見出し画像

2020 J2リーグ第28節 ジェフユナイテッド千葉 VS ツエーゲン金沢 レビュー「見えるものに惑わされるな」

秋晴れの白山さんは最高でした・・・。

前回のレビューはこちら・・・と紹介しようと思ったのですが、あんまりにも不甲斐ない負け方をしたので、レビューする気にもならなかったのを思い出しました。

というわけでレビューを書かなかった理由を述べている動画がコチラになります↓↓↓

その第5節のスタメンがこちらです(画像はFootball labさん)。

画像1

という事で、触れておかなければいけない事があります。この時スタメンにいた背番号2番・山田将之くんが大宮へ行ってしまいました。

自分としては山ちゃんは経験もセンスもあって、開幕前から期待感が半端なかったので突然の移籍にショックが大きかったです。最後に試合に出たのが5節千葉戦でした。開幕戦の岡山でコーナーキックの失点以外は、ほぼ完璧に守ってみせました。2節の山雅戦では山雅相手に初めての勝ち点を得る事に貢献。空中戦の強さも垣間見せ、青森山田の出身が伊達ではない事を知り、頼もしさを覚えていた矢先の雲隠れ。まさか人数の少ない我が軍から移籍者が出るとは・・・。大宮は今、怪我人多数でスクランブル状態。必ず君の力が生きる。

頑張ってね、金沢に来てくれてありがとう。

スタメン

画像2

ホームの千葉は3枚の前節から3枚の変更。本村、鳥海、田口 → ゲリア、新井一、小島。僕の注目は為田くん。J2を代表するサイドアタッカーだと勝手に思いこんでいるが、金沢相手にはご勘弁願いたいです。あと、今年は目立っていないが、船山くんには去年のフクダ電子アリーナで逆転されている苦い思い出があります。

対する金沢は珍しく5枚の変更。廣井、大橋、金子、加藤、ルカオ → 作田、藤村、窪田、杉浦、山根。2トップについて「役割が違う」と語った試合前のヤナ将でしたが、果たしてその役割は果たせたのでしょうか。

今回は実験的に・・・

両軍のチャンスの場面に特化して書いていきたいと思います。15分16秒に本塚くんがミドルシュートを打ちましたが、枠の左に逸れてしまったシーンです。その14秒前から。

一場面づつ見直しましょう。金沢GK白井くんにボールが戻されたのですが、金沢CB石尾くんには千葉SH為田くんが、金沢CB作田くんには千葉FW山下くんが、ボランチへのパスコースには千葉FW船山くんがついて、白井くんのパスの選択肢はロングフィードしかなくなります。

画像3

ロングフィードを金沢FW杉浦くんと千葉CBミュングさんが競り合います。

画像4

ミュングさんが競り勝ちますが、セカンドボールに金沢SH島津くんが反応します。

画像5

島津くんから金沢SB下川くんにボールが出ます。ここで為田くんが戻り切れておらず下川くんにあまりプレッシャーがかかっていない状態です。

画像6

金沢SH窪田くんがライン際に開いて千葉SB安田くんを引き付けています。下川くんには窪田くんとワンツーパスをして安田くんと千葉CB新井一くんの間を抜け出す事も可能だったかもしれませんが、千葉CH熊谷くんがそのスペースを埋めかかっていました。

画像7

下川くんは動き出した金沢FW山根くんにクロスをあげます。しかし千葉GK新井章くんがパンチングします。ちなみにクロスをあげてパンチングで弾かれるまで、千葉の選手のほとんどがボールウォッチャーになっていました。そこで金沢CH本塚くんが一瞬、千葉FW山下くんを見て若干後ろにポジショニングします。

画像8

セカンドボールを狙ってスピードに乗って現れジャンピングボレー。しかし惜しくも枠を捉えられません。

画像9

前半、千葉は左サイドからの攻撃が55%を占めていました。しかも為田くんが千葉FW船山くんより前に位置している事がDAZNのハーフタイムに出される平均ポジションからわかります。

なにが言いたいかと言いますと、ドリブルとクロスが持ち味の為田くんがいる左サイドで、安田くんを窪田くんがピン止めできれば、為田くんと安田の間が空いてクロスをあげる事が出来る、クロッサーとして金沢の右SBで精度が高いのは、やはり長谷川くんよりは下川くんだと思いますので、ここからクロスをあげるというのは狙いの一つだったと思います。

さらに窪田くんがクロッサーとして頭角を現している事を利用し囮となった攻撃をもう一つ。22分50秒金沢CH藤村くんがボールを持ったところから見てみましょう。

ボールをなかなかとられない男、藤村くんがボールをキープ。船山・為田が藤村くんに寄ってきます。

画像10

画像11

窪田くんがライン際に開いた為に、為田くんが窪田くんへのパスコースを切ります。

画像12

藤村くんは下川くんへ悠々とパス。窪田くんは安田くんをピン止めし、安田・新井一の間が空きますが小島くんがそこを埋めようとします。しかし、素早く後ろから山根くんが出てきます。

画像13

下川くんから鋭いパスが入ります。山根くんがパスを受けて前を向くと杉浦くんがゴール前へ走ります。

画像14

クロスのタイミングが早すぎて千葉GK新井章くんに獲られてしまいましたが、為田・安田の間もしくは安田くんの裏のスペースを突く狙いがあった事が良くわかる2つのシーンでした。窪田きゅんが囮になっている事で狙いがスムーズに実行出来ています。

