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2021 J2リーグ第25節 レノファ山口 VS ツエーゲン金沢 レビュー

スタメン

山口1

気持ちは重要。だけどわからない。

前半はほとんどの時間で金沢が「やれていた」と言っても良かった。出鼻をくじくようなカウンターから始まった試合。選手の意気込みは画面から感じられた。

あまり気持ちがどうのこうの言うのは筆者は好きではない。試合の分析をする以前の自分は気持ちが全てだったし、その観戦スタイルで、試合の中で何が起こっているのか、何が原因で負けるのかが分かりたかったから今の自分がいる。

選手の意気込みは測り知る事が出来ない。というか測り知るべきではないと思っている。試合に「入れていない」選手がいると考えるほうが失礼だと思うからだ。逆に「入れていない」選手はプロとは呼べないだろう。

だから、相手・味方の気持ちを除いた戦術・戦略で判断していくロジックな方法を筆者は好んだ。気持ちで負けていないのに他で負けているという事を嫌というほど見てきたからだ。日本代表しかり、W杯しかり、プレミア、リーガ、Jリーグ、もちろんツエーゲンでも。

山口の戦略

山口は渡部・田中陸・高井・池上というキープレーヤーは残しつつも、他は新加入選手やあまり出場機会に恵まれない選手でこの試合に臨んだ。もちろんこの試合が火曜日開催という事もあってターンオーバーを考慮したという事もあるだろう。しかし僕には他の狙いが感じられた。

それは去年の第五節千葉戦。櫻川くんが初ゴールし、見木くんが初めてフル出場をした試合だ。この日の千葉のスタメンは尹監督のコメントにもあった通りほとんどの選手を入れ替えていた。金沢のホームゲームで久々に観客を入れる事が出来る試合だったという事でご記憶の方も多いだろう。

その試合、千葉は「対金沢」のチーム編成で敵地に乗り込み、ホームチームに何もさせずに勝ち点3を奪っていった。今回、山口は前節もホーム開催だったとはいえ中2日。町田戦が終わって休みを挟んで何が出来ると考えると、別チームを用意し金沢戦に臨むほうが良いと判断したとしても不思議ではない。

ただ、北九州にから山口に乗り込んできた金沢に対して、積極的な攻撃は仕掛けられたもののボールホルダーに対してはプレッシャーをかけられずにいた。1点獲った後に受け身になってしまったのも、金沢のプレッシャーがテンション高く来ていたせいもあったかも知れない。

必然の失点

金沢にとって先に点を獲られる事だけは避けたかったはずだ。先制された時は1勝1分15敗と、ひっくり返すどころか引き分けに持ち込むことも難しい。さらには3試合連続無得点という状況。

金沢のビルドアップは大橋・藤村から始まる。それをシンプルに削る事が失点を防ぎ得点を得る事となった山口。

藤村くんが池上くんを感じ取れずにトラップしたところでボールを奪われる。池上くんがシュートを打つタイミングで廣井くんが距離を詰められれば良かったのだが、高井くんに引っ張られる松田くんの事を考えスペースを与えたくなかったのか、反応が後手に回る。やはりプレジャンプを挟んで飛び込む白井くんの反応虚しくボールはゴールに吸い込まれた。

藤村くんにボールをパスする前に、分かりやすく松田くんがクリアすべきだったとも思う。この日の山口は最終ラインでボールを失いそうな時は迷わずボールを最前線に出したり、GKに戻したりという「約束事」を決めていた。判断する時間が無かったと言えばそれまでだが、判断する暇が無ければ無いほどチームの原則を決めておく事は重要だ。悪い事が重なれば失点する。必然的に試合を難しくした金沢。

切れない気持ち

ただ、測れない気持ちを見せるかのように、一度切れかけた気持ちを奮い立たせるように攻勢に出る金沢。山口のプレッシャーが緩い事もあり、大谷くんが前を向いてボールが持てるシーンが増える。初スタメンの長峰・平松の左サイドのコンビの動きも良く、左からのビルドアップやカウンターの場面が多く見られた前半。

