気感を生で体感できたことは、さらにこのクラブへの愛着を高めていくこととなる。たとえ結果が出なくとも。

そして迎えた翌週のヴァンフォーレ甲府との「甲信ダービー」のアウェーゲーム。
前半終了間際にセルジーニョのゴールで先制すると、後半は球際の激しさで一触即発になる場面もあったが、再三のファインセーブを見せたGK守田達弥を中心に何度も危ない場面を凌ぐ。ラストの相手のCKの流れからの相手のヘディングは守田が指先で少し触ってセーブ。ついに初勝利を掴みとった。
山雅が勝つと見知らぬサポーター同士も肩を組んで「アルプス一万尺」の合唱とともに喜びを分かち合う儀式がある。これを初めてやってから、これをやらずに帰れない!と思うぐらい、全クラブの勝利の儀式の中で好きだ。

甲府は松本からも割と近場のため、
甲信ダービーはいつもガンズくんもやってくる
互いにゴール裏のサポーターは熱い
ついに掴みとった初勝利。
1-0の「ウノゼロ」はこの年の山雅サッカーの代名詞に
「勝利の街」の大合唱。この時の一体感もすごい

2018年6月・8月
2度とも逆転勝利。派手に打ち勝った「千葉戦」の記憶と山雅から世界に飛び立ったスピードスター

この年の山雅は甲府戦でも見せた「堅守」が目立ったが、私がホーム・アウェーともに観戦した千葉戦がとてもスペクタクルなものだったので、紹介しておきたい。

まずホームでの対戦は6月23日。私にとって2度目のアルウィン参戦となった。
前節に昇格争いのライバル・大分にホームで大敗。不可解な判定の連発も重なって反町康治監督が試合後に怒りを爆発させるなど、フラストレーションのたまる試合のあとだった。

それを引きずったかのように、立ち上がりは最悪だった。11分にオウンゴール、25分に古巣対戦となった船山貴之に決められ、2点のビハインド。
しかし、岩上祐三が味方に合わせるのを狙った蹴ったFKが誰にも当たらずにラッキーな弧を描きそのまま吸い込まれ1点を返して前半を折り返すと、後半14分に前田大然がカットインからミドルを叩き込み同点。勢いそのままにその2分後に相手のビルドアップのミスを突いて逆転に成功する。さらに35分にも1点を追加し、そのまま4-2と前節のモヤモヤを吹き飛ばす痛快な逆転勝利。ナイターのアルウィンは熱気に包まれた。

この日のゲストは地元出身の御嶽海関。まだ優勝していないときだったが、このあとの夏場所で見事優勝。山雅にも明るいニュースを持ってきてくれた。今や大関と角界を代表する力士に
この日はサポーターの呼びかけで旗を一人一つ持参する。最高のホームアドバンテージ
0-2から4発。最悪の前半から一気にひっくり返した
試合翌日にはずっと行きたかった松本城へ

そして8月4日のフクダ電子アリーナでのアウェーゲーム。こちらもホーム同様にPKを与えて先制されるも、その4分後にDFのロングボールを前田大然が猛然とダッシュをかけて相手DFの処理ミスを誘うと、そのまま奪ってゴールへ流し込み同点に追いついて前半を折り返す。
後半は追いついた勢いそのままに7分、岩上祐三が逆サイドネットへ強烈に突き刺して勝ち越し、さらに普段は守備の人、岩間雄大が意外性のあるループシュートを決めて勝負あり。1点は返されたものの2-3で逃げ切りシーズンダブルを達成。もうこの頃には序盤の失速はどこへやら、完全に首位争いをするチームへと変貌していた。

アウェーフクアリを埋めた山雅サポーター。ゴール裏に絶妙に屋根があるので反響がすごかったから余計にテンションも上がる
勝利後の様子。
松田直樹氏の命日の2日前にきっちりと勝利を届けた

この千葉戦、どちらの試合も輝いたのは、前田大然。私が山雅サポーターになって一番魅了された男である。

彼の魅力はなんと言っても圧倒的なスピードと、それを何度も活かす爆発的なスプリント能力である。高卒二年目に山雅から水戸にレンタル移籍すると、その才能が一気に開花。スピード+得点力に磨きがかかり、水戸で13ゴールを記録しその翌年の2018年に山雅へ帰還。水戸の時ほどの得点力はなくとも、もともとのスピードに豊富なスタミナが備わり、前線から猛然とダッシュをかけて相手のミスを誘うプレッシャーをかけ続けた。この千葉戦の2発は、そのスピードが存分に見られたゴールであった。

