BNK48の映画がめちゃめちゃおもしろかった件
数年前からタイのチェンマイに住んでるのだが、先日見に行ったタイ映画「Thi-Baan x BNK48 จากใจผู้สาวคนนี้」がめちゃめちゃおもしろかったので報告する。
BNK48って?
BNK48とは日本のアイドルグループAKB48がタイのバンコクでフランチャイズしているグループだ。
オレはアイドル好きではあるけど、最近はほぼライブアイドル(地下アイドル)専門でありメジャーアイドル、とくに48グループに関しては一般人よりはるかに知識がない。知ってるメンバーは初代神7くらいまでで、ここ数年の曲はまったく知らないし、坂道に至っては「平手が脱退」と聞いても顔すらピンとこないくらいだ。
なので、BNK48にしてもがんばってるなあ、とは思いつつライブを見に行くわけでもなくちょっと前まで好きでも嫌いでもないという感じだった。
ただし「恋するフォーチュンクッキー」だけはタイでもヒットしたこともあり好きでよく聞いたかな。
ところが、去年オレの住むチェンマイにBNK48の支店であるCGM48が結成された。
デビュー曲もちょっとガレージロック調(昔好きだったneco Jumpぽくもある)で悪くない。当然近くでライブをするのだろうし、これはちょっとちゃんと追っかけるべきかなあ、と思っていたところ本家のBNK48がとんでもない新曲をドロップした。
「โดดดิด่ง(ドーディドン)」の衝撃
2020年1月15日にMVが公開され、現在タイ全土でヒット中の最新曲「โดดดิด่ง(ドーディドン)」。これには衝撃を受けた。これまでのBNK48の曲を全部聞いたわけではないけど、音楽的には日本のAKBグループのカバー、または延長線上のものであったはずだ。
ところがこの曲は、タイ、しかもタイ東北部の音楽「モーラム」の要素を取り入れた、日本人の耳で聞くとかなり異質な曲調なのだ。
まだ聞いてない方は一度聞いてみてほしいのだが、これがもう最高にスルメ曲で毎日ヘビーローテーション。ロット・ヘー(爆音サウンドシステムを積んだトラック)が出てくるMVもすばらしく今さらながらメンバー名や関連情報を調べまくったのだった。
(正確にはこの曲は「歌謡モーラム」と呼ぶのがふさわしいそうで、詳しくは下記ブログ記事を参照)
【アイドルmeetsイサーン】BNK48の新曲「ドート・ディ・ドン」は何という音楽?
さて、調べていてわかったのだが、実はこの曲はBNK48のメンバーが出演する映画の主題歌らしい。それは見てみたいじゃないか。調べたら近くのシネコンで上映してる。さっそくゴー。
映画あらすじ(ネタバレ)
映画のタイトルは「Thi-Baan x BNK48 จากใจผู้สาวคนนี้ 」、「若き女性の心から」みたいな意味だそうだ。オレはタイ語はほとんど聞き取れないけどラッキーなことに英語字幕が付いてたので9割方ストーリーは理解できた(単純だし)。
あらすじはこんな感じ
バンコクだけではなくタイ全土でBNK48を売りたい支配人(ディレクター)は、人口の多い東北部(イサーン)のテイストを取り入れた楽曲にチャレンジすることを思いつき、当地の有名作曲家を雇い秘密のプロジェクトを立ち上げる。
選抜された8人のメンバー(KAEW、TARWAAN、PUPE、NOEY、NAMSAI、NAMNEUNG、MOBILE、KAIMOOK)は、さっそく作曲家のジョン先生(実はレディーボーイ)と共にイサーンのシーサケート県へ向かい、先生の実家で強化合宿を始める。
ところが都会育ちのメンバー達は、慣れない早寝早起きと、はじめての田舎の生活で食事にびっくり、トイレ(ボットン)にびっくり、蛇やカエルにびっくり、水牛にびっくりともうたいへん。歌のレッスンどころか「もうこんなところいやあ!!!」と泣き出すメンバーも。
なんとかバンコクに戻ってイサーン風の曲をレコーディングするも、メンバーのやる気もないため酷いものしかできず支配人激怒。「ちゃんとした曲ができるまでバンコクに戻ってくんな」とイサーンに追い返され再び共同生活がはじまる。
