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21.10.21_TAGOE活動記

展覧会は迫っているけど、メンバーたちと一緒に活動できる時間は限られているわけで、追い込みといっても僕だけでできることは意外に少ない。わりともどかしい時間を過ごすことになる。こう仕上げようと想像はするけれど、それを提案したら、んーあんまり。なんて展開もよくある。だから、集中力に限りがあるということも含めて、やはり瞬間芸に近い。パッとやったことに対して、パッと掴んでいく。そのことに感覚的に反応できるかどうかが問われている。これは自分にとっても、修行になるのではないかと思っている。しかし、はたして形になるのか不安ではある。

メンバーが来る前に、今日の段取りを組む。さすがにこの状態でフリースタイルでいけるほどの度胸はない。あったら、どうなるのだろう?アサキとサツキは発泡スチロールで造形。コウノスケとサクタはカメラで撮影。機材もフル装備で持ってきた。造形はひなこさんにお任せして、僕は撮影班担当。しかし、コウノスケは肝心のコマ撮りパーツを忘れてきたらしい。ので、それは明日やるとして、今日はサクタによる投げたり、捏ねたりのパフォーマンス的な?作品である映像を撮る。サクタの捏ねるその手先、投げることの巧さと楽しそうな姿。これを、どうにか文字の世界に接続できないかと考える。そこで参照したのは、円城塔さんの小説『文字禍』である。そこに出てくる主人公、俑は兵士・召使・芸人などのさまざまな人物や動物の姿を写したやきものの像である陶俑職人、名手である。俑は最終的には皇帝のために、皇帝を真人へと昇華させるほどの究極の陶俑を作ることになるのだが、その過程において文字を造ることとなる。かなり難解で、おそらく事前知識がなければ気づけない伏線が多々張り巡らされている小説なので、浅はかな読解しかできていないが、この俑とサクタが重なって見えた。つまりは、粘土を捏ねて、そこに生命が宿るほどの何かを作ることと、文字が作られることは、極めて重なりのある行為だと解釈をした。そういった背景がある作品になりそうだ、ぜひ見てもらいたい。

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発泡スチロール班は、ギコギコ切ったり、熱線でじっくり切ったりと、徐々に造形が見えてきている。発泡スチロールにまみれて、みな真剣な様子。相談して決めたのだが、果たして発泡スチロールという素材で良かったのだろうか。という不安はあったが、その素材に対してどうするかとう振る舞いが形として残ってくると、もうそれしかないでしょ、という気分になってくる。気分といえば、のヒマリも今日は手伝いに徹している。おやつを食べながら片付け、この後は延長して海に行き、ペンライトを使って文字を書く。

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いわゆるペンライトアートというやつだけど、光で文字を書くということ自体、とても楽しそうで、なんで早く思いつかなかったのだろうか...と、やや後悔した。しかし、誰でもそれなりのクオリティができるので、SNSでときおり見かけたり、結婚式の余興ビデオで使われることもあるようで、ややエンタメ感がある。なんとなく、作品化していくのは難しい気もしたので、ポスタービジュアルとしてやってみることに。何より、みんなが楽しそう。カメラを砂浜にセットして、撮影開始。やってみると意外に難しく、コツを掴まなくてはいけない。いろいろ遊びながら、もじという文字が完成。最後は大人たちのほうがはまっていた。

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神奈川県逗子市の小学生&映像作家の山根晋によるアーティストコレクティブ TAGOE(たごえ)です。2020年の夏より活動をはじめ、毎期ごと…

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