自己紹介②ジュビロ磐田 後編2017〜現在 サポ歴最高成績→入れ替え戦→2度目の降格→コロナ禍、そしてJ2優勝
前回のジュビロサポーターをはじめてから、J1に戻ってくるまでの前編に続いて、クラブの歴史と私の観戦歴を振り返る記録。
今回は2017年からの後編を書いていきます。
前編もよろしくお願いします。
2017年
超大物加入→初静岡ダービー観戦から快進撃は始まった
はじめの噂が流れたのは、確か2016年の12月だったと記憶している。
「いやいやいや、監督と縁があるとはいえ、元のクラブの象徴だし流石にないっしょ」
私はそう思った。
ところが、年が明けた1月、噂は現実のものとなる。
名波さん本人談によれば、地元静岡の焼津港でマグロを買い込みその男にプレゼントしたとのこと。
その超大物こそ、
中村俊輔である。
当時38歳。セルティック・日本代表・横浜FMで輝いてきた男の加入は衝撃的かつ、ジュビロを変えた。
3節の大宮戦で伝家の宝刀・FKから移籍後初ゴールで初勝利をもたらすと、5節に迎えた私の初観戦は、人生初の静岡ダービー・そして人生初の生の中村俊輔だった。
このダービーは、2017年のジュビロが中村俊輔を中心として動いていく方向性を明確に示すゲームとなった。3得点すべてに絡む大活躍。互いに降格を経験したこともありすれ違って4年ぶりに開催し、4万人以上の観衆を集めたダービーの紛れもない主役となった。
個人的にもヤマハ・エコパ含めてホームでの初勝利。大きなインパクトを残した。
現地で中村俊輔を見て驚かされたのは、当然、ボールを取られないといったテクニックはもちろんだが、
めっちゃよく走る。
視野えげつない。
失礼ながら、38歳という年齢からフル稼働はなかなかしんどいのでは、なんて思っていた。2017年はスカパーからDAZNに放映権が移った年でもあるが、DAZNが示す試合後のスタッツの走行距離は常に上位でフル出場も少なくなかった。年齢でサッカー選手を簡単に判断してはいけないなと思わされたのは、中村俊輔の凄さを現地で知ったからである。
そして、激セマ人間の私から見て羨ましい視野の広さ。スタンドで見ていて、近くの選手ではなく「なぜそっちに出す!?」ていうサイドチェンジのボールがことごとく届く。やっていて楽しいだろうなと何度も思った。
6~7月、怒涛の6連勝
雨中の完全アウェー・初の埼スタで劇的逆転勝利
6月。2年目のジュビロの快進撃が幕を開けた。
初戦のガンバ大阪を3-0で圧勝し、迎える相手は浦和レッズ。
そして私も、埼スタ初参戦。
私がサッカーを見始めたときの浦和といえば、豪華補強も含めて憎たらしいぐらい強かった。ましてやホームでの圧倒的なアドバンテージ。そんな雨の完全アウェーに乗り込んだ。
https://youtu.be/uYdE6yGfsDo
先制→逆転→再逆転という痛快なゲーム。途中投入で2発という松浦拓弥の仕事ぶりも印象に残る試合。完全アウェーの真っ赤に染まったスタジアムでの逆転勝ちは今も忘れられない思い出である。
この快進撃は続き、最終的に6連勝まで伸びた。6連勝目はアウェイの川崎。この年リーグ初優勝で黄金時代に突入することになる川崎相手に5発。ツボにハマったときは負ける気がしなかった。
静岡ダービー全勝&優勝阻止&リーグ最少失点
前述した通り、4年ぶりの開催となった静岡ダービー。そのダービーでの強さも際立った年となった。
4月のリーグ戦、5月のルヴァンカップグループステージを連勝して迎えた10月の第3戦目のリーグ戦。
前半に先制&数的優位に立ち、後半頭に中村俊輔がCKを直接決め、仕上げはドイツから復帰した山田大記。3-0の快勝でこのシーズンはダービー全勝の3連勝。王国の盟主を印象づけた。
この年のもう一つのトピックとしては、長年王座を争ってきた鹿島とのホームでの最終節。
