ヒスイ海岸で見つけたもの、大公開! (翡翠を探す旅)
まず最初に言っておきたい。
この記事は、
いい年したおっさんが
少年にもどる話である。
いきなりだけど、
みなさん、「翡翠(ヒスイ)」に
どんなイメージを持ってるだろうか。
私の場合、もともと
「地味な緑っぽい石」だった。
でも今では「最も魅力的な石」になった。
翡翠は宝石の一つで、
2016年に日本鉱物科学会より
「日本の国石」として選ばれた石だ。
写真ではわからないが、
透明感のあるツルツルの表面には、
宝石らしく結晶がキラキラと輝いている。
白と緑の混ざったものが多いが、
中には紫や青の色が混ざったレアなものもある。
この宝石(ヒスイ)を、
素人でも拾えちゃうと聞いたら、
ワクワクしないだろうか。
翡翠(ヒスイ)が拾えるのは、
「ヒスイ海岸」。
“ヒスイ海岸”はいくつかあり、
新潟県糸魚川市〜富山県宮崎境海岸の
エリアに分布している。
翡翠だけじゃなく、
いろいろな珍しい石が落ちている。
そこで拾った石は、持ち帰って良い。
ここで拾える翡翠は、姫川と青海川の
上流からやってきたものだ。
ちなみに糸魚川市は横澤夏子の故郷。
(えっそうなの!?)
ちなみに糸魚川という名の川はない。
(衝撃の事実!)
失礼。いきなり話がそれてしまった。
海岸に流れ着く翡翠。
運がよければ素人でも拾えるのだけど、
実はかなり難しい。
翡翠に似た石も多数落ちていて
素人には判別しづらく、
そもそも数が圧倒的に少ないし、
地元に住む翡翠ハンティングのベテラン勢が
先に拾ってしまっていたりする。
自分のようなド素人が
見つけるのは至難の技だということだ。
何年も探しているハンター(ベテラン)ですら
一つも見つからない日がある。
とはいえ、初めて訪れた小学生がものの1時間で
見つけてしまうこともあるらしい。
「ぐへへっ、一攫千金だぁ」と、
にやけてるヤツの元には現れない。たぶん。
とはいえ、
「めったに見つからない」っていうのが、
トレジャーハンターの心をくすぐるんだ。
それに、海が荒れた後は、
波の影響で海岸の石が一気に入れ替わり、
海中にあった翡翠も浜に打ち上げられるので、
チャンスはある。
こういうのって、
偶然の出会いなのだと思う。
四つ葉のクローバーもそう。
血眼で探しても見つからないのに、
意識してない日常でばったり出会うことがある。
翡翠は英訳すると、ジェダイト(Jadeite)。
ジェイド(Jade)と呼ばれることもあるようだ。
カタカナにしたら
イメージが変わるよね。
ジェダイトって名前かっこよくない?
*
2022年8月初旬。快晴。
私は、家族とともに現地へ向かった。
宝石が海岸に落ちているなんて。
そんなロマンあふれる場所が、
この世界にまだあったなんて。
そんなことを思いながら、
無意識に鼻歌を歌う私。
高速道路を運転しながら
ワクワクウキウキルンルンが止まらない。
傍から見れば、
アホなおっさんである。
東京午前7時に出て、
安曇野〜大町市をのんびりドライブして
新潟県糸魚川市に到着したのは午後4時。
急ぎ足で、閉館直前の
フォッサマグナミュージアムへ。
ここは、石の博物館。
地球や日本列島の誕生が
わかりやすく展示されている。
翡翠も多く展示されている。
ブラタモリのロケで
地質学好きのタモリさんが
訪れたことで少し知名度が上がった。
ちなみに、曜日限定(要整理券)で
拾った石の鑑定サービスもやっている。
今回ここを訪れたのは、
ハンティングの前に
本物に触れておきたいと思ったから。
館内売店では、石ころハンターの必需品
「石ころ探索キット ひろっこ」もゲット。
初心者向けのミニ冊子やルーペなど
石拾いの便利グッズが色々入っている。
この日は、もう時間も遅かったので、
翡翠が拾える海岸の一つ、ラベンダービーチを
1時間ほどハンティング散歩することに。
ビーチの入口で、
天女様?が迎えてくれた。
名は奴奈川姫(ぬなかわひめ)。
日本神話に登場する女神だという。
翡翠の海はこっちですよ〜と
案内してくれているように見えないだろうか。
