Jリーグマッチレビュー④J1第3節 京都vs磐田 激闘再び、いざ初体験新スタサンガスタジアム弾丸日帰り体験記【そうだ、京都、行こう】
さあ、今回はサンガスタジアム by KYOCERAで行われたJ1リーグ第3節、京都サンガF.C.vsジュビロ磐田のマッチレビューを書いていきます。昨シーズンのJ2チャンピオンと2位の対決。昨シーズンは磐田のシーズンダブルとなりましたが、2試合とも互いの力を出し切った激闘が記憶に新しいこのカード。磐田ホームでの試合後には京都の選手・スタッフがホーム側にも深々と礼したシーンも感動的で、その後サポーター同士友情も生まれたり。結局どちらも昇格できてともにJ1で旋風を巻き起こしたいところ。
そしてついに待望の新スタ・サンガスタジアムへ!あらゆる界隈から評価の高いスタジアムに日帰りという強行日程での突撃を敢行しました。他のサポーターの方の参考になれば幸いです。
先に言っておきますが、今回は京都観光情報は一切ございませんので、スタジアムの興奮だけお届けします。あっ、鉄道博物館だけは行きました。
今日の私の観戦ユニフォーム
2021年 リミテッドユニフォーム(PUMA、㉕森岡陸)
本日の観戦ユニフォームは、2021年の夏試合限定のリミテッドユニフォーム。磐田市の昆虫となっており、前に進むことしかできず、武士の時代から縁起の良い“勝虫”ともてはやされた「ベッコウトンボ」をモチーフにしたユニフォーム。よく見るとうっすら飛んでます。
昨シーズンこのユニフォームを着た試合はジュビロも無敗。私も観戦無敗。非常に縁起のいいお気に入りのユニフォームです。当然勝ちたいからこれを選んだのもそうなんですが、森岡陸のスタメン起用が濃厚とのことだったので、期待も込めて。
スターティングメンバーと試合の見どころ
京都サンガF.C.
予想フォーメーションは4-3-3。
前節からのスタメン変更は2人。左SBを麻田将吾から荻原拓也へ。ボランチには川崎颯太に替えて金子大毅が入った。
リザーブには長井一真、田中和樹が外れ、ルヴァンカップで結果を残した山田楓喜が入り、リーグ戦プロ初出場を伺う。更には昨シーズン、ウタカの相棒として復活を遂げた宮吉拓実が入った。そして古巣相手に荒木大吾がベンチ入り。絶妙な緩急のドリブルが疲れた時間帯に襲いかかるか。
ここまで2節を終えた段階では、いきなり12年ぶりのJ1初戦で優勝候補浦和を下す幸先のよいスタート。2節のC大阪戦でも幸先よく先制点を奪うも追いつかれてドロー。それでも新加入のGK上福元直人がファインセーブを連発。決してマイナスな勝ち点1ではないはずだ。ルヴァンカップでも1勝1分けと公式戦未だ負けなし。予想を覆す奮闘ぶりを見せている。
注目選手はやはりピーター・ウタカになるだろう。通算9試合で7ゴールと磐田キラーぶりも光る。2017年のFC東京所属時以来のJ1でも開幕戦で決勝ゴールを決めて健在ぶりを示した。
ジュビロ磐田
予想フォーメーションは3-6-1。
前節からのスタメン変更は🟥で出場停止の山本義道に替え森岡陸と、金子翔太に替えて大津祐樹が今季初先発。途中投入で存在感を見せ続けており期待がかかる。
リザーブにはリーグ戦では初のベンチ入りになる袴田裕太郎、開幕戦は入ったが前節は外れた上原力也、そしてついに山田大記が初ベンチ入り。昨シーズンは京都戦2戦2発と大きく貢献した。
🟥で出場停止のファビアン・ゴンザレスと、黒川淳史がベンチ外。
開幕戦は福岡相手にATに追いつきドローも、静岡ダービー・清水戦では2人の🟥を出し一旦は追いつくも悔しい敗戦。ルヴァンカップは初戦のFC東京戦は中止となったが、湘南戦は黒星。それでも藤原健介・古川陽介の新人二人が同時投入され、インパクトを残したことはポジティブに捉えられる。昇格争いのライバル相手にまずは勝ち点3を掴みたい。