最終節開始前時点では首位で勝てば優勝だった鹿島を相手に押されながらもスコアレスドロー。他会場で川崎が圧勝したこともあり、目の前での優勝を阻止し、川崎の初優勝となった。今でもこのときのことは川崎サポーターに感謝される。
そして何よりも嬉しかったこと。リーグ最少失点である。GKのカミンスキーの通称「神セーブ」と呼ばれるスーパーセーブの数々と、ゲームキャプテンで身体を張り続けた大井健太郎、対人と時に攻め上がりでも貢献した高橋祥平、カバーリングの名人・森下俊の3バックを軸に成し遂げた偉業なくしては6位という躍進は語れない。サポーターをはじめてからの最高順位は5位(2006年)だが、その時はまだ現地にあまり行ってないこともあり、この2017年の成績が、一番ベストに近い実感があると感じる。
2018年〜2019年
止まらない負傷者の連鎖・入れ替え戦→2度目の降格
こうして得た2017年の成功体験を経て迎えた2018年。いきなり出鼻をくじかれる。王者川崎にホームで前半から3失点し0-3の黒星スタート。昇格してきた次戦の名古屋戦にも敗れ連敗かつ無得点で苦しい幕開け。3節にホームでFC東京に2-0で勝利し、個人的にもヤマハスタジアムでの観戦初勝利となり、ここから乗っていくと思われた。
しかし襲われたのは、負傷者の山だった。
アダイウトン、ムサエフといった前年の躍進を支えた者や、中村俊輔も古傷で出たり出なかったりと強みが次々に欠けた。悪いなりに降格圏手前で何とか粘ってはいたが、ワールドカップの中断後は大量失点を喫する試合が増え、昨年までの強みは影を潜めた。
ワールドカップ中断後は、8月の柏戦しか勝てず。その後の名古屋戦では6失点。さらに前年3戦全勝した静岡ダービーではアウェーで5失点の屈辱を味わった。ようやく10月下旬に連勝し、勝点を積み上げるも、最終節でATにOGで逆転負けという残酷な結末で、自動降格こそ回避したものの、入れ替え戦に回ることに。入れ替え戦はJ2で6位から勢いを持って乗り込んできた東京Vを圧倒してなんとか残留を決めたものの、前年からの積み上げからの転落という現実を受け入れることになった。
そして迎えた2019年。「怪我から戻ってきた選手こそ最大の補強」という言葉も聞こえるほどの最小限の補強となったが、前年の負の連鎖を断ち切れず、ついに6月下旬。2014年秋から続いた名波さんの監督体制にピリオドが打たれることになった。確か数週間後だったと思うのだが、名波サッカー躍進の象徴だった中村俊輔も昇格争いをしていた横浜FCへ。2017年の躍進から2年というあっという間の期間で良さは崩壊していったのである。
後を受けたのはパラグアイ国籍のスキンヘッドの熱血漢、フベロさん。最初は結果がついてこなかったけど、徐々にパスサッカーが浸透し始め、勝点を取れるようになる。また、言い方は悪いが名波さんのときに干されていたベテランたちをスタメンに抜擢するとそれが割とハマったことも驚きだった。特に絶対的守護神だったカミンスキーの影に隠れても、練習を常に全力でこなして貢献するチーム一筋のベテラン・八田直樹のスタメン定着とビッグセーブの連発は驚きと希望を与えた。崖っぷちの敵地での静岡ダービーの昨シーズンのリベンジや、苦手だった札幌・名古屋といったところからも勝ち点3を掴んだものの、時すでに遅し。一節を残して2度目の降格、そして結果的にJ1史上初の最下位となった。
2020年
コロナ禍と1年での復帰失敗・それでも…きっかけをくれた栄光を知るマエストロと名将
こうして、5年ぶりに戦うことになったJ2リーグ。
開幕戦は、レンタル先の水戸できっかけを掴み、ジュビロ栄光の9番を背負うことになった小川航基の2発で難敵かつ因縁の山形を撃破し、幸先のよいスタートを切る。
ところが。。