正直、私が見たときは足の速さと大変良く走る選手だなとは思ったが、一対一の勝負で決められなかったり、決定機を外すシーンは少なくなかったため、まだまだ荒削りな印象だった。
それでも1年後に山雅から初の欧州移籍でマリティモ(ポルトガル)に移籍すると、1シーズンの期間ではあったがそこできっかけを掴み、横浜FMに加入。1年目こそ3ゴールにとどまったが、昨年はスプリントがさらにワンランクアップし、決定力も格段に上がりJ1リーグ得点王に輝き、東京五輪にも出場しゴールも決めた。そのオフには再び海外移籍としてセルティック(スコットランド)に加入し、早くも現地のサポーターの心を掴んだ。

天性のスピードと、得点力は水戸で、運動量は山雅で、それがガッチリと噛み合ったのが横浜FMといった感じだろうか。彼は移籍してからもずっと気になる存在であるし、チームを離れてからもSNS等で山雅を気にかけてくれるのも嬉しい。

↓6月・8月のどちらの試合のゴールでも走力で圧倒している

2018年11月17日
サポーター歴1年目で雷鳥はJ2の頂に立った

2018年は、松本山雅の歴史においても、J2リーグの歴史においても、史上空前の大激戦のシーズンだった。

なんせ、最終節を迎える前に、昇格を確定させるチームが1つもなかったのだから。

山雅は、22節のアウェー岡山戦から自動昇格圏の2位以内をキープし続けた。首位争いは大分トリニータ、FC町田ゼルビア(当時はJ1ライセンスがないため2位以内でも昇格はできなかった)と激しい争いを繰り広げた。

そうして迎えた最終節のホーム徳島戦。山雅は2位大分、3位町田とともに勝ち点1の差でトップに立ち、勝てば自力での優勝・J1昇格が決まる状況で最終節を迎えることとなった。私は日帰りという強行日程であずさに揺られて現地へ向かった。
現地へは混むと思って早めに出て並んだけれど、おそらく今までで一番並んだと思う。当然チケットは完売。スタンドは徳島のサポーター席を除いて緑に染まった。
山雅は序盤から押し込んでいくも、徳島の意地の粘りの前にゴールを割ることができない。それでも、持ち味の堅守はこの日も揺るがず、シーズン終盤に怪我の守田に変わって守護神を務めた村山智彦を中心にこの日も0を並べ、そのままタイムアップ。他会場では大分は前半に先制するも最後に追いつかれ、町田も引き分け。この結果松本山雅のJ2優勝・J1昇格と大分のJ1昇格が決まった。

私にとっても現地で優勝の瞬間を見届けるのははじめてのこと。このクラブの応援動画を見て直感で応援を決めた1年目で優勝できるなんて運がいいなと思うのと、見る目あるなって思ったのと(笑)。
試合終了後のセレモニーまで誰一人席を立つことなく、興奮は覚めなかった。あの日の熱気を忘れることはないだろう。

待機列、冬の寒さが来た中で並び続けた
マッチデープログラムの裏面が緑になっていて、試合前に掲げた結果ご覧の壮観なスタジアムが出来上がった
2018年のクラブスローガンは「全緑登頂」
登頂の文字にJ1を浮かび上がらす圧巻のコレオ
この日の観客は19.066人。
自由席のため席取りに苦労した
J2優勝が正式に決まった瞬間。
大人数が他会場の速報をスマホでチェックするため、なかなか電波が繋がらかったが、スタジアムの速報がJ2優勝を伝えた
村井チェアマンとキャプテンの橋内優也。
この男の統率力なくしてこの年の堅守は語れない
シーズンでこれだけの人がアルウィンを埋めた。J2では規格外の数字
試合後は念願の信州そば。グッズを身に着けていたので店員の方にもお会計の際におめでとうございますと言われた。些細なことだけど街に山雅があると根付かせてくれた瞬間
2018年のJ2の順位表。
優勝争い、PO争いともに大激戦の年だった

