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Jリーグマッチレビュー⑰J2第16節 千葉vs秋田【㊗️Jリーグの日 堅守速攻対決!球際の激しい攻防戦を制せ】

さて、今回はフクダ電子アリーナで行われるJ2第16節、ジェフユナイテッド千葉vsブラウブリッツ秋田のマッチレビュー書いていきます。

試合当日の5月15日は「Jリーグの日」
1993年のこの日にJリーグが開幕したことから記念日に制定された日です。歳がバレますけど(笑)、私もJリーグと同じ年に生まれたので親近感はすごくあります。そしてそんな日に観戦するのはおそらくはじめてかな?と思いますが毎週当たり前のように観戦できる日々に感謝したいですね。
そんな日に、「オリジナル10」の一角の千葉との対戦というのも素敵な縁という感じがします。

千葉の犬のマスコット、ジェフィ&ユニティ。彼らは秋田犬なので「隠れ秋田ダービー」でもあるのだ
相変わらず見やすいフクアリが大好き。アウェーでは未だ負けたことありません。引き分けもありません。すべて勝っています

今日の観戦ユニフォーム

2021年1stユニフォーム(㊿加賀健一)

今回の観戦ユニフォームは、群馬戦に引き続き2021年の1stユニフォーム(アスレタ製)。
地元秋田の選手かつ、元ジュビロの選手でもある加賀健一のもの。歴史的なJ2初年度の記念すべきユニフォームでもあります。
コンセプトは疾風雷神の如く攻め立てる姿勢を稲妻モチーフ(ベースの柄)で表し、恐れることなく、目標に向かって勇敢に突き進んでいく姿勢を、トリコロールカラーのRising line(上昇線)で表したもの。
群馬戦では勝利。千葉戦も勝利してこのユニが「勝ちユニ」になれるか?勝ってくればもっともっと愛着が湧くもの。それがユニフォームの良さだと思います。

本日のメンバー・見どころ

ジェフユナイテッド千葉

予想フォーメーションは3-4-2-1。
前節との変更点は最終ラインのCB、チャン・ミンギュが欠場となり、新井一耀が入った。
リザーブにはDFの西久保駿介、FWの櫻川ソロモンの二人が前節不在から入った。岡山戦決勝ゴールの高橋壱晟は今節もベンチスタート。

前節のホーム岡山戦。先日亡くなられた元日本代表監督で、千葉に初タイトルをもたらしたオシムさんのセレモニーも試合前に行われた1戦は、スコアレスのまま進んだが、後半45+4分に途中出場の高橋壱晟がオシム監督時代を彷彿とさせる人とボールが動くパスワークから劇的な決勝ゴール。ホームゲームでは新潟戦の鈴木大輔、横浜FC戦の新井一耀に次ぐ3度目の後半ATゴール、通称「フクアリ劇場」の炸裂となった。

5月はここまで1勝1敗。今シーズンも守備は安定感があるが、今シーズンここまで連勝はなしと、波には乗り切れていない印象。ここで初の連勝を決めて浮上のきっかけを掴みたい。秋田とは互いに堅守を武器にする似たチーム同士の対決となるため、先制して持ち味のロースコアゲームに持ち込むのも手だ。

注目選手は見木友哉。昨シーズンは14得点をあげ、一躍エースの座に上り詰めたが、今季は未だ2ゴール。得点力不足に苦しむチームを救うためにも復調が求められる。
彼の持ち味は攻撃に目が行きがちだが、実はインターセプト能力も高く守備でも貢献できる。前線からの積極的なプレスにも期待だ。

ブラウブリッツ秋田

予想フォーメーションは4-4-2。
前節とスタメンの顔ぶれは変わらず。首位を倒した勢いを持ち込んでいく。
リザーブには下坂晃城、茂平が外れ、才藤龍治と三上陽輔が新たに入った。