ちょうどこの開幕戦の前ぐらいから、コロナが拡大しリーグ中断。当然、皆対策もよくわからないウイルスを相手にしたこともあり、先はなかなか見えず。6月になんとか再開にこぎつけたものの、言い方は悪いが、開幕戦の勝ちの勢いなど、あってないようなものだった。
そして再開初戦は京都に敗戦、その後も勝っては負け、もしくは引き分けと連勝などで勝点を積み上げることはできず、上位との差、昇格が遠のくばかり。9月をもって2年連続の監督交代となった。
この間、観戦にも行けず。もどかしい日々が続くこととなる。
10月から監督を引き継いだのは、強化部長をやっていた鈴木政一さん、通称「マサくん」。2002年のジュビロのJリーグ史上初の完全制覇を知る名将である。フベロ監督の想定外の解任もあり急造な感は否めなかったが、フベロ監督が築いたサッカーを壊すことなく、パスサッカーにアクションの要素を噛み合わせ、チームが好転することになる。
そして、それを好転に導いたのは、監督だけではなかった。
2017年に中村俊輔、2018年に大久保嘉人、2019年に今野泰幸などなど、元日本代表の大物を次々に迎え入れて耐性はできていたはずだったが、流石にこの男の加入など想像もできず、驚きを通り越したと言っても過言ではなかった。
遠藤保仁。
説明不要の日本代表歴代最多出場記録を持つ男である。
2009年に見に行った万博で実際にこの男の凄さをスタンドから目の当たりにした私もこの加入には度肝を抜かれた。生え抜きではないが、長年ガンバ大阪を支え、ガンバ大阪=遠藤保仁と言っても過言ではないぐらい、彼のサッカー人生とガンバの強豪への歩みは同じように進んでいっていた。将来はガンバで引退して、そのまますぐに監督やるんだろうなと信じていたので。若干恐縮なぐらいだった。
結論から言うと、この年はJ1昇格はできず。しかし、遠藤加入前に13位だったチームは、最終的に6位まで巻き返してシーズンを終えた。群馬戦で代名詞のFKから移籍後初ゴールを奪うと、パスサッカーの中心にどっしりと座り、チームを立て直した。
現地で観戦したアウェーの千葉戦で遠藤が奪った2点目は、人とボールが鮮やかに連動した流れから決めたスーパーゴールで、目指していた形が明確に見えたものだった。
2021年
まさかの連敗スタートから、掴みとったNo.1→そしてJ1へ
前年の終盤の復調を継続すればいける!と期待して迎えた2021年。各媒体でも昇格候補、優勝候補と言われた。
そして前年はコロナの影響で各カテゴリーで降格はなし。しかし、このシーズンは降格がJ1、J2は4チームずつというカオス。必ずこのシーズンに上がらなければ…翌年以降も完全に沼にハマるという強い気持ちになった。
ところが…開幕のアウェー琉球、2戦目のホーム開幕戦町田とまさかの連敗スタート。攻める時間は多けれど点が取れない、そして後方からの組み立てでの失点と、前年の悪グセを完全に引きずる格好となった。
開幕5試合を終えた時点で2勝3敗の11位。スタートダッシュの失敗であった。
6節の岡山戦。
ひょんなことと言っては失礼かもしれないが、ちょっとしたことで流れは変わる。守護神交代である。2019年後半から復活した八田直樹に代わってその座に着いたのは三浦龍輝。2017年にジュビロに加入してから、リーグ戦出場は通算2試合だった男である。それでも、ベンチ入りすることは多々あり、ベンチからゴールを決めた男に誰よりも早く飛びつき、微妙な判定には気迫を全面に出すムードメーカーでもあった。そんな苦労人は岡山戦でチーム初の完封勝利を飾ると、リーグ戦では一度もその座を明け渡すことなく守護神の座に君臨し続けたのである。
圧巻は14節の群馬戦〜20節までの7試合連続完封勝利。弱点の守備を劇的に変えたのは、苦労人の大活躍だった。