この日は翡翠を拾えなかった。
ほんの1時間で見つかるほど甘くないのだ。
ただ、翡翠に関係なく、
視界の開けた気持ちの良い場所だった。
*
糸魚川市で一泊した翌日、
朝早くから道の駅 親不知ピアパークへ向かう。
ここにも、有名なヒスイ海岸の一つ
「親不知海岸」がある。
NHKドキュメント72時間で
撮影が行われた場所だ。
現地に到着すると、
でっかいウミガメが歓迎してくれた。
前日は天女様。今日はウミガメ。
このあたりの地域は、
なんだか、浦島太郎のような世界観である。
浜に降りていくと、
そこは砂浜ではなく砂利浜。
翡翠探しをしている人もちらほらいる。
見てくれ。
この透明度。
この日は天気がよく、
波も穏やかだったこともあって、
海底がスケスケ。
さすが日本一石の種類が多い土地。
色・形・大きさバラバラの石が
海の中でキラキラ輝いている。
この中に翡翠が潜んでいるかもしれない。
家族で水着に着替えて
翡翠ハンティングへと向かう。
あらかじめ、翡翠ハンターの
Youtubeチャンネルで予習し、
石ころ探索キットもゲットしたのだ。
舞台は整った。
あとは、
キミに出会うだけだ。
夢中になって探しているうちに、
時間は正午をまわろうとしていた。
しかし。
それっぽい似たような石はあるが、
翡翠は見つからない。
波打ち際を歩いても歩いても
“その他大勢”の石しかない。
こんなはずじゃ・・・。
いや、まだ午後があるじゃないか。
場所を変えることにした。
向かった先は、富山県の朝日ヒスイ海岸。
ビーチの前には、美術館みたいな外観の
ヒスイテラスが建っていて観光客を迎えている。
ヒスイテラスの駐車場に車を置いて、
ふたたび翡翠の海へ。
作戦を変更することにした。
“っぽい石”は全部拾う。
そもそもズブの素人が
石の判別などできるわけがないのだ。
白っぽい。
重量感がある。
表面がツルツル。
光に照らすと結晶がキラキラ。
角ばっている。
これらの条件に少しでも
当てはまる石があったら
とりあえず拾うことにした。
*
歩きにくい砂利の上を
サンダルで延々と歩き続ける。
拾っては捨てる、拾っては捨てるの繰り返し。
その日、暗くなるまでずっと探した。
日焼けで赤くなった肌がヒリヒリしていた。
自分は、最終的に
20個くらいの石を拾った。
結局、タイムアップまで、
家族全員、確信を持てる石は拾えなかった。
もう明日は東京に帰らないとあかん。
翡翠は、約5億年もの時間をかけ
山、川、海を経て、海岸に辿りつく。
翡翠との出会いはものすごいことなのだ。
「その日はまだ今日じゃなかったんだ」
そう自分に言い聞かせて
ヒスイ海岸を後にした。
翡翠ハンティングの帰り道。
新潟の黄昏が、
あまりにも美しかったので、
車を停めて撮影した。
また、くるよ。
*
今回、それらしい石は
いくつか拾った。
ヒスイの可能性もまだ捨てきれない。
というわけで、
今回拾った石をいくつか紹介する。
初めての翡翠ハンティング。
少年に戻れたような、実に良い時間だった。
つまり、楽しかった。
息子は、夏休みの絵日記に
翡翠ハンティングのことを書いていた。
いい思い出になったかな。
見つけられそうで見つけられない宝石。
でも、振り返れば、
その時間は宝石のように輝いている。
翡翠探しは、人生そのもののように思えた。
私がヒスイ海岸で見つけたもの。
それは、翡翠ではなく
翡翠ハンティングという
一生モノの趣味である。
(ニッチすぎて、これを趣味にしている人は
私のまわりには一人もいない)
家に帰ってからも
熱はおさまらなかった。
暇があれば、
拾ってきた石を
ルーペで観察している。
その度に、
「これは翡翠かもしれない。いや絶対翡翠だ」と、
嫁や子供に言っている。
傍から見れば、
アホなおっさんである。
今回拾った石は、次回現地に行った時に
フォッサマグナミュージアムで
鑑定してもらう予定だ。
今年の秋頃に
2回目のハンティングに行くと決めている。
またnoteで記事にする予定。
(需要はないかもしれないけど・・・笑)