2019年〜2020年
2度目のJ1も1年で降格→「反町遺産」の苦しみ

迎えた二度目のJ1、前回の2015年は1年で降格。そのリベンジをこめて「境界突破」のスローガンのもと挑んだシーズン。
開幕戦から私の贔屓、磐田と。開始早々に岩上祐三の芸術的FKが決まって先制するも後半に追いつかれドロー。昨シーズンのJ2なら逃げ切れていたような展開だったが、J1の厳しさを知ることに。
それでも2節は昇格争いで激闘を繰り広げた大分にウノゼロで勝利し、悪くないスタートを切った。
ところが「堅守」で昇格してきたチームは、J1では得点力不足という課題を突きつけられる。複数得点を記録した試合は皆無で、勝ち点3にはなかなか繋げられなかった。

平成最後のJリーグ観戦は味スタのFC東京戦
FC東京でも、東京Vでも味スタは埋め尽くす。
そしてユルネバには信濃の国で返す。
それが山雅サポーターのやり方
ガンズくんも味スタ参戦。東京ドロンパと仲良く共演
6月のマリノス戦にもガンズくんがやってきた。
優勝することになるマリノスに堅守で粘るも黒星
「松田直樹」という両クラブにとって特別な存在を持つこの戦いはいつも意地のぶつかり合い。かつては追悼試合も行われ、互いに深い絆で繋がっている

前半戦は17位と降格圏で折り返すと、後半戦はさらに失速。アウェーの浦和戦で見事な逆転勝利をあげるなど意地は見せたが、最後の最後で追いつかれ勝点を取りこぼし他試合も少なくなく、結局22節以降はそこから浮上できず2度目のJ1も残留を勝ち取ることはできず。
シーズン終了後には8年間指揮した反町監督の退任も決まり、1つの時代が終わりを告げた。

そして再びJ2に戻った2020年。主力は多く引き抜かれ、新たに布啓一郎監督を迎え、今までとは違った攻撃寄りのサッカーへと方針転換。開幕戦には逆転勝利するも、コロナで中断。中断明けはそのつけを払うように守備が崩壊し一気に失速。22クラブ中20位となったところで、布監督を解任。編成部長の柴田峡が後任となった。前半戦で崩壊した守備を立て直して成績は多少上向いたが、最終的には13勝15分14敗と初めてJ2で負け越し。最終順位も13位と2012年の12位を下回るJ2での過去最低順位という結果に終わり、反町監督が作り上げた8年間の後遺症に苦しんだ。

9月の山形戦。J1で来られなかったアルウィンに久々に参戦。でも、コロナの影響で声は出せず。揃った拍手で選手を後押しするも、どこか物足りない
試合はセルジーニョのPKで逃げ切る
PKを決めたセルジーニョと神がかり的なセーブを連発した村山。この二人は苦しんだシーズンも頼りになった
11月、2年前に嫌な思い出を作った野津田へ
この時はアウェー解禁。関東アウェー席はこの試合が今シーズン初の設置だった
常田の初ゴールもあり2-1で勝利。
きっちりと2年前の雪辱を果たした

2021年
大幅入れ替えのつけと改善されないミスを重ねJ3降格…
後任にやってきたのは、まさかの…

2021年。山雅は24人の選手が加入し、他クラブにレンタルしていて完全移籍に切り替わった選手も含めて27人が退団という、大胆かつ大幅な選手の入れ替えを敢行した。
派手さはなくとも、J2を見ていれば実力者とわかるような選手を多く補強。前年にも不振のときに夏の移籍期間でレンタルで多くの選手を補強し、割とハマった選手は完全移籍に移行したりと、終盤に立て直した勢いの継続と血の入れ替えに踏み切った。監督は柴田監督が立て直しを評価され、継続路線に。

ところが、この入れ替えは裏目に出る。

開幕から5戦未勝利(3分2敗)となり、第9節終了時には最下位に転落。繰り返されたのは同じパターンでの失点。特にセットプレーのマークのズレから決められるなどが多かった。反町監督の時は最大の強みであったセットプレーは、最大の弱点に変わってしまった。
そして、第19節終了時点で4勝7分8敗の17位に低迷した事を受け、柴田監督を解任。
後任にやってきたのは、いい意味でまさかの人選であった。