前節は首位・横浜FCをホームに迎えての対戦だったが、相手の攻勢を耐え続け、後半40分に途中投入の小暮大器が決勝ゴール。ワンチャンスを活かす秋田らしい戦いぶりで昨シーズンに続く「上位キラー」の面目躍如となり、序盤から首位を快走していた横浜FCを首位から引きずり下ろした

GWのホーム連戦は琉球戦も含めて2連勝でアウェーフクアリに乗り込むことになる。3連勝となればJ2ではクラブ史上初のこととなるが、新たな歴史を作れるか。昨シーズンのフクアリでは2-0で勝利している。

注目選手は稲葉修土。ボランチで豊富な運動量とインターセプトで貢献する秋田のサッカーに欠かせない男は、球際の激しさが求められる千葉相手に今日も良さを発揮できるか。縦に速いカウンターのスイッチ役としても期待がかかる。

前半

主導権を握ったのは千葉。秋田はブロックをしっかりと固め、ロングボールを効果的に使っていく。

一番最初の決定機は千葉。前半5分に左サイドから高木俊幸のCKに米倉恒貴が高い打点でのヘッドを叩きつけるも、秋田GK田中雄大が見事な反応で触り、バーに跳ね返り得点とはならず。
千葉は右サイドハーフの米倉恒貴、左サイドハーフの末吉塁がスピードを武器とした効果的な仕掛けと裏抜けでチャンスを演出するも、高さを武器に軸となるチアゴ・デ・レオンソやアタッカー陣のシュートが枠になかなか行かない。

そんな中、前半25分にアクシデント。ゴールキックからの競り合いで千葉の熊谷アンドリューと秋田の中村亮太が接触し、ピッチに倒れ込み両選手とも交代。千葉は高橋壱晟が、秋田は三上陽輔がそれぞれ投入された。予想通り、守備をベースにし球際に激しく行くチーム同士の争いとなるのを象徴する光景であった。

37分には交代で入った高橋が、クロスからの味方の落としをペナルティエリア中央からボレーを放つも枠の上。
秋田は終了間際に左からのクロスに武颯が合わせるも枠から大きく上へ。秋田が放った前半のシュートはこれだけ。
支配するもゴールを脅かせない千葉、ひたすら壁を作って守る秋田の形で前半はスコアレスで折り返す。

後半

後半頭から千葉は、突破とクロスが光っていた米倉恒貴が負傷したため、福満隆貴に交代。

すると早速福満が見せ場を作る。右サイドから見木友哉とのワンツーでうまく抜け出すと、ボレーでクロスとシュートの中間のようなボールをGKとディフェンスラインの間に通すも中で誰も合わず。千葉の右サイドの攻撃は人が変わっても効果的な形が生まれていく。

攻め手に欠いていた秋田も後半14分に2枚替えを敢行。高瀬優孝に替えて横浜FC戦で決勝ゴールを決めた小暮大器を、2トップの一角の齋藤恵太を下げ、基点となれる吉田伊吹を投入し、先制点を奪いに行く姿勢を見せる。
するとシュートこそなかなか持ち込めないものの、稲葉修土を中心とした中盤でのボールカットからの裏へ抜けたボールで徐々にゴールへ近づく場面も増え始めた。

そして、試合が動いたのは、千葉が前半に負傷しながらも最終ラインの左で高いキックの質を見せていた佐々木翔悟に替えて、高卒ルーキーの西久保駿介を投入した2分後だった。

敵陣の浅い位置でFKを獲得した秋田は、ロングボールを前線へ。こぼれ球を左サイドからクロスすると一度は跳ね返され、千葉のカウンターになりかけたものの、複数人でボールを奪い返す。
そのこぼれ球を拾ったのは攻め上がっていたCBの池田樹雷人。ペナルティエリア左から低いクロスを供給すると、武颯がうまく潰れてスルーしたボールに倒れ込みながら合わせたのは吉田伊吹。吉田謙監督の采配がズバリ的中した秋田が、後半最初の枠内シュートで先制点を奪う。吉田伊吹は今季二点目、ホーム新潟戦とどちらも途中出場からのゴールとなった。

