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21.09.30_TAGOE活動記

大型の台風が近づいていて、夜にも関東に近づく予報。逗子に向かう途中、稲村ヶ崎あたりはサーファーで溢れている。さすがに、素人目に見ても良い波が立っている。さて、今日のTAGOEは何をしようか?各々、作品を進めるのも良いのだけど、前回の展覧会と同様に、今回も共同制作の作品に挑戦してみたいので、制作をはじめるなら今日だ。前回の『わすれられたゆめのすみか』は、海に広げた蛇腹の長く黒い本に、うみに捨てられた物々をスタンプして遷すことによってできあがった作品。その設定や環境は、僕が用意をしたわけだけど、今回はそこからみんなで手を動かしつつ考えていけたらなと思う。さて、どうするか?本棚にある一冊の本と目が合う。

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宮沢賢治作、柚木沙弥郎絵の『雨ニモマケズ』。たしか、神奈川県立近代美術館での柚木沙弥郎さんの展覧会があった際に買った記憶がある。賢治の詩との対応から生み出す、色の鮮やかさ、自由さ、描写。それらにいたく感動した。しかし今の気分的には、柚木沙弥郎よりも宮沢賢治である。なぜか、いや、なぜだろう。よく分からない。たまたま?目に入っただけ?本当にそうなのだろうか。目に入るということ自体、想起によぎること自体、何かの意味があるはず。きっと、この超が付くほど有名な詩が、カタカナで記載されていることにも原因があると思う。カタカナは漢字未然、または漢字のおかゆのようなものであるけど、その芯というものは残っている。しばらくして、ポンとある光景が浮かんできた。先週、矢萩多聞さんとのオンラインワークショップで行ったマスキングテープ描き文字で、みんなでこの詩を書いてみたらどうだろうか。もしかしたらそこに、詩と文字の発生の景色が現れるかもしれない。そんな予感がした。

16時半になり、ぞろぞろとみんなが集まってくる。数回お休みをしていた、サクタも今日は参加。新しく家族に迎え入れた子犬に、噛まれたり引っ掻かれたりしているよう。誇らしげに、かわいい傷を見せてくれる。さて、今日はまずそれぞれが第三期で作ってきた作品の整理と、今後の意向確認から。どれをどうやって展覧会に出すのか?そこを一人一人聞いてみる。展覧会というものがどういうものなのか、たぶんそれはばっちり理解している。あやふやなメンバーがいても、決め過ぎずにやや押して、少しアイディアを投げたりして、後はそっとしておく。そうやって、本人のなかで何かが育つのを待つ。というのが、僕の感覚的な接し方。
そして『雨ニモマケズ』の朗読をする。みんなで一ページずつ、読む。最初は柚木沙弥郎さんの素晴らしい絵と、カタカナばかりの不思議な言葉に、結構興味を持っていたが、すぐにわかりづらいことを察した様子で集中力が切れる。そうか、確かに難しいかもしれない。さてさて、どうなることやら。難しいからといって、内容を変えるのも、なんとなく違うような気もするし。

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おやつを食べて、各自やりたいことをやる。(たぶん、制作)展覧会も近づいているからか、少し緊張感もあったりする。(人によって)コウノスケはコマ撮りで作品を作ってみる?という提案に俄然やる気になる。サクタは、以前から粘土をこねる手つきに気になるものがあった。ので、小麦粘土をこねてみて、そこから文字的なものが生まれないか一緒に試行錯誤してみることに。最後には、粘土の塊をキャッチボールした。「投げたら漢字ができたりしないかな?」と。おお、それは面白そう。キホは、もじのがっこうという劇をひたすらやりたがり、仕切っている。いつもiPhoneで撮影係りを命じられるのだが、なんだか文字に関係がなさそうな...。サツキは、しんにょうの探求をついに新聞に。しんにょう新聞の発行を目指す。さてさて、緊張感が徐々にやってきまして、どうなることやら。

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神奈川県逗子市の小学生&映像作家の山根晋によるアーティストコレクティブ TAGOE(たごえ)です。2020年の夏より活動をはじめ、毎期ごと…

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