大谷くんのボレー、平松くんの掛かり気味のシュート、嶋田→大谷と折り返して丹羽くんのヘディングと直近の試合には無い決定機を見せる金沢。

試合のポイント その①

この試合のポイントは3つあった。一つ目は前半のうちに得点を獲れなかった事。2つ目は2点目を許したプレー。3つ目は交代のメッセージだ。

山口は前半からの修正として、左サイドでのオーバーロードとアイソレーションを止めた。左CBの眞鍋くんがSBのような位置取りになっていたが、その為に2CBのようになり、金沢に対して明確なプレスの基準を与えていたからだ。

金沢にカウンターの機会を与えていたのもそのためで、3CBが幅を取ってプレスの強度を高めた後半始めからお互いにペースを譲らない展開に。

金沢はそれでも松田くんからの縦パスの勢いを利用した大谷くんが、渡部くんを半歩振り切り角度の無いところから鋭いシュートを打つなど、前半の勢いを失わずにいた。

試合のポイント その②

しかし、ここで2つ目の試合のポイントが訪れる。それは試合後に柳下監督がコメントしていたシーン。

廣井くんからボールを貰った大橋くんが、真ん中を通し大谷くんへパスするが相手にカットされてボールを失った。この何気無い球出しがリズムを相手に受け渡してしまう。

高井くんが金沢右サイドでクロスを上げ、高木くんが身体ごとぶつかっていくようなヘディングでもう少しでゴールラインを割るシーンを演出。勢いは一気に山口へ。

結局金沢はここからボールを奪えず、CKを与え追加点を奪われる。セットプレーからの得点が多い山口にCKを不用意に与えてしまったのも悪いが、山口を褒めるべきだろう。

2点ビハインドとなったが先に動いたのは山口。後半になってよりハードワークとなっていた両WBをフレッシュにさせる。リードを広げたとて手を緩めない山口。

必死に食らいついていた今の金沢に2点の差は辛いものがあった。2点リードされた試合は0勝8敗。過去に相性の良かった山口にさえその事実は重くのしかかった。

試合のポイント その③

しかし、その状態から選手を救う手立てをベンチは持たなかった。北九州との試合でも1点ビハインドの後半15分で交代カードを切ったのに、この試合で最初に金沢がカードを切ったのは後半28分。3失点目の5分後だった。

失点の原因は色々とある。プレーをしているのは選手。それを籠の外から何をしたって後の祭りなのかも知れないし、そう考える人もいるのかも知れないが、選手達は全体を見られるわけでは無い。チームの秩序を与え方向を定めるのは選手ではない。そう考えるとこの3つ目のポイントはポイントというよりも一番大きなこのチームの問題と言っても良いかも知れない。

個人的な見解として

渡邊監督が試合中に何をしているかは知らないが「ポジショナルフットボール実践論」という著書の中でテクノロジーを活用したいと書いている。タブレット片手に今現在のデータを見てそれを活かしている監督もいれば、アナリストをスタジアムの全体を見渡せる位置に立たせ、自チームや相手チームの状況についてヘッドセットを通してやり取りする監督もいる。

テクノロジーやアナリストを試合中に導入する事が良いか悪いかと言われれば正解かどうかは分かりません。しかし、10試合勝利から遠ざかっているチームで2点ビハインドになって何もしない監督と渡邊監督という対比が奇しくも勝敗を分けてしまったという見方が出来る試合のポイントでもありました。これはあくまで個人的に思った事ですが。

結果

ハイライト

感想 多様性を受け入れる社会で、応援とは

応援は人それぞれだ。試合を見て落胆する人、辛い結果でも前を向いていく人、応援する人の数だけスタイルはあると思う。もちろん誹謗中傷は許されない。しかし、前向きを装って「あの応援の仕方はダメだ」と言いたげに自分を正当化している人を良く見かける。

あなたが「ダメに見える応援の仕方」をしている人は、あなたに向けて何か言っているだろうか。前向きな応援に見えても相手を蹴落とした意見にはあまり賛同したいとは言えない。誰もがツエーゲン愛を持っている。誰もその想いは測れない。僕には正の力も負の力も同じくらいのパワーを感じるし、その力の持つ意味は大きいと感じる。

RED TAGはどんな意見もツエーゲン愛を持っている方なら受け入れます。こんな時だから語り合いが必要だと考えています。我々と直接語り合いたい方も募集しています。

長い動画が多いですが、どうかよろしくお願いします。後ろ向きでも前向きでもみんなが一つになるのなら受け入れるぜ!



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