【2023年総括企画】2023 現地観戦ベスト5を語ろう
2023年、気が早いけれどお疲れ様でした。
今年の推しクラブの成績ですが、一番の推しのジュビロ磐田が最終節で3位から奇跡の逆転昇格、補強禁止という前例のない試練からの昇格劇はサポーターの私も驚きました。
逆に清水エスパルスは最終節で2位から4位に転落。ところどころで見せていた勝負弱さが顔を出し、プレーオフでも敗れるという、開幕前の予想はうまく行かない波乱の展開となりました。
V・ファーレン長崎はところどころの勝負弱さが響き、最終節まで僅かにプレーオフの可能性を残すも、一歩届かず7位。清水同様、大一番での勝負強さを身につけたいところです。
ブラウブリッツ秋田は昨年の主力を大量に引き抜かれながらも、開幕ダッシュに成功。夏場以降失速するも、13位と余裕をもっての残留を確定。開幕前にクラブの目標だったプレーオフ圏内には及ばなかったものの、激しい残留争いに巻き込まれることもなく、降格候補と予想する声が多かった開幕前の予想は裏切ったと言えるでしょう。
松本山雅FCはJ3リーグ2年目のシーズンでも、開幕直後は良かったものの大きく失速。エース小松蓮の得点王という明るい材料もあったものの、終わってみれば9位。来年昇格という結果を出さないと、いよいよ本格的にJ3に長々と染まりかねないでしょう。
さて、それではここで、今シーズン現地で観戦した42試合からベストゲームトップ5を振り返りたいと思います。皆さんがいた試合も入っているかもしれません。
5位
9/2 J2リーグ第33節
ブラウブリッツ秋田1‐1ジュビロ磐田(ソユースタジアム)
・互いの良さが存分に発揮された「推し対決」
力と力のぶつかり合いは充実感の高いドロー決着
開幕前から絶対に行くんだ!と決めていたこの組み合わせ。夏とは思えない涼しい気候で始まったナイターは、秋田の「粘り強さ」と磐田の「落ち着いたゲーム運び」がいかんなく発揮された締まったゲームに。
粘り強く耐えていた秋田が後半開始早々に右サイドからの水谷拓磨の絶妙なコースに蹴られたFKから、キャプテン・飯尾竜太朗が大外でスライディングで押し込むと、磐田も途中投入された古川陽介がつなぎ、藤川虎太朗のコントロールショットで追い付く、最後まで気の抜けない白熱の90分となり、この二クラブを推しててよかったと終わってから心地よい満足感に浸ることができた試合だった。
4位
4/16 J2リーグ第10節
ブラウブリッツ秋田2‐1大宮アルディージャ(ソユースタジアム)
・風が左右した90分間
スローガンを体現した逆転のソユスタ劇場
私の人生初ソユスタ観戦となった試合。小雨が混じり風がメインから見て左から右へ強く吹く真冬のような肌寒いコンディションとなった。
前半は秋田が開始からセットプレーを軸に攻めるも点が奪えず、徐々に大宮が主導権を握っていくと、36分に右サイドからの岡庭愁人のきれいなクロスに富山貴光が頭で合わせて先制点を奪う。
それでも後半は風上に立った秋田は、前半活かせなかったセットプレーで61分に水谷拓磨のCKがオウンゴールを誘って追いつく。
その後も攻めていた秋田は、84分にGK圍謙太朗のロングキックが左サイドにうまく抜け出した青木翔大にうまく渡り、フェイントで相手を引きつけて諸岡裕人へ。パスを受けた諸岡は鮮やかな移籍後初ゴールとなるミドルシュート。ゴール後に秋田の応援席に走り込んで来た諸岡とその熱狂の光景、そして試合後の「シン・秋田一体!」の吉田謙監督の試合後のインタビューは忘れられない。
3位
8/26 J2リーグ32節
大宮アルディージャ0‐4V・ファーレン長崎(NACK5スタジアム大宮)
・「鬼門突破」は盛大に。
耐えた後の理想的な先制・追加点・中押し・ダメ押し。
今季一番のお祭り騒ぎの夏の終わりの夜の一戦
長崎にとって、NACK5スタジアム大宮は過去5回、一度も勝利をあげたことのないスタジアムだった。昨シーズンも最終節で3‐3と派手な打ち合いを演じた。