先制点を奪われ何としても追いつきたい千葉はチアゴ・デ・レオンソを下げ、個で打開できるサウダーニャをピッチへ送り攻撃の色を強める。

そして後半の40分。千葉が自陣で浮き球を拾おうとした高橋壱晟の頭に秋田の武の足が入ってしまう。🟥でもおかしくないプレーだったが判定は🟨。場内も騒然とする中、千葉が直接狙えるいい位置でFKを獲得する。高橋はこのプレーで負傷交代。千葉はこの試合2人目の負傷交代となり、風間宏矢が投入された。
4分間の中断を挟んで高木俊幸が蹴ったFKは枠を捉え、悪いコースではなかったが田中雄大がパンチングでセーブ。

その後も西久保のロングスローなどのセットプレーで攻め続けた千葉だったが、最後までゴールを割れず。秋田は最後まで粘り強い守備で耐え抜き、先制点の勝率100%を継続し、2試合連続のクリーンシート。J2リーグクラブ史上初の3連勝を達成した。

ざっくり感想

ジェフユナイテッド千葉

多数の負傷交代でのアクシデントは仕方がないが、ボールを握れども相変わらずの決定力不足を露呈した。悔やまれる敗戦でまたしても連勝はならず。試合後のユン・ジョンファン監督が語ったように「失うものの多い試合」となった。

前半の項目にも書かせてもらったが、両サイドハーフの積極的な仕掛けや、ボールをしっかり回収できていたところがいくら良くても、ペナルティエリア内でのフィニッシュ精度や人数不足が目についた。1トップのチアゴ・デ・レオンソは競り合いでは基点になれるが惜しいシュートはほぼ打てず。途中加入で救世主となるはずの選手が未だノーゴールは寂しい。

もちろん彼だけの責任ではなく、ここ4試合で1得点しか奪えていないところでチーム全体の攻撃パターンを変えていかなければならないことは明確だ。高卒ルーキーの西久保駿介が投入され、最後に正確なコントロールかつ飛距離のあるロングスローを使ってきたところなどは驚かされた。このような戦術をもっと武器に仕上げていくのもありかもしれない。
18位と昨シーズン終盤の勢いが続いていない現状。上位より降格圏がより見えてきた中でなりふり構わずに得点と勝ち点を取りに行かなければならない。

ブラウブリッツ秋田

放ったシュートは2本。それでも少ないチャンスを活かし勝ち点3を掴みとる秋田らしい戦いを見せてJ2リーグ初の3連勝となった。しかも先制した試合は6戦6勝の手堅さである。

5分の田中雄大のビッグセーブで「守備に勢いがついた」形に。CBの池田樹雷人と千田海人のコンビは空中戦で自由を与えず。池田は決勝点をアシストするしたたかさも光った。
さらには相変わらずの守備範囲の広さを示したボランチコンビの輪笠祐士と稲葉修土の働きは大きい。特に稲葉は後半になると下がりだけではなく高い位置でのプレスでも貢献。千葉の屈強なDF陣に立ち向かったFW陣の負担を減らす役割も果たした。

もちろん決勝点を挙げた吉田伊吹を投入した吉田謙監督の采配も見事。序盤から押し込まれていたタイミングでの基点となるべき彼の投入が攻撃のスイッチとなり、いい時間帯で少ないチャンスを見事に仕留めた采配は絶妙かつ、役割をしっかりと理解してそれを全うした吉田伊吹の働きも賞賛すべきだ。

9位でPO圏も見えてきた中で、次回の対戦相手はホームでボールを保持することに長けた東京Vとの対戦。また本日のような戦い方になることが濃厚だが、連勝記録の更新をかけて堂々と戦っていきたい。

MOM

池田樹雷人(秋田DF)

ボランチの稲葉修土と迷ったが、序盤から空中戦とカバーリングで相手の攻撃に自由を与えず、決勝点も低いクロスでアシストしたCBの池田樹雷人をMOMに。
試合を追うごとにパフォーマンスの向上も素晴らしく、相棒の千田海人とのコンビネーションや球際の強さはまさに「壁」となる動きだった。ターンオーバーでCBも入れ替わっている秋田だが、徳島戦から継続して使われ続けているところにも信頼が伺える。