その6節から前年には一度もできなかった4連勝を達成して軌道に乗ると、14節の群馬戦から8連勝。21クラブの折り返し地点の段階で首位に立つことに成功した。次の山形戦に敗れて東京五輪中断前には2位での折り返しとなったものの、人もボールも動くサッカーは結果も両立していった。
東京五輪が終わると、再開初戦の甲府戦。
久々の現地観戦、初のかいじ参戦。
勝てた試合だったが、ATに追いつかれて手痛いドロー。
しかし、ここで勝ち点1を拾うと、一度も勝ち点を落とすことはなかった。
得点王になるエースルキアンの爆発。トップ下でキャリアハイの11ゴールを記録し、大宮戦、京都戦の決勝ゴールと勝負強さが光った山田大記。ゲームキャプテンとして遠藤保仁の隣でどっしりと落ち着きをもたらした山本康裕。ピッチ内でも、時には個人のSNSでの発信も貢献した大津祐樹、鈴木雄斗、伊藤槙人、金子翔太といった少数精鋭ながらも質の高い補強組。これらががっちり噛み合い、昇格を少しずつ手繰り寄せ、京都と激しい首位争いを繰り広げていった。
迎えた11月14日のアウェー水戸戦。
前半から山本康裕→大井健太郎という長年ジュビロの良い歴史も苦しい歴史も知る男のホットラインで先制すると、パスワークから大森晃太郎が追加点。後半にはエース・ルキアンが決定的な三点目。1点は返されたものの3-1で勝利し、J1復帰が決定。
そして2節後の群馬戦ではスコアレスドローとなったものの、他会場の結果で優勝も決定。開幕前に掲げた優勝して昇格という目標を達成した。
幸運にもいずれも北関東での達成となった昇格・優勝は現地で立ち会うことができた。J2とはいえ、応援して16年目で優勝シーンに立ち会えたのは初。何年かかるかはわからないけれど、死ぬまでにいつかはJ1の舞台で見たいと改めて感じた。
2022年→未来へ、そして一人のサポーターとしての意気込み
優勝という目標を達成し、シーズンオフに入ったが、得点王になったルキアンが福岡に移籍。さらには選手だけではなく、Jリーグ参入からずっとチームのユニフォームを中心にサポートし続けたPUMAの契約満了という寂しい話題もあった。ユニフォームコレクターとしても、清水も含めて毎年楽しみに買っていてデザインも気に入っていたPUMAの満了は衝撃だった(清水は継続)。
もちろん、どちらもチームに多大な貢献をしてくれたので恨みとかは一切なく、感謝を込めて送り出す気持ちである。
新しいユニフォームスポンサーはイギリス最古のメーカー、アドミラルに決定。J1復帰というタイミングでの新たなスポンサーは大きなメリットだと考えている。スポンサー発表の会見でも、過去の歴史へのリスペクトを踏まえたものだということが感じられた。
そして監督も体調不良がありながらも昇格&優勝へ導いた鈴木政一監督から甲府を率いていた伊藤彰監督へ交代。意外だったのは、過去の監督はヤマハ発動機やジュビロOBの日本人監督、もしくはブラジルやパラグアイといった南米系統の監督だったのだが、今回の伊藤監督は全く接点がなく、実力のみで選んだ監督であるという新しい挑戦であることも付け加えておく。
久々に戻ってきたJ1リーグの舞台。現実的にまず今年は残留し、願わくば1桁順位を期待したい。サポーターとして、J2の荒波に揉まれるとその分このクラブへの愛着もまた増していった。ここ数年で特に京都、大阪といったクラブの新スタジアムが増えた。今年は京都の昇格により、大阪2クラブ、神戸も含めて関西はすべてJ1クラブとなった。そのあたりの遠征に行きたいという希望は常に持っている。そしてこのコロナ禍で未だにいつからチャントを歌えるようになるのか、不自由なくアウェイに行けるのかまだはっきり見えては来ないが、コロナ前の日常が戻る日まで少しでもチームが強くなってさらに応援したいと思えるようになっていることを願うばかり。
→2022年の戦力分析等はまた後日、開幕前までに
※最後まで読んでいただきありがとうございます
ジュビロサポーターの方の感想良くも悪くも大歓迎です!