精度を上げるには、まず繰り返しを大事に

金沢は他にも、17分36秒の金沢左SB渡邊くんのスローインを杉浦くんが敵を引き付け本塚くんへフリック、すると杉浦くんに千葉ディフェンスが引き付けられていた為、前方ががら空きでペナルティエリア(PA)に進入しシュートしたシーンやそこから2次、3次、4次攻撃まで繋げた一連のシーン。

また、43分ちょうどのFKを島津くんがヘディングで中へ折り返すシーンや、そのすぐあとのゴールポストに弾かれた島津くんのシュートなど、チャンスは多く作りだす金沢。しかし、やはり変わらないのは前回対戦時にもヤナ将が口にしていた「シュートの精度、ラストパスの精度」

前半に関して言えば、千葉に対し金沢のほうが多くのチャンスを演出していたし、狙いを持ってチャンスを構築していました。しかし、一つ一つのプレーを大事に出来ていない金沢の精度は簡単には上がらないようです。先制点は千葉でした。

千葉の先制は石尾の弱点を露わに

前半ロスタイムという時間帯、体力的に少し厳しい時間帯にサイドチェンジされ球際に激しくアタック出来なかったという事もあるかも知れませんが、千葉CH小島くんがゴール30m手前からワンタッチでクロスをあげるというのはなかなか予想つきませんし、クロスの精度やタイミングも見事でした。

しかし、千葉FW山下くんの動き出しを全く視界に入れていない金沢CB石尾くん。磐田戦でも同じようなマーカーへのポジショニングで失点しています。クリアしようとした石尾くんの左足へのボールに、躊躇なく頭から突っ込む山下くんの見事なヘディング。もし石尾くんの足が早くて山下くんの頭に当たっていたらPKだったかも。どちらにしても点は獲られていたと思います。あそこは山下くんに食らいついて身体で防ぐ必要がありました。

このタイトなスケジュールで疲労も蓄積していると思いますが、磐田と千葉の連戦で同じような失点をしているのは致命的だと思います。

勝負を分けた後半の「違い」

76分ちょうどからです。

66分に島津→ホドルフォ(愛称チット) 杉浦→加藤の2枚替えを行った金沢。チットさんが機動力を生かします。

チットさんが囲まれながらもシュート、惜しくもポストに弾かれますがボールは加藤陸次樹くんのところへ。しかし、ダイレクトで足に当てたボールは弱々しく、一度倒れた千葉GK新井章くんが起き上がりキャッチ。

そして

金沢:窪田→金子 山根→ルカオ

千葉:矢田→堀米 小島→高橋 為田→見木

と交代が行われ迎えた82分15秒。千葉の追加点のシーンです。

途中、動画の中で動かなくなった選手達は、画面上には現れなくなったので確認不明という事でお許し下さい。

金沢は前線にロングボールを放り込む攻撃と、ポジショナルなフェーズでは千葉CHとSHの間でボールを受け、相手を引き付けておいてサイドに開いている金沢のSBにボールを繋いで、クロスをあげるといったやり方を狙っていました。それは選手が交代しても変わらないやり方でした。前半に挙げたシーンなどの狙いは後半ではあまり見られなくなってしまいました。

一方で千葉は1点リードし、勢いの弱まった金沢の攻撃を受け流しあわよくば追加点を獲るといった焦りの全くない振る舞いでした。後半の開始15分に両チーム動きがあまり見られなかったのも、千葉がゲームをコントロールしてスローな展開に仕向けていたせいもあると思います。

千葉には2戦連続スコアレスドローという、守備面での自信と前半に得点出来た攻撃面での収穫がありました。金沢はルカオ・陸次樹という強力なジョーカーを持っていながら選手を替えても同じ狙いで、流れを変える事が出来ませんでした。

試合終了:スタッツ

ハイライト

今日は半分くらいの選手たちが判断が悪いプレーをしたり、単純なミスが多かったり、相手との競り合いに簡単に負けたりといったプレーが初めから見られていて、どうしようもないなと。(ヤナ将コメント:ツエーゲン金沢公式HPより抜粋)

2失点目の動画でこのコメントに該当する事と言えば、金子くんはボールを奪われたのは仕方ないにしても、その後の船山→見木のボールが出される際に見木くんの独走を許す事となった相手へのプレッシャーのかけ方でしょうか。

ホームの試合では内容・結果共に惨敗し、アウェーでは攻撃の形は作れていましたが、結果は負け。この教訓を次に生かせられるか。まだ今シーズン3連敗はありません。次節の岡山との試合は開幕戦以来8か月ぶりの対戦です。中2日の連戦ではなかなか修正が難しいと思いますが、現在12位の金沢が今後モチベーションを高く持ってシーズン後半を戦っていくには大事な試合になってきます。(8位の東京Vとの差は勝ち点2)攻撃的と言われていますが得点も2試合出来ていませんのでFW陣の奮起を期待します。

普段通りにやれていない選手が今日は多かったので、2つのシーンで失点して勝ち点をとることができませんでした。これだけ判断が悪かったり、準備ができていなくてプレーできていない選手が多いことを残念だなと。(ヤナ将コメント:ツエーゲン金沢公式HPより抜粋)

疲労回復と修正を!

ツエーゲン金沢応援集団「RED TAG」運営費用としてありがたく使わせていただきます