ジュビロのレジェンドかつ、ジュビロサポーターとしても素晴らしい期間を過ごせた時の監督だった名波さんが山雅へ。
いつかまた監督やってほしいとは思っていたけど、
山雅とは思わなかった

名波浩である。

ジュビロサポーターでもある私は2015年のJ1復帰、2017年のリーグ最少失点のJ1リーグ6位の躍進と、いい時代を過ごせた名波さんの山雅監督就任は驚きだった。とはいえ、名波さんならなんとかしてくれるんじゃないか?という期待感も驚きと同じぐらいだったことも事実。こうして、昇格が目標だったクラブは残留へ切り替え新たな戦いが始まった。

昇格を決めた2018年のJ2は2枠の昇格争いが複数クラブにより熾烈を極めたが、2021シーズンはコロナの影響で4クラブ降格になり、J2残留争いも降格圏クラブが毎節動く展開となった。
東京五輪中断前は16位となんとか残留圏内をキープして折り返したが、再開後には再び同じパターンでの失点が顔をのぞかせ、4失点など大量失点で敗れる試合も増え、そういったときに限って得点もついてこず、残留争いをするクラブの中で際だって得失点差のマイナスの数値が悪化していき、どんどん不利になった。

結局後半戦は2勝しかできず。1節を残して最下位でのJ3への降格が決まった。J1経験クラブとしては2例目の降格という屈辱であった。

3月には水戸に初参戦。
思っていたより外観が立派でした
水戸には古巣の選手も多い
土砂降りの中、0-3の完敗
悪循環はすでに始まっていた

2022年
初のJ3への提言と、最低限これだけはやってほしいこと

初のJ3を戦うこととなった2022年。監督は名波さんが続投、主力は河合秀人、鈴木国友、圍謙太朗といった面々が抜けたが、私が思ったより抜かれなかったかな、といった印象。

嬉しい話題もあった。2018年の優勝に大きく貢献したパウリーニョが3年ぶりに岡山から復帰。来日からJクラブを渡り歩き、日本語のコミュニケーションも難なくこなす熱き男の帰還はプレーでも精神面でも大きなものをもたらすだろう。

ここからは、初のJ3を戦うにあたって、過去の傾向も載せつつ、3つのやってほしいことをあげていきたい。

1.どんなにつまらない内容でも勝ち点3にこだわって優勝してJ2復帰へ

当たり前のことかもしれないが、昨年の山雅がJ2で遠ざかっていたことは勝ち点3の取り方である。反町監督の時はどれだけ押された戦いをしてもセットプレーなどで一点をもぎ取り、勝ちを重ねてきた。その相手にとって嫌らしいやり方を取り戻してほしい。

今回J3を戦うにあたって、2014年に創設された過去のJ3のリーグの優勝クラブのデータを改めて調べ直してみた。

2014 金沢(J2、そこから降格なし)
2015 山口(J2、そこから降格なし)
2016 大分(J2、2018年に2位でJ1昇格)
2017 秋田(当時ライセンスなしのために昇格ならず、2位の栃木は昇格、現在もJ2でそこから降格なし)
2018 琉球(J2、そこから降格なし)
2019 北九州(2021年に降格、今年はJ3、2位の群馬はJ2、そこから降格なし)
2020 秋田(J2、そこから降格なし)
2021 熊本(???)

ご覧のように、J3優勝クラブは2019年の北九州を除き、J2に定着している。もちろん目指すところは将来のJ1だが、最低限の目標として頭に入れておきたいデータである。