迎えた6度目の挑戦。残留争いに苦しんでいた大宮に攻め込まれるも、守護神・波多野豪を中心に凌ぐ。
すると21分、左サイドからの攻撃が機能し、中村慶太のおしゃれなヒールパスから裏に走り込んだ米田隼也が抜け出して先制点を奪う。
前半はその後も大宮に攻め込まれるもゼロで耐えた長崎は、後半開始早々に米田がスローインの流れから鮮やかな追加点を決めると、そこからは完全に長崎のペース。54分にはPKを自ら貰ったフアンマ・デルガドが沈めると、途中交代の選手の頑張りもあり圧倒。ATには前がかりになった大宮をカウンターからフアンマが完結してダメ押し。あれだけ勝てなかった鬼門を最高の形で突破したゴール裏は興奮のるつぼと化した。
↓この日の長崎ゴール裏がいかに楽しい雰囲気だったかを物語る動画です
2位
11/12 J2リーグ第42節
栃木1‐2磐田(カンセキスタジアムとちぎ)
・「奇跡は見るものではなく起こすもの」
補強禁止からの奇跡の逆転昇格劇、ここに完結
ホーム最終戦で水戸ホーリーホックに5‐0で圧勝し、2位清水エスパルスとの勝ち点差は1で3位。自力のみでの昇格はできず、得失点差でも不利な状況の中、4位東京ヴェルディも含めた3クラブに自動昇格の可能性がある中で迎えた最終節。
勝利が絶対条件の磐田は硬さは見られずペースも悪くなかったが、一瞬のスキを栃木に突かれ、24分に大島康明に鮮やかなボレーシュートを叩き込まれて先制されてしまう。
それでも前半終了間際にデザインされたセットプレーの流れからドゥドゥのミドルシュートで追いついた磐田は、61分に松原后のクロスに松本昌也が合わせて逆転。その後は武者修行で大きく成長した古巣相手に奮闘した鈴木海音を軸に、栃木の攻撃を跳ね返し続けて勝利。清水が水戸に引き分けたため、逆転昇格を成し遂げた。
史上例を見ない「補強禁止」という逆境を跳ね除けて掴みとった逆転昇格。横内昭展監督に率いられた今年の昇格は2年前に優勝して昇格したときよりも何倍も嬉しかった。
1位
4/8 J2リーグ第8節
FC町田ゼルビア0‐1ブラウブリッツ秋田(町田GIONスタジアム)
・主力の引き抜きも大誤審も全てパワーに。
J2王者に初の土をつけたブラウブリッツ秋田に関わるすべての人の気持ちを乗せた魂のウノゼロ
きっかけは昨シーズンのオフに遡る。CBの池田樹雷人、ボランチの稲葉修土と2枚の主力を町田に引き抜かれた秋田。開幕前に日程が発表されたときから「彼らは今後も応援するけど、町田には絶対負けられない」といった空気が流れていた。
迎えた雨の町田GIONスタジアム。試合前のウォーミングアップに出てきた選手たちに向けられた一声目の「ブラウブリッツ!」のチームコールの声量から気持ちが見えた。
それでも逆風は続く。流れの中から放たれたFW青木翔大のロングシュートはゴールラインを割っていたが、ノーゴールの判定。現地のサポーター目線だと若干ゴール裏からは見づらく、HTにSNS等の反応で知った彼らの怒りはすぐに後半の愛するクラブへの応援に向けられた。
開幕ダッシュに成功し、強力な個を持つ町田の猛攻にひたすら堅守で耐え続けた秋田は84分、きっかけはもはや秋田のお家芸とも言えるロングスローからだった。高田諒汰が投げ、梶谷政仁が頭ですらし、最後は町田の猛攻を最終ラインで耐えていた阿部海大が、昨シーズン主力を担っていた池田の手前でボレーで合わせてついに均衡を破った。そのままウノゼロで試合を終わらせ、首位町田に初の黒星をつけた痛快極まりない勝利。
主力の引き抜き→大誤審→その後のクラブの落ち着いたお手本のような対応
まで、今後何十年も記憶に留めておきたい1戦であった。
↑「どんなときも、夢中でサッカーしてたと思います」
今シーズンの吉田語録で一番好きです。
ベストゲーム編は以上です。
次回、ベストゴール編へ続きます…