最初はブーブー言っていたメンバーも、数日後にはだんだん田舎生活にも慣れ、世話係の地元民たちとの楽しい交流や淡い恋みたいなのもあり、すったもんだあったものの、ようやくイサーンの心が入った新たな楽曲(ジョン先生とメンバーKAEWの合作)が完成する。
先生とメンバーはバンコクに戻りその曲のレコーディングに入るが、レコーディング中に支配人から連絡が入り「楽曲を含むイサーンプロジェクトの凍結」が宣言される。
地元民(世話係)に盗撮されたメンバーの動画がSNSにアップされてしまったからだ。失意のメンバー、そして失意の地元民。
そして数ヶ月後。メンバー達はイサーンの楽しい思い出が忘れられずセンチメンタルに。ファン向けの配信で感極まってお蔵入りになった思い出のイサーンソングをアカペラで歌ってしまう。
するとその配信を聞いたファンたちの間で「あの曲はなんだ?」とバズりまくる。機を見るに敏な支配人は「よし!今こそあの曲を公開しよう」と、次のコンサートで披露することを決定。歓喜するメンバー。
コンサート当日、客席には招待されたチョン先生やイサーンの仲間たちも並び、最後に曲が披露されて大団円かと思いきや、、、、
この期に及んで「契約がきちんと結ばれていなかったので歌うことはできない」と支配人に告げられる。
当然納得行かないメンバー(もちろんオレも)は、ステージ上でファンに対して涙のお詫び。
すると「気にすんなー!!」「あなたたちのせいじゃないよ!!」「ノイちゃん泣かないで!!」と温かいコール、そして、、メンバーが歌うことのできないその歌が客席のファンによって大合唱される。泣き崩れるメンバー。
THE END
いやあおもしろかった
まあまあ端折ったけどストーリーはだいたいこんな感じ。
ギスギスしたリアリティショー風味な本家AKB48の映画とは対象的に、ツッコミどころはいろいろあるものの基本的に正統派のアイドル映画で、2時間以上あるもまったく退屈することなく楽しめた。
ひとつ誤解してたのは、これはBNK48の映画というよりは、タイトル「Thi-Baan x BNK48」にもある通り、イサーンの人気映画シリーズ「Thi-Baan(ティーバーン)」とBNK48のコラボ映画、もっと言えば「Thi-Baan」の方がメインでBNK48のメンバーは「男はつらいよ」で言うマドンナ役といった位置付けだったのだ。
なので「Thi-Baan」の登場人物達(↑写真)がかなり目立っている。もちろん「Thi-Baan」は見ていないのだが、ラブコメみたいなのでそんなに困ることはない。
中でもほぼ主役と言ってもいい役どころだったオカッパ頭のジャロッド(Nattawut Sanyabut)が最高によかった。
こう見えてジャロッドはたいがいプレイボーイで美しい恋人(妻?)がいるのに美人女医と二股かけてたり、さらにBNK48メンバー(NOEYだっけな)ともいい感じになってたりする。でも憎めない諸星あたるタイプだ。
で、その彼女役のThanwaporn Nasombatが早見あかりタイプの美人でめちゃめちゃいい!はっきり言って個人的にはメンバーよりもこっちを推したい。
さっそくインスタをフォロー
https://www.instagram.com/nmotn_/?hl=th
というわけで「Thi-Baan」本体も機会があったら見てみたいなあと本気で思わせる内容だった。
あとはイサーンののどかな田舎の風景。
オレも行ったことあるけどほんとにこんな感じでなんにもないの。
タイはバンコクやチェンマイこそ日本と全然変わらないくらい普通に文明的な暮らしができるけど、やっぱり都市部以外は圧倒的に田舎。携帯はあるけどほかは昭和40年代くらいの暮らしをいまだにしているんだなあと。
ちなみにイサーンは位置的にはこんな感じ。
予告編だけでもかなり雰囲気はつかめるのでぜひ見てみて。
日本でも公開されるといいね。