そして、もう一つ。今年のJ3は18クラブで争われるが、そのうち

🐤SC相模原
🌷カターレ富山
🐂FC岐阜
🏜ガイナーレ鳥取
🥚カマタマーレ讃岐
🍊愛媛FC
🌻ギラヴァンツ北九州
🌋鹿児島ユナイテッドFC

と、これに山雅を加えた9クラブ、すなわち半分がJ2経験クラブとなっている。もちろんこれは史上最多である。
この中で山雅と愛媛はJ3初挑戦。相模原、北九州、鹿児島は過去にJ2昇格を経験している。
ところが、富山、岐阜、鳥取、讃岐はJ3降格後未だにJ2に戻れていなく、俗にいう「沼」にハマってしまっている。そこには絶対に浸かってはならない。
未経験クラブに視点を変えると、2020年はブラウブリッツ秋田とSC相模原、2021年はいわてグルージャ盛岡といったずっとJ3を戦ってきたクラブがJ2への初昇格・初参戦を決めてきた。昨シーズンは新加入のテゲバジャーロ宮崎が旋風を巻き起こし、今年は順当に下部カテゴリーを突破してきたいわきFCが初参戦。台風の目になるのではないかと予想する。

史上最高の混戦も予想される今季のJ3。J1経験クラブというプライドを捨て、1年でのJ2復帰は是が非でも達成しなければならない至上命題である。

2.サポーターよ、行けるアウェイは埋め尽くせ!

サポーターの代表でもないのに、何を言ってんだって思われても仕方ないかもしれないが(笑)、そう思ったので書かせてもらった。

思えば昨シーズンの残留争いも、今までと同じようにサポーターの後押しはいい意味でブレなかった。シーズンオフのとあるイベントで、山雅の番記者の方の話を聞く機会があったが、その記者の方もどんなに苦しい時期でもサポーターの存在はやはり大きかったと答えていた。
J3だと注目度はJ1にいた頃や昇格争いをしていた頃より格段に落ちるかもしれない。サポーターも離れるかもしれない。その危機感は常にある。それでも、やはり地方クラブとは思えないサポーターの数でアウェイをできるだけ緑に染めて、あっと言わせたい。降格が決まったときに、J3クラブのサポーターの「あの大サポーターがうちのスタジアムに来るのか!」といった旨のツイートなどの反応を目にした。降格した悔しさはあれど、そう思われるのは嬉しくもあった。

言い方は悪いが、どうしても注目度が下がりがちかつ、経営規模も大きくないクラブの多いJ3にとっては、大サポーターのいる山雅戦はそれぞれのスタジアムに格好の観客動員数と、お金を落として活性化させる役割を担うことになるだろう。私個人としても行ったことのないスタジアムは多い。こういう時をあえてチャンスと捉えて参戦してみたい。特に静岡方面。

3.ついにやってきた「信州ダービー」は連勝必須

同じ長野県をホームに持つAC長野パルセイロとの「信州ダービー」は、JFLや天皇杯予選から数々の激闘を繰り広げてきた。私はその当時の激しさを知らないが、サポーターの方の話や動画で熱さや互いの因縁を見るたび、早くJリーグの舞台で実現しないかな、と思っていた。

そして、今年ついに実現することになった。
長野の昇格ではなく、山雅の降格によって実現するのは少々不本意ではあるが。

長野も昇格経験こそないが、立派なスタジアムと熱いサポーターを擁する実力のあるクラブだ。J2復帰に向けては避けては通れない相手である。県内では相当な盛り上がりになると聞いている。J3を超越した空気の中で試合ができることと、しっかりと連勝することを祈っている。

2022年スローガン

2022シーズンのテーマは「原点回起」。
厳しいシーズンだった昨年から、頂を目指して歩んできた松本山雅がJリーグに初参入した原点に立ち戻り、山雅ファミリーの皆さんと共に歩んできたこの10年間で培った力を結集して、再び大きく起き上がっていこうという強い意志の現れである(松本山雅FC公式より)。
私も、このクラブには反町監督以後に、その気持ちが欠けていたように思えていたので前向きなスローガンと捉えている。華麗じゃなくたっていい。泥臭く勝ち点3を取りに行くところこそ、松本山雅らしさだと思う。
口にするのは早いけど、山雅はまだいつの日かまた戻ることを目指すJ1にふさわしいクラブではないと思う。それでもJ1にふさわしいクラブとサッカーファンから言われるようになるポテンシャルは十分にあるクラブだとはすごく思っている。そのスタートラインに再び立つための重要なシーズンとなるだろう。初のJ3から這い上がるシーズン。成功を成し遂げることを期待している。


※最後まで読んでいただきありがとうございます
自己紹介編はこれで以上です!
松本山雅サポーターの感想大歓迎です!

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集