注目選手は森岡陸。昨シーズンは新人ながら途中でレギュラーを掴むも負傷離脱。満を持しての今季初先発で抜群の身体能力を誇る男がウタカ封じへ全力を注ぐ。
前半
構図に関しては、昨シーズンの激闘をベースに比較していきたい。
昨シーズンのボールを回す展開に、伊藤彰新監督が掲げる「ポジショナルプレー」を駆使することにより人が動く展開に厚みがかかった磐田。遠藤保仁・山本康裕のダブルボランチを心臓部として、1トップ2シャドー、両サイドハーフに展開されチャンスが生み出される。
一方、曹貴裁監督の「即時奪回と素早い攻守の切り替え」を武器に激しくプレッシャーをかけていくことに「高めのライン設定」が加わった京都。このような展開で進んでいった。京都は特に右サイドが優秀で、SBの白井康介と、WGの武富孝介の連携が素晴らしく、得点源のピーター・ウタカや新加入の豊川雄太を含めた関係性でゴールを襲う。
ペースは磐田の方が若干ボールを握る時間が長い展開となったが、上福元直人のエリア外への果敢な飛び出しやファインセーブでなんとか凌ぐ。京都も34分、左SBの荻原がエリア外中央からミドルを放つも、磐田GK三浦龍輝がファインセーブ。
ゲームの均衡が破れたのはそのファインセーブから1分後。今季初先発の大津祐樹が左サイドのパス交換で抜け出し、エリア外から右足一閃!強烈なミドルが右高めの角に突き刺さるスーペルゴラッソが炸裂して磐田が先制する。
そしてその4分後にこの試合のターニングポイントとなるシーンが訪れる。
オフサイドラインギリギリで抜け出した杉本健勇が上福元と一対一の局面を迎える。エリア外へ飛び出した上福元が杉本健勇を倒して、🟨が提示されるも、オンフィールドレビューのVARが適用され、「著しい得点機会の阻止(いわゆるDOGSO)」で判定が🟨から🟥へ。京都は最悪の時間帯で10人での戦いを強いられ、豊川雄太に代わってGKには若原智哉が入った。互いに昨シーズンまでJ2を戦い、今季からJ1で初のVAR。このような形でVARの介入が適用されるのは少々皮肉だったか。
前半は磐田の1点リードで折り返す。
後半
一人少なくなった京都に対し、磐田は容赦なく一気にギアを上げて、再三ゴールへ迫る。京都は後半10分に松田天馬、金子大毅に替えて川崎颯太、そして古巣相手に荒木大吾を投入し少ない人数でもスタイルを変えることなく挑んだ。
そして後半17分、磐田は遠藤の後方からのパスを受けた大津がワンタッチで相手DFをはがして突破、グラウンダーのクロスに鈴木雄斗がスライディングシュートで合わせて待望の追加点を奪う。
京都の意地はそれから5分後。相手のパスを奪い前線へ展開されると、封じ込まれていたピーター・ウタカが相手DFをものともせず、足元に収めてから左足で無理やりゴールをこじ開ける強さを見せつけ、10人ながら1点差に迫り面白くする。
しかしそれから僅か1分後。右サイドを連携で磐田が崩すと、杉本健勇が右足で合わせる。DFがブロックするとこぼれ球が鈴木雄斗の下へ。冷静にコースを突いて狙いすました今日2点目のシュートがネットを揺らし再び2点差。互いに大きな1点がのしかかった。鈴木雄斗はこれで得点ランキングトップタイに。
磐田は復帰した山田大記と、ジャーメイン良の途中出場コンビが、人数の少なく足が止まってきた京都の裏を山田のパスセンスとジャーメインの裏への抜け出しで再三突いていくと、45分にその形からジャーメインの抜け出しから冷静な切り返し後左足からの巻いたシュートが決まってダメ押し。開幕戦以来の2点目が決まって勝負あり。磐田が1-4で勝利し、3年ぶりのJ1勝利。そしてこのカード3連勝となった。
ざっくり感想
京都サンガF.C.
