見出し画像

2021 J2リーグ第6節 FC町田ゼルビア VS ツエーゲン金沢

順位表はSPAIAより引用。

「自由っていったい何だ?」 BY 尾崎豊

まだシーズン序盤だが、町田戦を含めて勝ち点13の単独3位である。しかも3連勝。2節以降負け無し。こうして文章にしてもポジティブな要素しかないように思える。

ただ、目標はどこなのか。それによって見え方が違ってくる。昇格が目標なのか。一桁順位なのか。それとも降格しない事なのか。どれにしろそのままにしておく事が良いとは思えない事がある。それは選手の判断に任せるという悪しき「自由」だ。

下の図は33分17秒のシーンを図にしたもの。大橋くんがディフェンスラインの近くまで下がってきて数的同数を作る。もしくは藤村くんまで加えると4対3で数的優位となる。

それはいい。サリーダラボルピアーナ(ググってください)をするという事は相手の前線の枚数に対して数的優位を作り出してボールを前に運びやすくする事だ。ただ、それだけ最終ラインに枚数をかけてしまうと前にボールを運びにくくなってしまう。

33分19秒にボールが渡邊くんに渡り、前進しようとする。後ろから太田くん、前から佐野くんがやってくる。この時点でサイドで優位性は生まれていない。

そしてこの後簡単にボールを失いそうになる。が、何とか相手のファールでそこからリスタートした。結局チャンスにはならなかったが。

本当なら、渡邊くんが前進したいのなら数的同数あるいは数的優位の状況にしなければならないので、誰かが佐野くんの前でボールを受けるアクションを起こさないといけないがそれが無い(この場面だと大谷くんや大橋くん)。わざわざ不利な状況でボールが来たからと前進させている。

こういうところを見ると、しっかりと決まり事の整備が出来ていないという事がわかるのだ。選手の創造性にある程度頼るのは分かる。ただ、試合のスピードが上がるにつれて状況判断が出来なくなるのは当たり前。そこで自分がどういう動きをするかをあらかじめ決めておく事が必要なのだ。

プレーモデルの無さ

上の状況ではボールを失わないように戻す事が必要となってくる場面だったが、数的不利な場面でもボールを前進してしまう。今回は渡邊くん目線で語ってしまったが、ボールを前進させる前提であるなら素早く大橋くんが前に移動するべきだっただろうし、大谷くんが後ろに下がるべきだった。ボールがどこに来た時にどういう目的でどう動くか(プレーモデル)、という意思統一が出来ていないという事である。

また、写真を使ってしまって申し訳ないが、これは金沢が東京Vにした事とほぼ同じ事だったのだ。

金沢のワンタッチパスの繋ぎはかなりの確率でズレが出る。PA近くでパスを繋がらせなければその確率は上がる。後ろからパスを繋ぐとパスの回数が増えるからだ。

だから金沢が東京Vにした事と同じようにFW2枚とSH2枚で、最低でも最終ラインに4枚必要な形を強いると金沢は簡単には前に出られない。そうすれば自然と金沢のSBは幅を取らざるを得ないから写真のようになり金沢のアタッキングサードには人数を掛けられない。

見た事無い数値に

実際にスタッツでも見てわかるように、前のほうでプレー出来ていない事がわかる。

ちなみに上は東京V戦のスタッツ。ヴェルディはボール保持のチームである事とIHやFWが降りてきてボールを受けにきた事がPA付近のプレー数に影響していると思うが、封じ込められたと思っていたヴェルディでもこれだけゴール前には来れていた。

町田戦の金沢のアタッキングサードプレー割合が12.9%というのは、前節7-0という大差で新潟に負けた東京Vの15.9%より低い数字である。それだけ見た事ない珍しい数値。

さらには町田は前線4枚で金沢のCB・SB・降りてきたボランチの1枚を見ることで、(図の円の中では藤村くんへのパスコースは切るが人数には含まず)その後方で局所的に数的優位を作って自由にさせない、という緻密な金沢対策を講じていた。

ちなみに数的優位を作りだす事によりセカンドボールを拾う確率も上がる。

また、町田は

①ボランチの脇に楔のパスを入れ降りてきた長谷川くんが受けSHやSBにパスしてボールを前進

②SBからFWに斜めのパスを出し金沢CBの前でボールを受け自分を追い越す動きをするSHにパス

③太田くんが1対1を仕掛けてくる

などの攻撃で終始ペースを握ったが、最後の決め手に欠けていた。それが金沢ディフェンスの90分途切れなかった集中力による跳ね返しであり、後藤くんのナイスセービングだった。

カウンターが苦手に?

ただ、得点シーン以外の場面での金沢の攻撃は最後どころか2手、3手手前で攻撃が途切れていた。

30分42秒、町田のパスミスを大橋くんが拾い嶋田くんへ。カウンターを仕掛けようとする金沢。その時の配置が下の図。

嶋田くんがドリブルでアタッキングサードまで前進した30分49秒の配置が下の図だ。

前線3人が遠くでパスを待っていて、藤村くんは後ろからサポート。嶋田くんの前方近くには味方は誰もいない。まるで定位置に戻るだけのような前線の動き。こうした意思疎通の無さが町田戦では多く見られた。

スタッツ

ハイライト

感想

前後半を時間軸と共に振り返る意味をあまり感じなかったので、端的に感じた事を書いてみた。町田の策に対して金沢が対抗策を出せなかったように見えたからだ。ただ、北九州戦でもそうだったが力安くんを投入した事で藤村くんが前、力安くんが後ろ、と役割がハッキリして、たった一度のチャンスをモノ「に出来た。

前にも書いたがこういう試合で勝ち点を得られる事は大きい。しかし、目先の3位が目標ではないはず。シーズン終了時に上位2チームにいられるチーム力が求められる。過去何年かの昇格チームと比較しても実力的には劣る。町田に弱点をさらされた金沢。今後の試合でそれを凌駕するような力を発揮できるだろうか。

町田の選手が良かったとは言ったが、もちろんわれわれのチームとしても個人としても修正する必要があるプレーがあったので、そこを1週間、今季続けていこうと思っている。非常に粘り強く選手たちがやれたのは頭が下がる。(Jリーグ公式HPより)

修正出来るのが先か、対策されるのが先か、

目標は昇格か、残留か、それとも・・・挑戦の先にあるものとは?

ツエーゲン金沢応援集団「RED TAG」運営費用としてありがたく使わせていただきます