「秋田のサッカーは荒い」と誤解しているサッカーファンへ
群馬戦、千葉戦と2戦現地観戦で改めて伝えたいその魅力

今回で2度目の現地観戦となった秋田の試合。結果としては2戦ともクリーンシートでの勝利。支配率やシュート数では劣りながら、少ないチャンスを活かすのが秋田のスタイルという風に書くのが1番わかりやすいかもしれないが、今回はあえて「秋田の試合を深く見たことがない方」にもわかるように魅力を伝えてみたい。なるべく本音で。

というのも、後半の項目で書いた高橋壱晟と武颯の接触プレーのシーンが物議を醸していることもあり、どうしてもあのプレーが大きくピックアップされて「秋田のサッカーは荒い」と植え付けられてしまっている。ただ、そのプレーだけで危険なサッカーと判断されてしまうのは、現地にいた人間としては納得できない。
【もちろん確かにあのプレーは危険なプレーであり、前半にも1人負傷交代しているシチュエーションで千葉のサポーターなどが怒ってしまう気持ちは痛いほどわかるし、武颯本人は反省してほしいプレーではあることは前提の上で(誹謗中傷は論外だが)】

はっきり言えば、秋田のサッカーは「面白い」かと言うと、お世辞にもそうではないと思う。川崎だったり、横浜FMだったりのパスワークなどが美しい攻撃的なサッカー(カテゴリーの違う相手と比べてしまうのもどうかと思うが)が好きな方は、ここから先の話をしても面白くないかもしれないということは、先に伝えておく。

けれど、彼らが90分間魂込めて激しい球際の肉弾戦であったり、走り切る姿勢の一生懸命さは、Jリーグの中でも屈指のものだと思う。すなわち、「面白いサッカー」ではないけど、「見に行く価値のあるサッカー」であることは間違いない。

サッカー用語で「カテナチオ」という言葉がある。それはかつてイタリア代表の強固な守備を特徴とする戦略のことであり、守備の固いチームはあれど、今の時代にそのサッカーはだいぶ時代遅れだと揶揄されるようになってしまった。

しかし秋田のサッカーは格下のチームがやりがちな、ただ自陣にひきこもって「守り勝つ」サッカーと同じではないように感じる。
ロングボールを武器にしているところはそのような守るチームに通じる部分はあるかもしれない。しかし、そんなことを忘れさせるようにすべての選手たちがひたむきに走っていることの方が、遥かに戦術より際立っている。このサッカーを90分間続けることは並大抵の集中力がないと成立しないからこそ、感動を覚える。サポーターとして見ているぶんには疲れることは否定しないが(笑)、まだ2試合見に行っただけだがまた見に行きたいな、という気持ちにはすごくなっている。

強い相手に身体をぶつけていくぶん、ファウルも増えて荒いと言われてしまうのかもしれない。けど、現地で見てTVで見えない部分もしっかりと感じていただきたい秋田のサッカー。少しでも彼らのひたむき×全力なサッカーが、多くのサッカーファンに誤解されず伝わることを切に願っている。

この試合も誰一人としてサボらずひたむきに立ち向かった秋田イレブン
勝利の「秋田オレオレ」の図。群馬戦よりたくさんの熱いサポーターの数に驚いた。動画をTwitterにあげたら「ゲーフラが邪魔してすいません」と謝られたがむしろ熱気を感じられるから全然OKだと思います!
おそらく、私が見てきた横断幕で一番平和な弾幕だと思う(笑)※ブラウゴンのぬいぐるみは私物

試合結果

千葉0-1秋田

得点
【秋田】吉田伊吹(後半28分)
🟨
【千葉】鈴木大輔(後半30分)、福満隆貴(試合終了後)
【秋田】武颯(後半40分)

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