結果としてGK上福元の退場が流れを壊す結果となったが、私自身としてはあの飛び出しの判断自体は間違っていないし、責める気はない。それでも、彼自身のファインセーブが光っていた中ではもったいないプレーになってしまった。
一人少なくなってからもスタイルは変えずに全員の切り替えの意識は高く戦ったぶん、4失点という結果にはなってしまったものの、そのリスクと常に隣り合わせにあるということが今後の反省に繋がったであろう。ただ、ウタカのゴールで1点を返したあとの僅か1分後の失点は人数が少ないことを差し引いても止めなければいけなかった。そこが非常にもったいなかった。
選手で光っていたのは前半部分で触れた右サイドと、やはりピーター・ウタカだろう。前半からマークに苦しみながらも足元のうまさや力強さで何度も打開し、ゴールシーンも抑え込まれてはいるがこじ開ける力はさすがの一言。改めて脅威のFWっぷりを見せつけた。
ジュビロ磐田
狙いが完璧にハマった快勝で3年ぶりのJ1勝利を掴んだ。光っていたのは、前節の静岡ダービーでの低調なパフォーマンスに終わった選手の悔しさと、サブ組だった選手の奮起にある。
前項目に一番当てはまるのはボランチの山本康裕。ダービーではパスミスで失点に絡んだが、今回の試合は中盤でのボールハントが効果的に作用。昨シーズンの良いときの状態に戻してきた。さらにはゴールこそなかったが🟥の誘発や基点と距離感に改善が見られた杉本健勇の動きも見逃せない。あとはゴールだけだが、近いうちにそれも見られるだろう。
次項目に当てはまるのはなんと言っても大津祐樹。サブ組としてもここ2試合の動きは際だっていたが、先発でもその力を示すゴラッソと2点目のアシストで2点に絡んだ。序盤はなかなか噛み合っていない部分もあったが、さすがの修正力を見せつけた。
さらには山本義道の出場停止で巡ってきたチャンスを生かした森岡陸。さすがの身体能力で相手のチャンスの芽を詰んだ。クリアミスで危ない場面を作ったこともあったが、全体的に見て及第点以上の出来ではあったと言える。
このように2点を奪った鈴木雄斗とジャーメイン良のときのベンチの喜びの輪の一体感のように「チーム全員で掴んだ勝利」と呼ぶにもふさわしい内容だった。
MOM
大津祐樹(磐田・FW)
磐田のパフォーマンスは全体的に素晴らしく、MOMの選手は非常に悩んだが、やはり流れを引き寄せたゴラッソ&アシストの突破も光った大津祐樹を選んだ。
それ以外の内容は感想の項目の繰り返しになってしまうのでここで改めては触れないが、試合後に本人も語っていた通り、日頃のシュート練習の成果も出た結果のゴラッソであり、誰よりもチームのことを考えるサブ組でも腐らなかった男の必然の結果と言えるだろう。
マジで欠点が見当たらなかったサンガスタジアムの感想
サンガスタジアム。
私が理想とする見やすさ、コンパクトさ、駅の近さ、音の反響、スタグルのうまさ…ついでに散水の風景まで美しいという。スタンドの下にはフードコートやボルダリングができるジムのような施設もあり、近未来感もすごい。すべて備わっていた欧州風の本当に100点満点のスタジアムでした。私の中では清水のIAIスタジアム日本平がトップのスタジアムだったんですけど、一気に塗り替えられた。こんなスタジアムを待っていた。
上からな言い方っぽくなって恐縮だが、京都サポーターは本当にこのスタジアムを大切にしてほしいし、めちゃくちゃ羨ましい。私の贔屓クラブのヤマハスタジアム、IAIスタジアム日本平、サンプロアルウィン、トランスコスモススタジアム長崎もみんな素晴らしいスタジアムだけどもこれには敵わんなと思った。絶対にまた行きたい!!
そして暖かく迎え入れてくれた京都のサポーターの皆さんが本当にありがたかった。ジュビロとの友情はまだまだ続きそうですね。余談ですが散水の風景をTwitterに上げたら過去一バズりました(笑)ありがとうございました。お互いにJ1残留かつ、躍進したい。
試合結果
京都1-4磐田
【得点】
(京都)ピーター・ウタカ(後半22分)
(磐田)大津祐樹(前半35分)、鈴木雄斗(後半17分、23分)、ジャーメイン良(後半45分)
【🟨】
(京都)ピーター・ウタカ(後半11分)
【🟥】
(京都)上福元直人(前半45分)